1. 4月の株式市場
4月の株式市場はインフレ懸念の再燃を示す経済データが多く出され、市場の不安定化が再び増す音になりました。主要な動きは、以下の通りでした。
4月1日:1日発表の3月の米サプライマネジメント協会の製造業景況感指数が50.3と市場予想の48.1を上回ったことで、インフレの沈静化が遅れ、FRBの利下げが遠のくとの見方から、売りが優勢で、241ドル安(0.60%減少)。
4月2日:米景気の底堅さやインフレの高止まりでFRBの利下げが先送りになる可能性が意識され、米長期金利も一時的に4カ月ぶりの水準に上昇し、397ドル安(1.00%減少)。
4月3日:3日朝発表のADP全米雇用レポートでは、非農業部門の雇用者数が前月比184,000人増で、市場予想の155,000人を上回り、賃金インフレが物価を押し上げるとの見方が意識され、43ドル安(0.1%減少)。
4月4日:年内の利下げに慎重な姿勢を示すFRB高官の発言に加え、原油高によるインフレの懸念が意識され、530ドル安(1.35%減少)。
4月5日:5日発表の2月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比303,000人増で、市場予想の200,000人を大きく上回ったものの、賃金インフレの加速は示さなかったことで、ハイテク株を中心に幅広い銘柄に見直し買いが入り、307ドル高(0.79%増加)。
4月8日:FRBの利下げが先送りされるとの観測が優勢となり、11ドル安(0.02%減少)。
4月9日:米国の物価指標がインフレ圧力を示し、FRBの利下げまで時間がかかることへの警戒から、9ドル安(0.02%減少)。
4月10日:朝方発表の3月の米消費者物価指数が3.5%と市場予想の3.4%を上回り、FRBの利下げ開始が遅れるとの見方が一段と広まり、422ドル安(1.08%減少)。
4月11日:朝方発表の3月の卸売物価指数は前月比で0.2%と市場予想の0.3%を下回り、トラベラーズなどのディフェンシブ株の下げが目立ち、2ドル安(0.01%減少)。
4月12日:インフレの沈静化には時間がかかり、FRBによる利下げが市場予想より遅れるとの懸念とイスラエルに対するイランの報復が迫っているとの見方から、投資家心理の悪化につながり、476ドル安(1.23%減少)。
4月15日:15日朝発表の3月の米小売売上高は前月比0.7%増と市場予想の0.3%増を上回り、米長期金利が上昇、株式の相対的な割高感から、ハイテク株を中心に売りが優勢で、248ドル安(0.65%減少)。
4月16日:前日まで下げが続いた後で、ユナイテッドヘルスグループなど主力株の一部に押し目買いが入り、64ドル高(0.16%増加)。
4月17日:トラベラーズなど市場予想を下回る決算を発表🅂た銘柄に売りが出て、46ドル安(0.12%減少)。
4月18日:ユナイテッドヘルスなどディフェンシブ株の一角が買われ、22ドル高(0.05%増加)。
4月19日:アメリカンエキスプレスなど決算の内容が評価された銘柄やディフェンシブ株の一角に買いが入り、211ドル高(0.56%増加)。
4月22日:中東情勢悪化への懸念が和らぎ、投資家心理を上向きにさせ、254ドル高(0.66%増加)。
4月23日:中東の地政学リスクへの過度な警戒が和らぎ、幅広い銘柄に押し目買いが入り、264ドル高(0.68%増加)。
4月24日:米長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が意識され、43ドル安(0.11%減少)。
4月25日:同日発表の2024年第1四半期のGDPが前年同期比年率で1.6%増と市場予想の2.4%増を下回り。同時に発表した1-3月期の米個人消費支出は3.7%増と市場予想の前期の2.0%を上回ったことで、、投資家のインフレ懸念が強まり、375ドル安(0.97%減少)。
4月26日:四半期決算を市場予想を上回ったマイクロソフトやアルファベットに買いが入り、投資家心理を支え、154ドル高(0.40%増加)。
4月29日:アップルとテスラが上昇し、長期金利も一服したことで、146ドル高(0.38%増加)。
4月30日:同日発表の1-3月期の米雇用コスト指数が前期比1.2%上昇と賃金インフレの高まりを示し、FRBの利下げ開始時期への不透明感が強まり、570ドル安(1.40%減少)。
2.米国の雇用状況
米労働省が4月5日に発表した3月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比303,000人の増加で、市場予想の200,000人を大きく上回りました。1月の雇用者数の確定値は256,000人で27,000人の増加、2月の改定値は270,000人で、5,000人の減少でした。1月の失業率は3.8%で、前月より0.1%低下しました。労働参加率は62.7%で、前月より0.2%上昇しました。2月の時間当たり賃金上昇率は前月比で12セント増加しました。部門別ではヘルスケア業が72,000人の増加、政府部門が71,000人の増加、建設業が39,000人の増加、レジャー・観光業が49,000人の増加、ソーシアル・アシスタンス業が14,000人の増加となりました。
3.岸田首相が米議会で演説
岸田首相は4月11日に米議会の上下両院合同会議で日本の首相による5人目の演説を行った。首相は英語で演説し、米国が難世代にもわたり築いてきた国際秩序は今、新たな挑戦に直面していると指摘し、中国やロシアによる覇権主義を念頭に自由と民主主義は世界中で脅威にさらされているお訴えました。米国が国際秩序を維持するコストを負担し続けることに、米国側が疑念を抱いているとの印象を明かし、一人双肩に背負うことがいかなる重荷であるかを理解していると話しました。その上で、日本は共に大きな責任を担っていると言明し、米国と共にあると寄り添いました。
加えて、日本が世界最大の対米直接投資国であり、日本企業は8000億ドルを投資し、米国内で100万人の雇用を創出していると説明しました。同時に、賃上げや株価などが高い水準にあるとして、日本経済の復調も訴えました。最後に、日米両国で人口知能、量子、バイオ、原子力といった次世代技術の開発にも言及しました。
4.米物価、2.7%上昇
米商務省が26日に発表した3月の米個人消費支出物価指数は前年同月比2.7%上昇しました。伸び率は’前月の2,5%から拡大し、市場予想の2.0%を上回り、インフレ鈍化の足踏み傾向が鮮明となりました。価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数は2.8%上昇で、伸びは先月から変わらず、いずれもFRBが物価安定目標に据える2%を上回りました。項目別では、耐久財などモノのの価格が0.1%の上昇に留まった一方、サービス価格は4.0%上昇となりました。堅調な雇用受精を背景とした賃金の伸びがサービス価格を押し下げており、インフレ鎮静化を妨げる要因になっています。
FRBは4月30日と5月1日にFOMC’会合を開きますが、インフレ率が2%へ低下するという一段の確信を得るまで、金利を据え置き方針と見られます。