Sunday, October 1, 2023

原油先物相場の上昇等によるインフレ懸念が招く不安定な市場









1.9月の株式市場

9月の株式市場は原油先物相場の上昇から、インフレ圧力が高まるとの観測が広がり、連銀の金融引き締めが長期化することへの懸念と月末は連邦議会の混乱から政府機関の一部閉鎖も意識され、不安定な展開となりました。主要な動きは、以下の通りでした。

91日:1日発表の8月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比187,000人増で、市場予想の170,000人を上回ったものの、失業率が3.8%と0.3%上昇し、米金融引き締め長期化への警戒が和らぎ、116ドル高(0.33%増加)。

95日:主要産油国の減産継続方針を受けて原油相場が上昇し、米国の物価上昇率が再び高まるとの警戒が広がり、196ドル安(0.56%減少)。

96日:ISMのサービス景況感指数は前月比1.8%高い54.5で、景気の底堅さを示す内容で、米長期金利が上昇、ハイテク株を中心に売られ、198ドル安(0.57%減少)

97日:前日までの2日間で400ドル近く下げた反動で、ディフェンシブ株を中心に買いが入り、58ドル高(0.17%増加)。

98日:足元で下げが目立ったハイテク株の一角が買い直され、76ドル高(0.22%増加)。

911日:FRBの追加利上げへの警戒感が和らぎ、大手ハイテク銘柄の一部が大幅に上昇、87ドル高(0.25%増加)。

912日:米原油先物相場は12日に1バレル89ドル台前半と約10カ月ぶりの高値を付け、インフレ懸念による金利上昇の警戒からハイテク株を中心に売りが広がり、18ドル安(0.05%減少)。

913日:朝方発表の8月のCPIは前月比3.7%上昇で、市場予想の3.6%を上回り、インフレの沈静化には時間がかかると受け止められ、70ドル安(0.20%減少)。

914日:英半導体設計のアームホールディングスの上場が好調な滑り出しとなり、投資家心理が改善し、景気敏感株を中心に買いが広がり、332ドル高(0.96%増加)

915日:米長期金利が4.33%に上昇する場面があり、株式の相対的な割高感が意識され、半導体需要も措定以上に落ち込むとの懸念も浮上、289ドル安(0.81%減少)

918日:原油高を背景とするインフレ懸念とFRBの金融引き締め長期化への警戒感から一時下げが先行したが、ディフェンシブ株への買いによって、6ドル高(0.02%増加)

919日:原油相場の上昇が続き、インフレ圧力が高まるとの観測が広がり、FRBの金融引き締めが長期化するとの懸念から、107ドル安(0.31%減少)。

920日:FOMCの結果が発表され、FRBの金融引き締めが長期化するとの見方が広がり、77ドル安(0.22%減少)。

921日:前日発表のFOMCの結果を受けて、米金融引き締めが長期化するとの見方が広がった他、米長期金利もほぼ16年振りの高水準を付け、370ドル安(1.06%減少)

922日:金融引き締めの長期化が米景気を冷やすとの懸念や自動車大手に対するストライキが長引きとの見方から、107ドル安(0.32%減少)。

925日:FRBの金融引き締めが長期化することへの警戒は強いが、一部の銘柄に値ごろ感からの買いが入り、43ドル高(0.13%増加)。

926日:米長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が意識されたことが重荷になり、388ドル安(1.14%減少)。

927日:原油高や米金融引き締めの長期化観測を受けて、米長期金利が上昇し、株式の売りが続き、68ドル安(0.20%減少)。

928日:米長期金利が朝方にほぼ16年振りの高水準を付けた後、午後にかけて低下、米原油先物相場も下落し、ハイテク株や景気敏感株などに買いが入り、116ドル高(0.35%増加)

929日:朝方に発表された物価指標が前月比で0.4%上昇、コア指数は0.1%上昇で市場予想の0.2qを下回り、買いが先行したが、米国政府機関の一部閉鎖のリスクが意識され、米金融引き締めが長期化するとの観測も根強く、159ドル安(’0.47%減少)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が91日に発表した8月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比187,000人の増加で、市場予想の170,000人を上回りました。6月の雇用者数の確定値は105,000人で80,000人の減少、7月の改定値は157,000人で30,000人の減少でした。8月の失業率は3.8%で、前月から0.3%増加しました。労働参加率は62.8%で前月から0.2%増加しました。8月の時間当たり賃金上昇率は前月比で8セント増加しました。部門別ではヘルスケア業が71,000人、レジャー・観光業が40,000人、ソーシアル・アシスタンス業が26,000人、建設業が22,000人が増加したものの、運輸・倉庫業が34,000人の減少となりました。

  

3.金利据え置きを決めたFOMC会合

FOMC会合が91920日に開催され、会合後の声明要旨で以下のようなことが伝えられました。最近の指標は経済活動が堅調なペースで拡大していることを示している。ここ数か月、雇用の増加は鈍かったが、依然として力強い状態だ。失業率は低水準にとどまっている。インフレ率は依然として高い水準にある。

米国の銀行システムは健全で回復力がある。家計や企業の信用状況の悪化は、経済活動や雇用、インフレに影響を及ぼすとみられる。これらの影響の度合いは依然として不透明だ。FOMCはインフレリスクを引き続き注視している。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。これらの目標を支えるために、FOMCはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.255.5%で据え置くことを引き上げることを決めた。今後入ってくる情報と金融政策の影響を注視する。

インフレ率を長期的に2%に戻すのにどの程度追加の政策が適切であるかを決める際、FOMCは金融政策の累積した引き締めや、経済活動がインフレに影響を与える時間差、経済・金融情勢を考慮する。さらに、以前は発表された計画に示されているように、国債、機関債、ローン担保証券の保有を削減を継続する。FOMCはインフレを2%目標に戻すことを強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が景気見通しについて与える影響を注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが現れた場合、金融政策のスタンスを適切調整する用意がある。労働市場の状況、インフレ圧力やインフレ期待、金融動向や国際情勢を含めた幅広い情報を考慮する。

今回の決定はパウエル議長やウイリアムズ副議長を含む12人のメンバーの賛成による。

FOMCの決定は0.25%の利上げで事前予想通りの内容でした。同時に公表した参加者による経済見通しでは19人中12人が年内の追加利上げを予想して、高インフレの沈静化について楽観視しない姿勢を明確にしました。これにより政策金利は22年振りの高さになりました。パウエル議長の記者会見で追加利上げは今後のデータ次第との姿勢を強調、過度な引き締めへの不安が後退しました。これにより、買いが先行していたダウは下げに転じて、77ドル安(0.22%減少)となりました。       

               (2023101日: 村方 清)

Friday, September 1, 2023

インフレ低下と追加利上げ観測後退による株式市場の改善


 







1.8月の株式市場

8月の株式市場は25日のジャクソンホール会議でのFRB議長の講演以降、インフレ低下傾向に基づく追加利上げの観測が後退し、株式市場の改善が進みました。主要な動きは、以下の通りでした。

81日:四半期決算を発表したキャタピラーが大幅高となり、ダウ平均を押し上げたが、長期金利が上昇したことで投資家心理が悪化、上昇幅は限られ、71ドル高(0.20%増加)

82日:大手格付け会社の米国債の格下げに加え、市場予想を上回る雇用指標の発表もあり、米長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が意識され、348ドル安(0.98%減少)。

83日:米長期金利の上昇基調が強まり、株式の相対的な割高感が意識されて、67ドル安(0.19%減少)。

84日:4日発表の7月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比187,000人増で、市場予想の200,000人を下回ったものの、平均時給は前年同月比の4.4%増で市場予想の4.2%を上回り、インフレ圧力の警戒感から150ドル安(0.43%減少)。

87日:米連邦準備理事会(FRB)高官が一段の利上げに慎重な見方を示したことや一部銘柄に業績を評価した買いが続いたことで、408ドル高(1.16%増加)。

88日:ムーディーズによる一部米地銀の格下げを受けて、金融株に売りが広がったことや中国景気の弱さが意識されて、159ドル安(0.45%減少)。

89日:明日10日朝の7月の米消費者物価指数の発表を前に、買い控えムードが広がり、主力のハイテク株を中心に売りが優勢で、191ドル安(0.54%減少)。

810日:朝発表の7月の米消費者物価指数は前年同月比の4.7%で、市場予想の4.8%を下回り、FRBの追加り上げへの警戒感が和らぎ、株買いを誘って、52ドル高(0.15%増加)

811日:11日発表の7月の米卸売物価指数の上昇率が0.3%上昇、市場予想を上回ったものの、ディフェンシブ株と石油株を中心に買いが入り、105ドル高(0.30%増加)

814日:業績拡大への期待から、半導体やハイテク関連銘柄に買いが入り、相場を支えて、26ドル高(0.07%増加)。

815日:中国景気の減速懸念が強まったことや米金融セクターを取り巻く不透明感が米株式相場全体の重荷となり、361ドル安(1.02%減少)。

816日:FRBが午後に公表した7月のFOMCの議事要旨でインフレ次第で追加利上げの可能性があることが示しており、米金融引き締め長期化への警戒感から、’181ドル安(’0.52%減少)

817日:朝方に決算を発表した大手小売りが下げに転じて、消費財関連の売りに波及、長期金利も上昇し、ハイテク株も下がり、291ドル安(0.84%減少)

818日:中国経済の先行き不透明感から売りが先行したものの、値ごろ感の出た銘柄に次第に買いが優勢となり、26ドル高(0.07%増加)。

821日:FRBの金融引き締めが長期化するとの懸念から、株式の相対的な割高感が意識され、37ドル安(0.11%減少)。

822日:大手格付け会社が一部の米銀を格下げし、金融株の売りを誘い、大手百貨店のメーシーズも四半期決算で示した238―10月の業績見通しが市場予想を下回り、175ドル安(0.51%減少)

823日:8月の米購買担当者景気指数(PMI)が50.4と半年ぶりの水準に低下し、金融引き締めが長引くとの過度の懸念が和らいだことで、投資家心理が改善し、184ドル高(0.54%増加)

824日:FRBのパウエル議長がジャクソンホール会議での講演で、金融引き締めの長期化につながる発言をすることへの警戒感から、週初から上昇したハイテク株を中心に売りが膨らみ、374ドル安(1.08%減少)。

825日:パウエル連銀議長がジャクソンホール会議でタカ派的な内容の講演をしたが、今の利上げサイクルが終わりに近いとの見方が強まり、247ドル高(0.73%増加)。

828日:パウエル連銀議長のジャクソンホール会議での発言で、追加利上げへの過度な警戒心が和らぎ、米長期金利の上昇も一服し、213ドル高(0.62%増加)。

829日:同日発表の米経済指標が労働市場の過熱感の和らぎを示し、FRBによる追加利上げ観測が後退し、幅広い銘柄が買われて、293ドル高(0.85%増加)

830日:同日発表の米経済指標が労働市場の過熱感の緩和を示したことで、FRBの追加利上げ観が一段と後退し、株買いを誘い、38ドル高(0.11%増加)。

831日:91日の雇用統計の発表を前に、ディフェンシブ株や景気循環株を中心に利益確定や持ち高調整の売りが出て、168ドル安(0.48%減少)。


2.米国の雇用状況

米労働省が84日に発表した7月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比187,000人の増加で、市場予想の200,000人を下回りました。5月の雇用者数の確定値は281,000人で25,000人の減少、6月の改定値は185,000人で24,000人の減少でした。7月の失業率は3.5%で、前月から0.1%減少しました。労働参加率は62.6%で前月と同水準でした。7月の時間当たり賃金上昇率は前月比で14」セント増加しました。部門別ではヘルスケア業が63,000人、ソーシアル・アシスタンス業が24,000人、金融業が19,000人、卸売り業が18,000人の増加となりました。

 

3.過度の引き締めに警戒論も出た7月のFOMC議事要旨

FRB816日に、72526日に開いたFOMCの議事要旨を公表しました。今回の議事要旨では3月以降に相次いだ銀行破綻の影響は落ち着いてきたとの認識で一致したが、商業用不動産向けに融資する金融機関は物価下落による影響が経営に悪影響を及ぼす可能性への指摘が出ました。

また、従来は6月会合まで、23年後半から緩やかな景気後退に入る経済予測を示してきましたが、今回の要旨では個人消費などの動向が想定を上回っているとしてもはや年後半の景気後退入りを予測して明記しました。

インフレ率も、なお目標の2%を大幅に超えた水準で推移している。FOMCの大半の参加者はインフレ率が予想より上振れするリスクがかなりあると見ており、その場合はさらなる金融引き締め毛必要になるかも知れないと指摘しました。

今回のFOMC会合では、引き締めが不十分に終わるリスクと、引き締め過ぎて景気を失速させるリスクがこれまで以上に分かれてきているとの指摘がありました。

         (202391日: 村方 清)

 

 

Tuesday, August 1, 2023

インフレ懸念の和らぎと好調の企業業績による株式市場の改善









1.7月の株式市場

7月の株式市場は6月の米消費者物価指数が鈍化するなどでFRBによる利上げ観測が和らいできたことや4半期業績の好調な企業決算が多く、株式市場の改善傾向が見られました。主要な動きは、以下の通りでした。

73日:増配を発表した金融のゴールドマン・サックスやJP モルガンなどが上昇、ダウ平均を支えたものの、独立記念日の前の短縮取引で、11ドル高(0.03%増加))

75日:5日発表の中国と欧州の経済指標の悪化を受け、世界景気の先行き不透明感が強まり、FRBによる利上げ継続観測もあり、130ドル安(0.38%減少)

76日:6月のADP全米雇用レポートで非農業部門の雇用者数は前月比497千人増と市場予想の22万人増を大きく上回り、FRBの金融引き締めが長期化するとの観測から、売りが大きくなり、366ドル安(1.07%減少)。

77日:6日発表の6月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が前月比209,000人増で、市場予想の240,000人に届かなった他、4月と5月の増加幅も下方修正された。しかし、平均受給は前月比0.36%と市場予想の3%を上回り、FRBによる金融引き締めへの過度な警戒が解けず、株売りが一段と広がり、187ドル安(0.55%減少)。

710日:前週末までの3営業日で683ドル下げた後で、主力株の一部に自律反発狙いの買いが入り、210ドル高(0.62%増加)。

711日:6月の米消費者物価指数の発表を12日に控え、内容を見極めたい雰囲気が強かったが、セールスフオースやスリーエムなどの銘柄に買いが出て、317ドル高(0.93%増加)。

712日:12日発表の6月の米消費者物価指数は前年同月比の上昇率が3.0%と5月から鈍化し、20213月以来の水準となったことで、FRBの利上げが長期化するとの警戒が和らぎ、景気敏感株や消費関連株が買われ、86ドル高(0.25%増加)。

713日:13日発表のPPIの上昇率が0.1%と市場予想の0.2%より下回り、FRBの利上げが長引くとの観測が一段と後退し、買いが入り、48ドル高(0.14%増加)

714日:朝方に発表した202346月期決算が市場予想を上回った銘柄を中心に買いが広がり、ダウ平均を押し上げ、114ドル高(0.33%増加)。

717日:6月の米CPIは前年同月比3.0%と12カ月連続で鈍化し、市場予想の3.1%を下回り、FRBの金融引き締めが想定より弱くなるとの見方が出て、76ドル安(0.22%減少)

718日:これまでに発表された46月期の決算で市場予想を上回る内容が相次いでおり、金融株を中心に幅広い銘柄に買いが広がり、367ドル高(1.06%増加)

719日:今後発表を控える主要企業の四半期決算が想定を上回るケットとなることへの期待から相場を支えて、109ドル高(0.31%増加)。

720日:ジョンソン・エンド・ジョンソンなど好調な決算内容を発表した銘柄が買われて、ダウ平均を押し上げ、164ドル高(0.47%増加)。

721日:米経済の先行きへの楽観論が相場を支えて、2ドル高(0.01%増加)

724日:46月期決算を控えた企業の好決算を期待した買いで、184ドル高(0.52%増加)。

725日:朝方に四半期決算を発表したスリーエムなどが上昇し、ダウ平均を支え、27ドル高(0.08%増加)。

726日:FRB26日のFOMCで市場の想定通りに0.25%の利上げを決めたが、パウエル議長が記者会見で次回会合で政策金利を据え置く可能性に言及したことで、買いが優勢で、82ドル高(0.23%増加)。

727日:27日発表の46月期のGDPは前期比年率2.4%増で市場予想を上回り、6月の耐久財受注も前月比4.7%増で市場予想以上で、米長期金利が大幅に上昇し、237ドル安(0.67%減少)。

728日:28日発表の6月の米個人消費支出はエネルギー・食品を除くコア指数が前年同月比4.1%と先月の4.6%から減速し、市場予想の4.2%も下回り、FRBの利上げ継続観測が和らぎ、177ドル高(0.50%増加)

731日:先週末発表の6月の米個人消費物価指数がインフレ圧力を示さなかったことで、FRBによる利上げ継続観測の後退が引き続き相場を支えて、100ドル高(0.28%増加)

 

2.米国の雇用状況

米労働省が77日に発表した6月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比209,000人の増加で、市場予想の241,000人を下回りました。4月の雇用者数の確定値は217,000人で77,000人の減少、5月の改定値は306,000人で33,000人の減少でした。5月の失業率は3.6%で、前月から0.1%減少しました。労働参加率は62.6%で前月と同水準でした。5月の時間当たり賃金上昇率は前月比で12セント増加しました。部門別では政府部門が60,000人、ヘルスケア業が41,000人、ソーシアル・アシスタンス業が24,000人、建設業が23,000人の増加、専門・ビジネス🅂-ビス業21,000人の増加、レジャー・観光業が21,000人の増加となりました。

 

3. 米国の6月インフレ率は3.0%上昇で、12カ月連続で伸び鈍化

米労働省が712日に発表した6月のCPIは前年同月比の上昇率が3.0%で市場予想の3.1%を下回りました。これは12カ月連続の鈍化で、20213月以来2年振3カ月ぶりに4%を割り込みました。エネルギーと食品を除くコア指数の前年同月比の上昇率は4.8%で、市場予想の5.0%をわずかに下回りました。

サービス価格の中でもっとも重要な賃金の上昇率は212月の1.5%から拡大してきましたが、8.3%を付けた233月から伸びが頭打ちになりました。また、先行する米不動産情報会社のデータでも鈍化傾向が顕著になっています。

こうした状況の中で、FRB2526日にFOMCを開催します。6月会合では利上げを停止しつつ、経済見通しであと2回程の利上げを示唆しており、最近の高官発言でも追加の利上げを支持するものが多く、利上げの確率が高い予想となっています。

 

4.0.25%の利上げを決めたFOMC会合

FOMC会合が72526日に開催され、会合後の声明要旨で以下のようなことが伝えられました。最近の指標は経済活動が緩やかなペースで拡大していることを示している。ここ数か月、雇用の増加は堅調で、失業率は低水準にとどまっている。インフレ率は依然として高い水準にある。

米国の銀行システムは健全で回復力がある。家計や企業の信用状況の悪化は、経済活動や雇用、インフレに影響を及ぼすとみられる。これらの影響の度合いは依然として不透明だ。FOMCはインフレリスクを引き続き注視している。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。これらの目標を支えるために、FOMCはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.255.5%に引き上げることを決定した。今後入ってくる情報と金融政策の影響を注視する。

インフレ率を長期的に2%に戻すのにどの程度追加の政策が適切であるかを決める際、FOMCは金融政策の累積した引き締めや、経済活動がインフレに影響を与える時間差、経済・金融情勢を考慮する。さらに、以前は発表された計画に示されているように、国債、機関債、ローン担保証券の保有を削減を継続する予定だ。FOMCはインフレを2%目標に戻すことを強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が景気見通しについて与える影響を注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが現れた場合、金融政策のスタンスを適切なものに調整する用意がある。労働市場の状況、インフレ圧力やインフレ期待、金融動向や国際情勢を含めた幅広い情報を考慮する。

今回の決定はパウエル議長やウイリアムズ副議長を含む11人のメンバー全員の賛成による。

FOMCの決定は0.25%の利上げで事前予想通りの内容でした。これにより政策金利は22年振りの高さになりました。パウエル議長の記者会見で追加利上げは今後のデータ次第との姿勢を強調、過度な引き締めへの不安が後退しました。これにより、ダウは13連騰の82ドル高で、20222月以来の高値で終えました。

        (202381日: 村方 清)