Tuesday, March 31, 2026

米国とイスラエルによるイラン攻撃と株式市場不安定化









3月の株式市場

3月の株式市場は 228日に米国がイスラエルとの共同でイラン攻撃をしたことで、イラン側が徹底抗戦をの意思を示し、原油価格が急騰、株式市場の不安定化が一層進んでいます。主要な動きは以下の通りでした。

32日:中東情勢の緊迫化を受け、ダウの下げ幅は一時600ドルに迫ったが、売り一巡後は主力株の一角が買い直され、73ドル安(0.14%減少)。                     

33日:米国とイスラエルによるイラン攻撃が長期化するとの懸念が重荷となり、404ドル安(0.82%減少)。                                     

34日:米国・イスラエルとイランとの衝突を巡る過度な警戒が薄れ、ハイテク株や景気敏感株にの一角が買い戻され、238ドル高(0.49%増加)。                      

35日:中東での軍事衝突が長期化するとの懸念から、原油先物相場の上昇などで、投資家のリスク回避姿勢が強まり、785ドル高(1.60%減少)。                     

36日:6日発表の2月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比9.2万人減と市場予想を50,000 人から60,000人を上回り、失業率も昨年12月の4.4%か4.3%へ低下して、利下げ観測が低下したことで、67ドル安(0.13%減少)。                        

39日:トランプ大統領がイランへの攻撃が早期に終結する可能性に言及し、主力株を買い直す動きが広がり、239ドル高(0.50%増加)。                         

310日:イランがホルムズ海峡で機雷の設置を始めたと伝えたこともあり、中東のの太不透明感が重荷となり、34ドル安(0.07%減少)。                         

311日:中東の緊迫が続く中で、米原油相場が前日比で上昇したことが重荷となり、289ドル安(0.60%減少)。                                     

312日:中東情勢の緊迫を背景に原油先物相場が再び騰勢を強め、投資家心理が悪化、739ドル安(1.55%減少)。                                    

313日:中東情勢をめぐる不透明感が根強く、原油相場が高止まりして、リスク回避の退かぬ売りが優勢で、119ドル安(0.25%減少)。                          

316日:原油先物市場の上昇が一服し、幅広い銘柄に買い直す動きが出て、388ドル高(0.83%増加)。                                         

317日:主力株を買い直す動きが続き、47ドル高(0.09%増加)。             

318日:FRB18日まで開いたFOMCで政策金利の据え置きを決定、早期の追加利下げ観測が後退して、米長期金利が上昇、投資家心理が悪化、768ドル安(1.63%減少)。          

319日:FRBによる早期利下げの観測の後退が引き続き、株売りにつながり、204ドル安(0.44%減少)。                                         

320日:米軍がイランに対する軍事核攻撃を拡大する可能性が意識され、週末を前に投資家のリスク回避姿勢が強まり、444ドル安(0.96%減少)。                     

323日:トランプ大統領がイランとの実りある協議を行ったことを明らかにして、イランの発電所及びエネルギーインフラに対する全ての軍事攻撃を5日間延期するように指示したことで、イラン情勢の一段の悪化への懸念が一時的に後退して、631ドル高(1.38%増加)。         

324日:イスラエルとイランとの軍事衝突が長期化するとの懸念が引き続き相場の重荷となり、84ドル安(0.18%減少)。                                

325日:米国がイランに和平案を提示したとの報道を受け、投資家のリスク回避姿勢がやや後退して、305ドル高(0.66%増加)。                             

326日:米国とイランとの停戦交渉が難航するとの警戒感が高まり、株売りが膨らみ、469ドル安(1.01%減少)。                                    

327日:中東での軍事衝突が激化し、緊張状態が長期化しかねないとの懸念が強く、週末を前に主力株への売りが広がり、793ドル安(1.72%減少)。                        

330日:米国とイランとの停戦協議の進展期待から、50ドル高(0.10%増加)。          

331日:米国とイランの軍事衝突が終結に向かうとの観測が浮上し、景気敏感株やハイテク関連など幅広い銘柄に買いが広がり1125ドル高(2.48%増加)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が6日に発表した2月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比92,000人の減少で、市場予想の50,000人から60,000人の減少を上回りました。12月の雇用者数の確定値は48,000人で、17,000人の減少、1月の改定値は126,000人で、4,000人の減少でした。2テ氏関税の領が月の失業率は4.4%で、前月より0.1%上昇しました。労働参加率は62.0%で、前月より0.5%減少しました。2月の時間当たりの賃金上昇率は前月比で15セント増加しました。部門別ではヘルスケア部門が28,000人の減少、情報部門が11,000人の減少、ソーシャル・アシスタンス部門が9,000人の増加であったものの、輸送・倉庫業部門は11,000人の減少となりました。

 

31月のFOMC会合

FOMC会合は12728日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました。利用可能な指標は、経済活動が着実なペースになっていることを示唆している。雇用の伸びは鈍いままで、失業率はここ数か月ほとんど変化していない。インフレ率はやや高い水準で推移している。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。経済見通しに関する不確実性は依然として高い水準にある。中東での動向が米経済に与える影響は不透明だ。FOMC2つの責務の双方に対するリスクに細心の注意を払っている。

目標達成を支えるために、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを3.53.75%で維持することを決めた。FF金利の目標レンジのさらなる調整の程度と時期を検討する際、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびリスクのバランスを慎重に評価する。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

FOMCは準備預金残高が十分な水準まで減少したと判断し、準備金を恒常的に十分な水準に維持するために、必要に応じて短期国債の購入を開始する。

決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む11人のメンバーの賛成による。今回の決定にミラン理事が0.25%の利下げを求めて反対した。

今回のFOMCの決定は中東情勢の悪化から原油価格の先高観が根強く、インフレ懸念を意識したものとなり、政策金利の据え置きとなりました。FRBの早期利下げ観測が後退したのを受けて、株式市場は売りが優勢で、ダウは768ドル安(1.63%減少)となりました。

           (202641日:村方 清)

Sunday, March 1, 2026

トランプ関税への最高裁の違憲判決やイラン情勢緊迫化で揺れる市場








2月の株式市場

2月の株式市場は220日に米連邦最高裁判所が昨年42日にトランプ大統領が実施した相互関税について下級裁判所と同様に違憲判決を出したことや月末にトランプ大統領がイスラエルと共にイランへの攻撃を始めたことで、株式市場の不安定度が高まりました。主要な動きは以下の通りでした。

22日:2日発表のISM製造業景況化指数が52.6と市場予想の48.4を上回ったことで、景気の底堅さを新下との受け止めから、515ドル高(1.05%増加)。                                 

23日:AIの代替懸念でハイテク株に売りが広がり、167ドル安(0.33%減少)。       

24日:消費関連や医薬品などディフェンシブ銘柄に買いが入り、260ドル高(0.52%増加)。 

25日:ハイテク株が下げ止まらず、投資家がリスク回避姿勢に傾いたことで、593ドル安(1.19%減少)。                                     

26日:今週下げが目立っていたソフトウエア株の売りが一服したことで、投資家心理が改善、半導体などを中心に買いが広がり、1207ドル高(2.46%増加)。               

29日:半導体やソフトウエア株に買いが入り、20ドル高(0.04%増加)。          

210日:一部の景気敏感株などに買いが入り、指数を支えて、52ドル高(0.10%増加)。   

211日:11日発表の1月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比13万人増と市場予想を55,000人を上回り、失業率も昨年12月の4.4%か4.3%へ低下して、利下げ観測が低下したことで、67ドル安(0.13%減少)。                              

212日:AIが既存企業の業務を代替するとの懸念が引き続き意識され、669ドル安(1.33%減少)。                                          

213日:1月のCPIは前年同月日2.4%上昇と市場予想の2.5%を下回り、FRBが追加利下げに動きやすくなるとの観測から、49ドル高(0.09%増加)。                   

217日:米国とイランの核問題に関する協議が進展しているとの期待が投資家心理を支えて、32ドル高(0.06%増加)。                                  

218日:エヌビディアやアマゾンなどの巨大ハイテク株が買われ、129ドル高(0.26%増加)。 

219日:核協議を巡って米国とイランの関係が緊迫しており、中東の地政学リスクへの警戒が重荷となり、268ドル安(0.53%減少)。                           

220日:米連邦最高裁がトランプ政権の課した相互関税などに違憲判決を下し、相場の支えとなって、231ドル高(0.46%増加)。                                 

223日:米連邦最高裁が220日に相互関税やファンタニル関税を違憲と判断したことを受けて、トランプ大統領は新たな関税の税率を15%に上げると表明したが、関税をめぐる不透明感が増したことやAIが既存企業の事業モデルを揺るがすとの懸念が売りが膨らんで、822ドル安(1.65%減少)。                                         

224日:AIが既存事業のビジネスもドルを揺るがすとのAI脅威論を背景に前日に相場が大きく下げた後で、一部の主力株に買いが入り、370ドル高(0.75%増加)。             

225日:ソフトウェア関連株やエヌビディアを買い直す動きが続いて、308ドル高(0.62%増加)。                                          

226日:四半期決算を発表したセールスフォースやIBMなどが買われて、17ドル高(0.03増加)。                                          

227日:トランプ大統領が画策するイラン情勢の緊迫でリスク回避の動きが鮮明で、521ドル安(1.1%減少)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が11日に発表した1月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比130,000人         で、市場予想の55,000人を上回りました。11月の雇用者数の確定値は41,000人で、15,000人の減少、12月の改定値は48,000人で、2,000人の減少でした。1テ氏関税の領が月の失業率は4.3%で、前月より0.1%低下しました。労働参加率は62.5%で、前月より0.1%増加しました。12月の時間当たりの賃金上昇率は前月比で15セント増加しました。部門別ではヘルスケア部門が82,000人の増加、ソーシャル・アシスタンス部門が42,000人の増加であったものの、建設業部門は33,000人の減少となりました。

 

3.米連邦最高裁によるトランプ大統領の相互関税への違憲判決

米連邦最高裁判所は220日に、トランプ政権が下級審の判決を不服として、控訴していた昨年42日に国際緊急経済権限法(IEEPA)による相互関税について、528日の国際貿易裁判所と829日の連邦控訴裁判所でと同様に、IEEPAによる関税権限は連邦議会に与えられているもので、大統領には権限がないとする判決を下しました。今回の最高裁判所による判決は最初から専門家の間では予想されていたことですが、トランプ大統領は法律の一方的な解釈で強引に実施してきました。そして、トランプ政権が相互関税によって徴収した金額は昨年1214日時点で1200億ドルとされており、今後はどのようにして徴収した関税額を返還するかが大きな課題になります。なお、トランプ大統領は、最高裁による違憲判決に対して1974年通商法122条による新たな10%の関税を222日から150日発動すると発表しましたが、それについても従来大統領権限で実施された例はなく、新たな混乱を市場に与えています。

            202631日:村方 清)