1.5月の株式市場
5月の株式市場は、米国とイスラエルによるイラン攻撃後の戦闘終結交渉に振り回されたことや米国内の物価高騰による米長期金利の上昇の影響を受けて、不安定な動きとなりました。主要な動きは以下の通りでした。
5月1日:週末を控えて利益確定売りや持ち高調整の売りが主力株の一部に出て、指数の重荷となり、153ドル安(0.30%減少)。
5月4日:アラブ首長国連邦がイランから攻撃を受けたことなど中東情勢の不透明感から主力株に売りが出て、557ドル安(1.12%減少)。
5月5日:原油高に一服感が出たことで、半導体関連株や景気敏感株などの幅広い銘柄に買いが進んで、356ドル高(0.72%増加)。
5月6日:米国とイランの戦闘終結が近いとの期待から幅広い銘柄が買われて、612ドル高(1.24%増加)。
5月7日:イラン政府高官が米国の提案に否定的な見方を示したと伝わり、戦闘終結に向けた不透明感が株売りを誘い、314ドル安(0.63%減少)。
5月8日:半導体株を中心にハイテク株が買われて、投資家心理の支えになり、12ドル高(0.02%増加)。
5月11日:AI需要の拡大による恩恵を受けるとの期待で半導体関連の株への買いが続き、95ドル高(0.19%増加)。
5月12日:同日発表の4月のCPIが前年同月比3.8%と市場予想を上回り、イラン情勢を巡る不透明感も根強い中で、下げが先行したが、ディフェンシブ株の一角に買いが入り、56ドル高(0.11%増加)。
5月13日:同日発表の4月の米卸売物価指数が前月比で1.4%上昇と市場予想の0.5%を大きく上回ったことで、インフレ懸念が強くなり、67ドル安(0.13%減少)。
5月14日:四半期決算が好調であったシスコシステムズなどが急騰し、370ドル高(0.7%増加)。
5月15日:インフレ上昇懸念を背景に米長期金利が上昇し、株式の割高感が意識され、537ドル安(1.07%減少)
5月18日:ソフトウエア株や消費関連株の一角に買いが入り、160ドル高(0.32%増加)。
5月19日:原油価格の高止まりを受けたインフレ懸念で米朝金利が上昇、株の相対的な割高感から売りが出て、322ドル安(0.64%減少)。
5月20日:米国とイランとの戦争終結期待で原油価格が下落し、米国債利回り上昇に歯止めがかかったことが投資家心理の支えになり、645ドル高(1.31%増加)。
5月21日:米国とイランとの戦闘終結が近く合意に至るとの観測が強まり、株買いが優勢となり、276ドル高(0.55%増加)。
5月22日:米国とイランとの交渉が進展しているとの見方から幅広い銘柄が買われて、294ドル高(0.58%増加)。
5月26日:米国とイランとの戦闘終結に向けた交渉の行方を見極めたいとして、主力株に持ち高調整の動きが出て、118ドル安(0.23%減少)。
5月27日:米原油先物価格が下落し、景気敏感株やディフェンシブ株の一角が買われ、183ドル高(0.36%増加)。
5月28日:米国とイランとの戦闘終結に向けた交渉が進んでいるとの観測が引き続き相場を支えて、25ドル高(0.04%増加)。
5月29日:米国とイランとの交渉進展観測を受けて米原油先物価格が下落し、主力株に買いが入り、363ドル高(0.71%増加)。
2.米国の雇用状況
米労働省が5月8日に発表した4月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比115,000人の増加で、市場予想の62,000人の増加を大きく上回りました。2月の雇用者数の確定値はマイナス156,000人で、23,000人の減少、3月の改定値は185,000人で、7,000人の増加でした。4月の失業率は4.3%で、前月と同じ水準でした。労働参加率は61.8%で、前月より0.1%減少しました。3月の時間当たりの賃金上昇率は前月比で6セント増加しました。部門別ではヘルスケア部門が37,000人の増加、輸送・倉庫業部門が30,000人の増加、小売り業部門が22,000人の増加、ソーシャル・アシスタンス部門が17,000人の増加でした。その一方、連邦政府部門は9,000人の減少、情報通信業部門は13,000人の減少となりました。
3.4月の米消費者物価指数は3.8%上昇
米労働省5月12日に発表した4月の消費者物価指数は前年同月比3.8%上昇し、2023年5月以来約3年振りの伸びを記録しました。米国のレギュラーガソリン価格は4月下旬から再び上昇に転じました。5月に入ってからも上がり、1ガロン当たり4.5ドルを超え、米国がイスラエルと共同で始めた2月末のイラン攻撃から5割も跳ね上がりました。
4月は燃料以外のインフレも加速し、食料とエネルギーを除くコア指数は前年同月比で2.8%も上昇しました。
ガソリン価格の急騰は米国民の家計のマインドを急激に悪化させており、FRBは景気への波及効果を丹念に分析、企業や家計が抱くインフレ予想が高まらないように警戒していくと見られます。
(2026年6月1日: 村方 清)
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