Sunday, December 1, 2024

トランプ前大統領の再選確実による株投機性の増大







1.11月の株式市場

11月の株式市場は115日の米大統領選挙でトランプ前大統領の再選が確実になったことで、減税と規制緩和への期待から、投機性が強まる展開になりました。主要な動きは以下の通りでした。

111日:日発表の9月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比12,000人増で、市場予想の100,000人を大きく下回ったが、大型ハリケーンのような、堅調な米景気という全体像は変わっていないとの受け止めが多く、株買いを支えて、289ドル高(0.69%増加)。

114日:5日投票の米大統領・議会選挙を前に主力株の一部に持ち高調整や利益確定目的の売りが出て、258ドル安(0.61%減少)。

115日:米大統領選挙の結果を見極めたい雰囲気が強かったが、景況感の改善を示す米経済指標の発表やFRBによる利下げ観測を背景に株式への買いが入り、427ドル高(1.02%増加)。

116日:5日の米大統領選挙で共和党候補のトランプ前大統領の当選が確実となり、次期政権が減税と規制緩和を進めるとの期待から幅広い銘柄に買いが入り、1508ドル高(3.75%増加)。

117日:前日に最高値を更新した後で、主力株に利益確定の売りが出たが、FRBが追加利下げを発表したことで相場を下支えして、1ドル安(0.00%)。

118日:新政権の毛財政策が米景気を支えるとの見方から0.59%引き続き買いが優勢で、260ドル高(0.59%増加)。

1111日:次期政権が打ち出す減税やっ規制緩和が米景気を押し上げるとの期待が引き続き、相場を支えて、304ドル高(0.69%増加)。

1112日:ダウ平均は大統領選挙の翌日の6日から前日までに2000ドル近く上昇したことで短期的な過熱感により主力株の一角に利益確定や持ち高調整の売りが出て、382ドル安(0.86%減少)。

1113日:10月のCPIは前月比0.2%上昇、エネルギー・食品を除くコアも0.3%上昇で、市場予想通りで、FRBの利下げ方針を変えるほどではないとして、買いが入り、47ドル高(0.10%増加)。

1114日:FRBのパウエル議長が午後の講演で米経済の好調さから、追加の利下げに慎重な見方を示したことで、売りが加速し、207ドル安(0.47%減少)。

1115日:米国の物価上昇圧力が根づよく残る中で、利下げに慎重なFRB高官が増えていることから、306ドル安(0.69%減少)。

1118日:米経済が堅調で根強い物価上昇圧力を背景に。12月の利下げ見送り観測が強まり、55ドル安(0.13%減少)。

1119日:ウクライナとロシアを巡る地政学リスクの高まりがダウ平均の重荷となり、121ドル安(0.27%減少)。

1120日:医療保険や製薬など景気変動の影響を受けにくいディフェンシブ株銘柄への買いが相場を支えて、140ドル高(0.3%増加)。

1121日:エヌビディアなど主力ハイテく銘柄はさえなかったが、金融株や素材株など幅広い業種に買いが入り、462ドル高(1%増加)。

1122日:同日発表の米経済指標が景気の底堅さを示し、景気敏感株や消費関連株などに買いが広がり、426ドル高(0.97%増加)。

1125日:次の財務長官にベッセント氏が指名されたことで、米政府債務が過度に膨張することへの懸念が和らぎ、440ドル高(1%増加)。

1126日:同日午前発表の11月の米消費者信頼度指数は111.710月の109.6から改善し、市場予想も上回ったことで、米景気の底堅さを示したとの見方が広がり、124ドル高(0.27%増加)。

1127日:前日にかけて最高値を更新した後で、主力株に利益確定の売りが出て、138ドル安(0.30%減少)。

1129日:米債券市場で長期金利が4.2%前後と前営業日の終値を下回って推移し、株式の相対的な割高感が薄れて、189ドル高(0.42%増)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が111日に発表した10 月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比12,000人の増加で、市場予想の100,000人を大きく下回りました。8月の雇用者数の確定値は159,000人で78,000人の増加、9月の改定値は223,000人で、31,000人の減少でした。9月の失業率は4.1%で、前月と同水準でした。労働参加率は62.6%で、前月より0.1%低下しました。10月の時間当たり賃金上昇率は前月比で13セント増加しました。部門別ではヘルスケア門が52,000人の増加、政府部門が40,000人の増加、建設業部門が8,000人の増加となりましたが、製造業部門は46,000人の減少となりました。

 

3.米消費者物価指数は102.6%上昇、前月から加速

米労働省が13日公表した10月の米消費者物価指数は前年同月比で2.6%の上昇で、市場予想通りでした。エネルギーと食品を除くコア指数も前年同月比で3.2%の上昇で、これも市場予想通りでした。FRBのパウエル議長は7日の記者会見で今後12カ月はCPIで強弱が変化しても、インフレ率の鈍化シナリオは揺るがないと自信を示しました。

しかしながrs、トランプ次期大統領は公的に一律関税や大幅な減税措置、移民の強制送還などを掲げており、いずれも実現すれば、物価を押し上げる可能性があり、一部のエコノミストからはインフレ再燃のリスクがあることを指摘しています。

                (2024121日: 村方 清)