Monday, September 1, 2025

関税によるインフレ懸念と利下げ期待が交錯する市場








1.8月の株式市場

8月の株式市場は関税によるインフレの影響が限定的であったことやFRBによる利下げ期待への高まりで、上昇傾向となりました。但し、トランプ大統領による相互関税については829日にワシントンの連邦控訴裁判所が一審に続いて違憲との判断を下しており、今後の展開が注目されます。主要な動きは以下の通りでした。

81日:朝方発表の7月の雇用統計で、非農業部門の雇用者数は前月比73,000人の増加で、市場予想の100,000人を大きく下回り、失業率も4.2%と前月の4.1%を上回ったことで、経済の先行き不透明感が強まったことで、主力株を中心に売りが広がり、542ドル安(1.22%減少)。     

84日:前週末に市場予想を下回った7月の雇用統計を受けて500ドル超下げたが、企業が相次いで好業績を残していることで、下げを取り戻して、585ドル高(1.34%増加)。        

85日:米政権による関税政策が景気を冷やすとの懸念が強く、ハイテク株を中心に主力株に売りが出て、62ドル安(0.14%減少)                            

8月6日:米国での生産拡大のために1000憶ドルの追加投資を決めたアップルが大幅に上昇し、81ドル高(0.18%増加)。                                  

8月7日:米経済を巡る先行き不透明感が根強く、景気敏感株や消費者関連株に売りが優勢で、224ドル安(0.50%減少)。                                  

8月8日:FRBが次回9月の会合で利下げをするとの見方が広がり、207ドル高(0.47増加)。  

811日:金融政策を見極める上で重要な物価指標が発表されるのを前に、高値圏に会ったハイテク株などに利益確定売りが出て、201ドル安(0.45%減少)。                 

812日:朝方発表の7月の米消費者物価指数が概ね市場予想通りとなり、物価上昇への過度な警戒が和らぎ、484ドル高(1.09%増加)。                          

813日:FRB9月に利下げの観測が強まり、株を買う動きが優勢で、464ドル高(1%増加)。

814日:朝方発表の米卸売物価指数が前月比0.9%と市場予想の0.2%を大きく上回り、関税引き上げの影響が企業の収益を圧迫しているとの懸念が改めて広がり、11ドル安(0.2%増加)。  

815日:同日発表の7月の米小売売上高は前月比0.5%増と市場予想と一致するものの、8gg圧のニューヨーク連銀のの製造業景況感指数は紫綬予想を大幅に上回るなどまちまちで、週末をはさんで伸び悩んで35ドル高(0.07%増加)。                        

818日:昨年12月に着けた最高値に迫っており、持ち高調整や利益確定の売りが優勢で、34ドル安(0.07%減少)。                                   

819日:同日に四半期の好決算を発表したホーム・デポが相場の上昇をけn引きしたが、ジャクソンホール会議を前に投資家の慎重姿勢も強く、10ドル高(0.02%増加)。          

820日:米利下げ期待が強い反面、半導体やハイテク株に利益確定や持ち高調整の売りも優勢で、16ドル高(0.03%増加)。                              

821日:四半期決算を発表したウォルマートが4.4%と大幅に下落し、他の消費関連株も連れ安して相場の重荷となり、153ドル安(0.34%減少)。                     

822日:FRBのパウエル議長の講演をうけて、利下げ期待から幅広い銘柄に買いが広がり、846ドル高(1.89%増加)。                                  

825日:FRBの利下げ観測を背景に先週末に最高値を記録した後で、主力株に利益確定の売りが出て、349ドル安(0.76%減少)。                             

826日:同日発表の米経済🅂指標が景気の底堅さを示したとの見方から、主力株の一部に買いが入り、136ドル高(0.30%%増加)。                            

827日:早期の利下げ観測が意識される中、相場全体に出遅れ感のある割安な銘柄が買われ、147ドル高(0.32%増加)。                                

828日:同日発表の2025年第2四半期の米国実質国内生産(GDP)がゼ年同期比3.3%増と市場予想を上回り、投資家心理が改善し、72ドル高(0.15%増加)。               

829日:AI需要を巡る不透明感が浮上し、ハイテク株を中心に売りが出て、92ドル安(0.20%減少)。

                                                                                     

2.米国の雇用状況

米労働省が1日に発表した7月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比73,000人で、市場予想の100,000人を下回りました。5月の雇用者数の確定値は19,000人で135,000人の減少、6月の改定値は14,000人で、133,000人の減少でした。7テ氏関税の領が6月の失業率は4.2%で、前月より0.1%悪化しました。労働参加率は62.2%で、前月より0.1%減少しました。3月の時間当たり賃金上昇率は前月比で12セント増加しました。部門別ではヘルスケア部門が55,000人の増加、ソーシャル・アシスタンス部門が18,000人の増加でしたが、政府部門は12,000人の減少となりました。

 

3. 米消費者物価指数は前月比0.2%上昇

朝方発表の7月の米消費者物価指数は前月比0.2%上昇、市場予想通りのものとなりました。一方、エネルギーと食品を除くコア指数は3.1%と予想を上回ったものの、債券市場では安ど感が勝り、FRB9月の利下げを見込んで2年債利回りが低下しました。

関税の影響については、見方が分かれています。相互関税の基礎税率10%が4月に発動して3か月がたち、物の価格に一定の上昇圧力をかけているとみられるが、物価全体を押し上げる姿は浮き出ていません。FRBのの高官からは関税インフレを数か月単位では見極まられず、時間軸を修正する声も上がっています。

           (202591日: 村方 清)

     

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