Friday, March 1, 2024

インフレ懸念が和らぎ、最高値を更新する米株式市場








1.2月の株式市場

2月の株式市場は全体としてインフレ懸念が和らぐ経済指標が多かったことで、市場最高値を更新しました。主要な動きは、以下の通りでした。

21日:1日発表の米新規失業保険申請件数は224,000件で、市場予想の214,000件を上回り、労働需給の緩和を示したことで、物価上昇がいt団と鎮静化するとの期待から、米長期金利が低下、株買いが広がり、370ドル高(0.96%増加)。

22日:2日発表の1月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比353,000人増で、市場予想の185,000人を大きく上回り、FRBの早期利下げ観測が後退したものの、米経済の底堅さを示したものとの見方も出て、135ドル高(0.34%増加)。

25日:5日発表の1月の米サプライマネジメント協会の非製造業景況感指数は53.4と市場予想の52.0を大きく上回り、早期の利下げ観測が後退し、274ドル安(0.70%減少)。

26日:米経済の底堅さを示す経済指標を背景にした長期金利の上昇が一服し、株式の相対的な割高感が薄れて買いが入り、141ドル高(0.35%増加)。

27日:米経済のソフトランディング期待や米企業の業績改善の好感した買いが入り、156ドル高(0.40%増加)。

28日:前日に四半期決算を発表したウォルトディズニーが11%と急騰、ダウ平均を支えて、48ドル高(0.12%増加)。

29日:前日にかけて連日で過去最高値を更新しており、主力株の一角に利益確定の売りが出て55ドル安(0.14%減少)。

212日:米経済がソフトランディングに向かうとの期待から相場を押し上げ、126ドル高(0.32%増加)。

213日:朝方発表の1月の米消費者物価指数の上昇率が3.1%と市場予想の2.9%を上回り、FRBによる早期利下げ観測が一段と後退し、幅広い銘柄に売りが出て、523ドル安(1.35%減少)。

214日:前日に大きく下げた反動で、ハイテク株や景気敏感株の一角に押し目買いが入り、152ドル高(0.39%増加)。

215日:前日に続き、景気敏感株や消費関連株を中心に押し目買いが続き、米長期金利も低下し、349ドル高(0.90%増加)。

216日:前日発表の1月の米卸売物価指数が前月比0.3%と市場予想の0.1%上昇を上回り、FRBの早期利下げ観測が後退、米長期金利も上昇し、株式の相対的な割高感が意識され、145ドル安(0.37%減少)。

220日:主要株価が高値圏にある中、主力株に売りが出て、64ドル安(0.16%減少)。

2月21日:主力株を中心に売りが出て安く推移する時間がかかったが、取引終了にかけて上昇に転じて、48ドル高(0.12%増加)。

222日:市場予想を上回る四半期決算を発表した画像処理半導体のエヌビディアが急伸し、ハイテク株や半導体株を中心に買いが広がり、457ドル高(1.18%増加)。

223日:出遅れ感があった景気敏感株やディフェンシブ株が買われてダウ平均を支え、62ドル高(0.15%増加)。

226日:前週末に最高値を更新した後で、主力株を中心とした利益確定売りが出て、62ドル安(0.15%減少)。

227日:昨日に続いて、前週末に最高値を更新した高値警戒感から、利益確定の売りが出て、97ドル安(0.24%減少)。

228日:29日に発表される1月の米個人消費支出物価指数がインフレ圧力の強まりを示すことへの警戒感から、買いを控える参加者が多く、23ドル安(0.06%減少)。

229日:29日発表の1月の米個人用日支出物価指数はの伸び率は2.8%と市場予想を下回り、インフレに対する過度な警戒が和らぎ、47ドル高(0.12%増加)。ダウ平均では2か月間で846ドル上昇(2.21%増加)、4カ月間連続で上昇。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が22日に発表した1月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比353,000人の増加で、市場予想の180,000人を大きく上回りました。11月の雇用者数の確定値は182,000人で9,000人の増加、12月の改定値は333,000人で、117,000人の増加でした。1月の失業率は3.7%で、前月と同水準でした。労働参加率は62.5%で、前月と同じ水準でした。9月の時間当たり賃金上昇率は前月比で19セント増加しました。部門別では専門・ビジネスサービス業が74,000人の増加、ヘルスケア業が70,000人の増加、小売業が45,000人の増加、ソーシャル・アシスタンス業が30,000人の増加、製造業が23,000人の増加、建設業が17,000人の増加となりました。

 

3.米消費者物価指数は1月に3.1%上昇

米商務省が113日に発表した1月の米個人消費支出物価指数は前年同月比で3.1%上昇し,市場予想の2.9 %を上回りました。一方、エネルギーと食品を除くコア指数は3.9%で、前月比と同じでしたが、市場予想の3.7%を上回りました。

これに対し、個人消費支出(PCE)物価指数はコア指数の上昇率が2312月時点で2.9%まで退化しました。FRBが重視するのはPCEで、PCEで見た伸び率はこの半年間のペースが年率で物価目標の2%を割り込んでいる。FRBのパウエル議長はこの傾向を評価しつつ、この傾向が続くかどうかをさらにデータを蓄積したとしています。

         (2024年31: 村方 清)


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