Monday, December 1, 2025

利下げ観測が先導する投機的な株式市場








1.11月の株式式市場   

11月の株式市場は、11月中旬に連邦議会での合意成立による政府機関の一部閉鎖が解除されたことに加えて、関税や政府機関職員の解雇などによる景気悪化から年内の利下げ観測が強まり、株式市場は投機性を増して上昇傾向を強めました。主要な動きは以下の通りでした。

113日:米サプライマネジメント協会が発表した10月の製造業景況感指数は48.7と市場予想を下回り、加えて相場が最高値圏にあることなどで、主力株の一部に持ち高調整の売りが出て、226ドル安(0.47%減少)。                                      114日:AI関連銘柄や相場の割高感が意識され、ハイテク株を中心に売りが広がり、251ドル安(0.53%減少)。                                      115日:5日発表のADP全米雇用レポートで、非農業部門の雇用者数は42,000人の増加となり、市場予想の22,000人を上回り、投資家心理の改善につながり、226ドル高(0.47%増加)。        116日:米雇用情勢の減速を示す調査会社のデータを受け、米景気の先行き不透明感が高まり、399ドル安(0.83%減少)。                                    117日:米連邦政府の一部機関閉鎖の解除に向けた動きが進展する思惑が浮上して、75ドル高(0.15%増加)。                                       1110日:米連邦政府機関の一部閉鎖の解除に向けて、連邦議会上院が9日につなぎ予算を採決するための動議を可決し、近く上院で予算が可決する見通しになったことから、382ドル高(0.81%増加)。                                    1111日:つなぎ予算が上院だけでなく、12日は下院でも採決される見通しになったことで、米政府機関の再開に向けた動きが前進したことで、559ドル高(1.18%増加)。              1112日:米政府機関の一部閉鎖が解除に向かっているとの見方が引き続き、投資家心理を支えて、327ドル高(0.68%増加)。                                 1113日:連日で最高値を更新した後で、AI銘柄を中心に売りが広がり、798ドル安(1.65%減少)。                                         1114日:FRBの追加利下げ観測の後退が引き続き重荷となったことや米経済を巡る不透明感が根強いことで、310ドル安(0.65%減少)。                             1117日:FRBの追加利下げ観測が後退し、エヌビディアも決算発表前に持ち高調整の売りが優勢となり、557ドル安(1.18%減少)。                               1118日:19日のエヌビディアの決算発表を控えて、多くのハイテク株などに売りが出て、499ドル安(1.06%減少)。                                      1119日:主力株の一角を買い戻す動きがあり、相場を支えて、47ドル高(0.10%増加)。     1120日:同日発表の9月の米雇用統計で非農業部門の雇用数が前月比119000人増え、市場予想を上回ったものの、失業率は4.4%と市場予想より高く、2110月以来の高水準となり、評価が分かれた。一方、エヌビディアは好決算で一時5%近く上昇したものの、ビットコインが急速に下がり、投資家心理が悪化して、387ドル安(0.83%減少)。                          1121日:FRB12910日に開くFOMCで利下げを決めるとの観測が高まり、主力株に買いが入り、493ドル高(1.07%増加)。                                 1124日:FRBの追加利下げ観測が高まりから、ハイテク株に買いが広がり、203ドル高(0.43%増加)。                                           1125日:25日発表の米小売売上高は前月比0.2%増と市場予想を下回り、9月の米卸売物価指数も食品とエネルギーを除くコアが前月比0.1%上昇と市場予想に届かず、FRBの利下げ観測を支える内容であったことで、664ドル高(1.42%増加)。                            1126日:低調な米経済指標を受けて、FRBの追加利下げ観測が意識されて投資家心理が改善し、315ドル高(0.66%増加)。                                    1128日:FRB12910日に開くFOMCで利下げを決めるとの観測が高まり、289ドル高(0.60%増加)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が20日に発表した9月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比119,000人で、市場予想の50,000人を大きく上回りました。7月の雇用者数の確定値は72,000人で、9000人の減少、8月の改定値はマイナス4,000人で、26,000人の減少でした。9テ氏関税の領が月の失業率は4.4%で、前月より0.1%悪化しました。労働参加率は62.4%で、前月より0.1%増加しました。8月の時間当たりの賃金上昇率は前月比で9セント増加しました。部門別ではヘルスケア部門が43,000人の増加、飲食サービス部門が37,000人の増加、ソーシャル・アシスタンス部門が14000人の増加でしたが、運輸・倉庫部門は25,000人の減少となりました。


3.10月のFOMC要旨

FRB1119日に、102829日に開いたFOMCの議事録を公表しました。多くの参加者が政策金利を少なくとも年末まで据え置くとの見通しをしていたことがわかりました。このため、12910日に予定される次回のFOMCは分裂含みで、複数の連銀総裁がインフレ率の高止まりを警戒して追加利下げに慎重な発言をしています。一方、一部の理事は雇用情勢の失速懸念を強調して、次回の利下げへの支持を表明しています。

              2025121日:村方 清

           

 

Saturday, November 1, 2025

AI 投資への期待が高いIT関連企業がリードした市場








1.10月の株式式市場    

10月の株式市場は、米中の通商問題の懸念がったものの、大きく相場を動かしたはAI投資への期待が高いIT株で、月間で164ドルの上昇となりました。主要な動きは以下の通りでした。

101日:労働市場の減速を示す経済指標の発表を受けてFRBによる追加利下げ観測が高まり、株買いを支えて、43ドル高(0.09%増加)。                          

102日:FRBが追加利下げに踏み切るとの観測が引き続き相場の支えとなり、79ドル高(0.16%増加)。                                        

103日:FRBの追加利下げ観測や米株式相場の先高観が意識され、出欧れていたディフェンシブ株などが買われて、239ドル高(0.51%増加)。                      

106日:連日で最高値を更新した後で、景気敏感株や消費関連株の一角に利益確定や持ち高調整のの売りが出て、63ドル安(0.13%減少)。                        

107日:先週末に最高値を付けるなど短期的な過熱感が意識される中、ハイテク株の一部に利益確定の売りが出て、92ドル安(0.19%減少)。                       

108日:米連邦政府機関の一部閉鎖が長引く可能性がある中で、消費財関連の一角の下げが指数の重荷になり、1ドル安。                                

109日:株式相場の過熱感が意識される中、主力株に利益確定の売りが出て、243ドル安(0.52%減少)。                                     

1010日:中国政府がレアアースの輸出規制を打ち出したことで、トランプ大統領が過剰に反応して、対中関税の引き上げを示唆したことで、米中関係悪化への警戒が広がり、879ドル安(1.89%減少)。

1013日:先週末に強まった米中の貿易摩擦に対する警戒が一服し、主力株を買う動きが広がり、588ドル高(1.29%高)。                              

1014日:FRBのパウエル議長が量的引き締めの終了が近いことを示唆したことで、投資家心理が改善し、201ドル高(0.44%増加)。                           

1015日:米中貿易摩擦への懸念が強く、ダウ平均の重荷となり、17ドル安(0.03%減少)。   1016日:銀行業界の健全性を巡る懸念から金融株全般が売られ、相場の重荷となり、301ドル安(0.65%減少)。                                    

1017日:米地銀の信用不安を巡る警戒感が和らぎ、投資家のリスク回避姿勢が後退し、238ドル高(0.51%増加)。                                   

1020日:貿易問題を巡る米中の対立が緩和に向かうとの見方から、516ドル高(1.11%増加)。

1021日:四半期決算の発表を手掛かりとした買いが一部の銘柄に入り、218ドル高(0.46%増加)。                                         1022日:銀行業期の健全性を巡る懸念から金融界全体が売られ、相場の重荷となり、334ドル安(0.71%減少)。                                    

1023日:79月期決算の発表が本格化する中、業績が好調なハネウエルなどの銘柄に買いが入り、144ドル高(0.30%増加)。                             

1024日:同日朝に発表された9月の米消費者物価指数が前年同月比3%と市場予想を下回り、FRBが来週の会合で利下げを決めるとの見方が強まり、主力株に買いが入って、473ドル高(1.01%増加)。

1027日:米中対立が緩和に向かうとの期待から、ハイテク株を中心に主力株に買いが広がり、337ドル高(0.71%増加)。                               

1028日:米中貿易摩擦や米利下げ観測に加えて、エヌビディアなど個別に好材料のだた銘柄の買いが主要株価指数を押し上げて、162ドル高(0.34%増加)。               

1029日:FOMC会合後の記者会見で、パウエル議長が12月の利下げが既定路線ではないとの認識を示したことで、利下げ期待感が後退し、74ドル安(0.15%減少)。              

1030日:AI関連の投資拡大懸念からテック株が売られたことに加え、米中貿易交渉の結果が市場の期待に届かなったとの見方が重荷となり、110ドル安(0.23%減少)。          

1031日:前日に好調な四半期決算を発表したアマゾンが相場を支え、41ドル高(0.09%増加)。

 

2.8月の米消費者物価指数は前年同月比で2.9%上昇

米労働省が24 日に発表した9 月の消費者物価指数は前年同月比の上昇率が8月の2.9%から3.0%に加速しましたが、市場予想の3.1%は下回りました。伸びはトランプ大統領が大規模な相互関税を公表した4月の2.3%から加速を続けています。輸入品の多い衣類や家具が値上がりするなど、企業が関税の支払い分を販売価格に転嫁する動きが続いています。

エネルギーと食品を除くコア指数も3.0%上昇しましtが、8月と同じく、3.1%との予想より下回りました。

FOMCの見方は分かれており、一部の理事は家賃や電気代を含めたサービス価格の伸びが3%半ばから鈍化しにくくなていいると警戒心を示しました。これに対し、関税の影響を除いた基調的なインフレ率はかなり低い水準で推移していると主張する理事もいます。

 

310月のFOMC会合

FOMC会合は1028-29日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました。利用可能な指標は、経済活動が緩やかなペースになっていることを示唆している。雇用の伸びは今年減速し、失業率は上昇したものの依、8月まで低い水準にとどまっている。より最近の指標はこれらの動きと一いしている。インフレ率は年初から上昇し、やや高い水準で推移している。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。経済見通しに関する不確実性は依然として高い水準にある。FOMC2つの責務の双方に対するリスクに細心の注意を払い、最近数カ月で雇用の下振れリスクが高まったと判断している。

目標達成を支えるために、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.25%引き下げて、3.754.0%に据え置くことを決めた。FF金利の目標レンジのさらなる調整の程度と時期を検討する際、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびリスクのバランスを慎重に評価する。

FOMC121日をもって保有証券の削減を終了することを決定した。FOMCは雇用の最大化を支援し、インフレを2%目標に戻すことに強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む10人のメンバーの賛成による。今回の決定にミラン理事は0.5 %の利下げを希望し、カンザスシティ連銀のシュミット総裁が金利の据え置きを望んで反対した。

今回のFOMCでは、0.25%の利下げを決めたものの、FOMC会合後の記者会見で、パウエル議長が12月の利下げが既定路線ではないとの認識を示したことで、利下げ期待感が後退し、74ドル安となりました。 

         (2025111日: 村方 清)

                                                  

  

Wednesday, October 1, 2025

利下げ期待が先行する米株式市場


 







1.9月の株式式市場     

9月の株式市場は、関税などによるインフレ率の上昇を懸念するFRBと雇用状態悪化を理由に株式市場の更なる上昇を求めるトランプ政権の対立が表面化、17日にFOMCが金利を下げたことで、上昇相場が続きました。主要な動きは以下の通りでした。

92日:米国の財政不安を背景に米長期金利が上昇し、株式の割高感が意識され、249ドル安(0.54%減少)。                                       

93日:米経済や財政を取り巻く不透明感から、景気敏感株などが売られて、25ドル安(0.05%減少)。                                          

94日:4日発表のADP全米雇用レポートで、非農業部門の雇用数は前月比54,000人増と市場予想の75,000人増を下回り、FRBの利下げ再開との観測から、350ドル高(0.77%増加)。      

95日:朝方発表の8月の雇用統計で、非農業部門の雇用者数は前月比22,000人の増加で、市場予想の80,000人を大きく下回り、失業率も4.3%と前月の4.2%を上回ったことで、経済の先行き不透明感が強まったことで、主力株を中心に売りが広がり、220ドル安(0.48%減少)。     

98日:FRBが来週にも利下げをするとの観測が投資家心理を支えて、ハイテク株や消費関連株の一角に買いが入り、114ドル高(0.25%増加)。                        

99日:米雇用統計の年次改訂で労働市場の減速が示されたことを受け、市場ではFRBの利下げ観測が強まり、196ドル高(0.4%増加)。                         

910日:11日発表の8月の消費者物価指数を見きわめたい雰囲気が強い中、主力株の一部に利益確定の売りが出て、220ドル安(0.48%減少)。                       

911日:11日に発表された8月の米消費者物価指数が前年同月比2.9%の上昇で市場予想と一致したものの、来週のFRBの利下げを妨げるほどのものではないと受け止められて、617ドル高(1.35%増加)。                                     

912日:前日に大幅に上昇、最高値を更新した後で主力株に利益確定の売りが出て、274ドル安(0.59%減少)。                                     

915日:米中の貿易問題に関する閣僚会議の進展やFRBの利下げ観測の期待から、49ドル高(0.10%増加)。                                     

916日:117日のFOMCの結果を見極めたい雰囲気の中で、主力株の一部に持ち高調整の売りが出て、126ドル安(0.27%減少)。                             

917日:FRB17日のFOMC0.25%の利下げを決め、今後も利下げを継続する見通しを示したことで、景気敏感株や消費関連株に買いが入り、260ドル(0.56%増加)。            

918日:FRBが前日に利下げを再開したことで、引き続き相場の支えとなり、124ドル高(0.26%増加)。                                     

919日:FRBが利下げを続けることで米経済を支えるとの見方や米中首脳が電話で両国間の課題について対話を続けることを確認したことで、173ドル高(0.37%増加)。           

922日:前週末に続き、アップルやエヌビディアなどのハイテク株を中心に株式相場を牽引し、66ドル高(0.14%増加)。                                

923日:FRBのパウエル議長が株価がかなり高いことに関連して、追加の利下げに慎重な姿勢を示したとの見方から、ハイテク株などに利益確定の売りが出たことで、89ドル安(0.19%減少)。

924日:主要株価指数が過去最高圏で推移する中、ハイテク株を中心に利益確定売りが出て、172ドル安(0.37%減少)。                                

925日:25日発表の米経済指標が景気の底堅さを示したことで、FRBが利下げを急ぐ必要が薄れたとの観測から、売りが優勢で、174ドル安(0.38%減少)                  

926日:同日発表の8月の米個人消費支出物価指数が市場予想と一致する内容であったことで、年内の追加利下げを揺るがすものではないとの見方から、300ドル高(0.65%増加)。      

929日:米利下げ継続期待による買いが続き、69ドル高(0.14%増加)。          

930日:ファイザーなど製薬会社とトランプ政権の薬価引き下げの合意の動きが続いていることで、82ドル高(0.18%増加)。

  

2.米国の雇用状況

米労働省が5日に発表した8月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比22,000人で、市場予想の80,000人を大きく下回りました。6月の雇用者数の確定値はマイナス13,000人で27,000人の減少、7月の改定値は79,000人で、6,000人の増加でした。7テ氏関税の領が月の失業率は4.3%で、前月より0.1%悪化しました。労働参加率は62.3%で、前月より0.1%増加しました。8月の時間当たりの賃金上昇率は前月比で10セント増加しました。部門別ではヘルスケア部門が31,000人の増加、ソーシャル・アシスタンス部門が16,000人の増加でしたが、政府部門は15,000人の減少、卸売部門が12,000人の減少、製造業が12,000人の減少となりました。

 

3.  8月の米消費者物価指数は前年同月比で2.9%上昇

米労働省が11日に発表した8月の消費者物価指数は前年同月比の上昇率が7月の2.7%から2.9%に加速しました。食品は前月比で0.5%値上がりし、およそ2年半ぶりの高い伸び率になりました。トランプ政権は一部品目に関税を免除するなどの対応に追われています。

CPIはおおむね予想通りの結果となり来週1617日のFOMC会合で利下げ再開を確信させる内容と受け止められています。物価上昇率の水準は高いものの、FRBの関心はやや雇用情勢の悪化リスクへの対応に重心を置きつつあります。

 

49月のFOMC会合

FOMC会合916-17日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました最近の指標は、経済活動の伸びが緩やかになっていることを示唆している。雇用の伸びは減速し、失業率は小幅に上昇したものの依然として低水準にある。インフレ率は上昇、やや高い水準で推移している。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。経済見通しに関する不確実性は依然として高い水準にある。FOMC2つの責務の双方に対するリスクに細心の注意を払ってい、雇用の下振れリスクが高まったと判断している。

目標達成を支えるために、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.25%引き下げて、44.25%に据え置くことを決めた。FF金利の目標レンジのさらなる調整の程度と時期を検討する際、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびリスクのバランスを慎重に評価する。

FOMCは、国債、住宅ローン担保証券の保有額を引き続き削減する。FOMCは雇用の最大化を支援し、インフレを2%目標に戻すことに強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む11人のメンバーの賛成による。ミラン理事は0.5 %の利下げを希望し、反対票を投じた。

今回のFOMCでは、0.25%の利下げを決めると同時に、今後も利下げを継続する見通しを示したことで、景気敏感株や消費関連株に買いが入り、ダウ平均は260ドル高となりました。但し、ナスダックとSP500の平均は73ドル安と6ドル安になりました。

           2025101日: 村方 清

 

Monday, September 1, 2025

関税によるインフレ懸念と利下げ期待が交錯する市場








1.8月の株式市場

8月の株式市場は関税によるインフレの影響が限定的であったことやFRBによる利下げ期待への高まりで、上昇傾向となりました。但し、トランプ大統領による相互関税については829日にワシントンの連邦控訴裁判所が一審に続いて違憲との判断を下しており、今後の展開が注目されます。主要な動きは以下の通りでした。

81日:朝方発表の7月の雇用統計で、非農業部門の雇用者数は前月比73,000人の増加で、市場予想の100,000人を大きく下回り、失業率も4.2%と前月の4.1%を上回ったことで、経済の先行き不透明感が強まったことで、主力株を中心に売りが広がり、542ドル安(1.22%減少)。     

84日:前週末に市場予想を下回った7月の雇用統計を受けて500ドル超下げたが、企業が相次いで好業績を残していることで、下げを取り戻して、585ドル高(1.34%増加)。        

85日:米政権による関税政策が景気を冷やすとの懸念が強く、ハイテク株を中心に主力株に売りが出て、62ドル安(0.14%減少)                            

8月6日:米国での生産拡大のために1000憶ドルの追加投資を決めたアップルが大幅に上昇し、81ドル高(0.18%増加)。                                  

8月7日:米経済を巡る先行き不透明感が根強く、景気敏感株や消費者関連株に売りが優勢で、224ドル安(0.50%減少)。                                  

8月8日:FRBが次回9月の会合で利下げをするとの見方が広がり、207ドル高(0.47増加)。  

811日:金融政策を見極める上で重要な物価指標が発表されるのを前に、高値圏に会ったハイテク株などに利益確定売りが出て、201ドル安(0.45%減少)。                 

812日:朝方発表の7月の米消費者物価指数が概ね市場予想通りとなり、物価上昇への過度な警戒が和らぎ、484ドル高(1.09%増加)。                          

813日:FRB9月に利下げの観測が強まり、株を買う動きが優勢で、464ドル高(1%増加)。

814日:朝方発表の米卸売物価指数が前月比0.9%と市場予想の0.2%を大きく上回り、関税引き上げの影響が企業の収益を圧迫しているとの懸念が改めて広がり、11ドル安(0.2%増加)。  

815日:同日発表の7月の米小売売上高は前月比0.5%増と市場予想と一致するものの、8gg圧のニューヨーク連銀のの製造業景況感指数は紫綬予想を大幅に上回るなどまちまちで、週末をはさんで伸び悩んで35ドル高(0.07%増加)。                        

818日:昨年12月に着けた最高値に迫っており、持ち高調整や利益確定の売りが優勢で、34ドル安(0.07%減少)。                                   

819日:同日に四半期の好決算を発表したホーム・デポが相場の上昇をけn引きしたが、ジャクソンホール会議を前に投資家の慎重姿勢も強く、10ドル高(0.02%増加)。          

820日:米利下げ期待が強い反面、半導体やハイテク株に利益確定や持ち高調整の売りも優勢で、16ドル高(0.03%増加)。                              

821日:四半期決算を発表したウォルマートが4.4%と大幅に下落し、他の消費関連株も連れ安して相場の重荷となり、153ドル安(0.34%減少)。                     

822日:FRBのパウエル議長の講演をうけて、利下げ期待から幅広い銘柄に買いが広がり、846ドル高(1.89%増加)。                                  

825日:FRBの利下げ観測を背景に先週末に最高値を記録した後で、主力株に利益確定の売りが出て、349ドル安(0.76%減少)。                             

826日:同日発表の米経済🅂指標が景気の底堅さを示したとの見方から、主力株の一部に買いが入り、136ドル高(0.30%%増加)。                            

827日:早期の利下げ観測が意識される中、相場全体に出遅れ感のある割安な銘柄が買われ、147ドル高(0.32%増加)。                                

828日:同日発表の2025年第2四半期の米国実質国内生産(GDP)がゼ年同期比3.3%増と市場予想を上回り、投資家心理が改善し、72ドル高(0.15%増加)。               

829日:AI需要を巡る不透明感が浮上し、ハイテク株を中心に売りが出て、92ドル安(0.20%減少)。

                                                                                     

2.米国の雇用状況

米労働省が1日に発表した7月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比73,000人で、市場予想の100,000人を下回りました。5月の雇用者数の確定値は19,000人で135,000人の減少、6月の改定値は14,000人で、133,000人の減少でした。7テ氏関税の領が6月の失業率は4.2%で、前月より0.1%悪化しました。労働参加率は62.2%で、前月より0.1%減少しました。3月の時間当たり賃金上昇率は前月比で12セント増加しました。部門別ではヘルスケア部門が55,000人の増加、ソーシャル・アシスタンス部門が18,000人の増加でしたが、政府部門は12,000人の減少となりました。

 

3. 米消費者物価指数は前月比0.2%上昇

朝方発表の7月の米消費者物価指数は前月比0.2%上昇、市場予想通りのものとなりました。一方、エネルギーと食品を除くコア指数は3.1%と予想を上回ったものの、債券市場では安ど感が勝り、FRB9月の利下げを見込んで2年債利回りが低下しました。

関税の影響については、見方が分かれています。相互関税の基礎税率10%が4月に発動して3か月がたち、物の価格に一定の上昇圧力をかけているとみられるが、物価全体を押し上げる姿は浮き出ていません。FRBのの高官からは関税インフレを数か月単位では見極まられず、時間軸を修正する声も上がっています。

           (202591日: 村方 清)