Sunday, September 1, 2024

インフレの鎮静化と経済の底堅さから回復が進む株式市場









1.8月の株式市場

8月の株式市場は、前半には7月の雇用統計が市場予想を下回る内容であったことから、米景気の先行きへの懸念が生じました。しかしながら、その後はインフレの沈静化や米経済の底堅さを示す指標が相次いだほか、FRB議長も9月の利下げ開始を示唆したことで、株価は急ピッチで回復しました。主要な動きは以下の通りでした。

81日:ISM製造業景況感指数が46.86月の48.5から低下し、朝方発表の週間の米新規失業保険申請件数は249,000件と市場予想の235,000件を上回り、米景気の懸念が高まり、495ドル安(1.21%減少)。

82日:2日発表の7月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比114,000人増で、市場予想の170,000人を大きく下回り、米経済が想定以上に減速するとの懸念がが高まり、611ドル安(1.51%減少)。

85日:米景気の先行き不安を背景に投資家がリスク資産を圧縮する動きを強め、ハイテク株を中心に売られ、ダウ平均の構成株は全面安で、1034ドル安(2.60%減少)。

86日:前日まで大きく下落していた反動で、自律反発を狙った買いが優勢となり、294ドル高(0.76%増加)。

87日:午前中は短期的な戻りを見込んだ買いが先行したが、午後に米長期金利が上昇すると気が続かず、ダウ平均など主要株価指数は下げに転じて、234ドル安(0.60%減少)。

88日:米労働省が発表した米新規失業申請件数は83日までの1週間で233,000件となり、市場予想の240,000件を下回り、米労働市場の底堅さを示し、押し目買いが入り、683ドル高(1.80%増加)。

89日:週初までの株式相場の大幅な調整を受けて、大型ハイテク株などに買い直しの動きが続いて、51ドル高(0.12%増加)。

812日:週内に重要な経済指標の発表があり買いを控える雰囲気が強く一方、中東の地政学リスクも意識され、主力株の一部に売りが出され、141ドル安(0.35%減少)。

813日:朝方発表の7月の米卸売物価指数は前月比0.1%上昇と市場予想の0.2%を下回り、FRBが利下げを始めやすくなるとの見方が一段と強まり、409ドル高(1.03%増加)。

814日:同日発表の7月の米消費者物価指数は前年同月比で2.9%上昇、市場予想の3.0%を下回り、FRBが利下げに動き安くなるとの期待から、243ドル高(0.61%増加)。

815日:同日発表の米小売売上高が前月比1.0%増と市場予想の0.3%増を上回り、米経済の大半を占める個人消費が減速するとの懸念が後退し、景気循環株を中心に気が入り、555ドル高(1.38%増加)。

816日:8月の消費者態度指数が67.8と市場予想の66.6を上回り、景気悪化への過度な懸念が後退し、97ドル高(0.23%増加)。

819日:米経済が大幅に悪化するとの懸念が後退しており、マクドナルドなどの主力株に買いが入り、237ドル高(0.58%増加)。

820日:前日にかけて上げが続いた後で、主力銘柄の一部に持ち高調整や利益確定の売りが出て、62ドル安(0.15%減少)。

821日:米雇用統計の年次改訂やFOMCの議事要旨の公表を受け、FRBによる9月の利下げ観測が相場を支えて、56ドル高(0.13%増加)。

822日:23日のパウエル連銀議長のジャクソンホール講演を前に持ち高調整の売りが優勢で、178ドル安(0.43%減少)。

823日:同日のパウエル連銀議長の発言を受け、FRBの利下げ観測が一段と強まり、米経済がソフトランディングに向かうとの見方で、幅広い銘柄に買いが広がり、462ドル高(1.13%増加)。

826日:FRBによる9月の利下げ観測が引き続き指数を支え、65ドル高(0.15%増加)。

827FRBによる利下げ観測が引き続き投資家心理を支えて、10ドル高(0.02%増加)。

828日:取引終了後のエヌビディアの決算報告の発表前に、内容を見極めようとするハイテク株を中心に持ち高調整の売りが出て、159ドル安(0.38%減少)。

829日:朝方発表の2446月までのGDPの改定値が年率3%増と速報値より上方修正され、週間の米失業保険申請件数も前週から小幅に減り、米経済がソフトランディングできるとの期待から、幅広い銘柄が買われて、244ドル高(0.59%増加)。

830日:朝方発表の7月の米個人消費支出物価指数が前月比で0.2%上昇、市場予想に一致したことで、FRB9月に利下げを始めるとの見方が引き続き投資家心理の支えとなり、228ドル高(0.55%増加)。ダウ平均は月間で720ドル上昇し、4か月連続となりました。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が82 日に発表した7 月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比114,000人の増加で、市場予想の170,000人を大きく下回りました。5月の雇用者数の確定値は218,000人で2,000人の増加、6月の改定値は206,000人で、27,000人の減少でした。6月の失業率は4.3%で、前月より0.2%上昇しました。労働参加率は62.7%で、前月から0.1%下回りました。7月の時間当たり賃金上昇率は前月比で8セント増加しました。部門別ではヘルスケア門が55,000人の増加、建設業部門が25,000人の増加、運輸・倉庫業が14,000人の増加、ソーシアルアシスタンス業が9,000人の増加となりました。

 

3.米消費者物価は前年比で3.0%上昇

米労働省が814日に発表した7月の消費者物価指数は、前年同月比で2.9 %上昇と、前月の3.0%から低下し、20213月以来初めての3%を下回りました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比3.2%上昇で、前月の3.3%から縮小しました。項目別では、中古車、新車、航空運賃などの価格下落が目立っています。

FRB9月に利下げを実施するとの観測に変わりはないものの、インフレ率はFRBが目標とする2%をなお上回っているため、労働市場の悪化がない限り、0.5%の大幅利下げの可能性は少ないもの見られています。

            202491日: 村方 清)


Thursday, August 1, 2024

インフレ鎮静化による利下げ期待と株式市場の改善








1.7月の株式市場

7月の株式市場は中旬になって、インフレ鈍化の経済指標が相次い出てきたことにより、次回9月のFOMCFRB会合での利下げ観測の期待が高まり、改善傾向を示しました。主要な動きは以下の通りでした。

 71日:フランス政治に対する過度な警戒が和らぎ、同国の株式市場が上昇し、米国にも買いが入り、51ドル高(0.12%増加)。

72日:四半期の販売台数を発表したテスラが大幅高となり、他のハイテク株にも買いが波及し。株式相場を押し上げ、162ドル高(0.41%増加)。

73日:4日の独理知記念日を前に主力株の一部に利益確定ア持ち高調整の売りが出て、24ドル安(0.06%減少)。

75日:7日発表の5月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比206,000人増で、市場予想の少し上回り、FRBによる利下げ観測が高まり、68ドル安(0.17%増加)。

78日:週内にFRB議長の上下両院での議会証言や米物価指数の発表があり、持ち高調整の売りがあり、31ドル安(0.07%減少)。

79日:FRB議長の上院銀行委員会での議会証言を受けて、米利下げ観測で買いが優勢になる一方、米景気減速への警戒感から景気敏感株などに売りが出て、53ドル安(0.13%減少)。

710日:FRB議長が米下院での議会証言で労働市場の軟化が見られると発言したことで、FRBによる利下げが近づいているとの安心感を与え、429ドル高(1.09%増加)。

711日:6月のCPIは前月比0.1%低下し、市場予想の0.1%上昇を下回る20205月以来のマイナスとなり、FRBによる9月の利下げ観測が高まり、32ドル高(0.08%増加)。

712日:同日発表の米経済指標が米国のインフレの落ち着きを示す内容となったことで、FRB9月に利下げに動くとの観測が引き続き相場を支え、247ドル高(0.62%増加)。

715日:15日発表のNY連銀の製造業景況感指数はマイナス6.6と市場予想のマイナス6.0を下回り、インフレ圧力が緩和、FRBが利下げに動き安くなるとの見方で、211ドル高(0.52%増加)。

716日:同日発表の6月の小売売上高が前月府横ばいと市場予想(の0.4%減を上回り、、FRB9月に利下げを開始するとの見方も加わり、743ドル高(1.85%増加)。

717日:米国の利下げ観測を背景に出遅れ感のあった銘柄に資金シフトが続き、244ドル高(0.61%増加)。

718日:前日までに連日に最高値を更新していたため、主要ハイテク株に一部やや上げが目立っていた金融株など幅広い銘柄に利益確定売りが出て、533ドル安(1.29%減少)。

719:世界的な規模で発生したシステム障害のを受けて、一部のハイテク株が大幅に下落し、投資家心理が冷え込み、377ドル安(0.92%減少)。

722日:前週後半に大きく下げた後で、半導体株などハイテク株に自律反発の買いが入り、128ドル高(0.31%増加)。

723日:アルファベットなど取引終了後のハイテク企業の決算発表を前に様子見の姿勢が広がり、持ち高調整の売りが優勢で57ドル安(0.14%減少)。

724日:アルファベットなど前日に決算を発表した大型ハイテク株が急落、売りは他のハイテク株にも広がり、504ドル安(1.24%減少)。

725日:同日発表の202446月の米GDPの速報値が2.8%増と市場予想の2.1%を上回り、米景気減速への過度な懸念が後退し、81ドル高(0.20%増加)。

726日:朝方発表の6月の米個人消費物価指数が前月比2.6%増と市場予想と同じで、鈍化傾向が顕著となり、FRBの9月利下げ開始シナリオの確率が強まり、654ドル高(1.6%増加)。

729日:大型ハイテク株の決算発表やFOMCの会合な度を前に様子見ムードが広がり、前週末に大幅高となった後で、主力株の一部に持ち高調整の売りが出て、49ドル安(0.12%減少)。

730日:午前発表の米消費者信頼感指数が100.36月改定値の97.8から改善、米景気が底堅さを保っているとの見方から相対的に出遅れ感があった景気循環株の一部に買いが入り、203ドル高(0.50%増加)。

731日:FRBのパウエル議長は31日まで開いたFOMC後の記者会見で、利下げに転じる時期が近づいているとの見方を示し、主力株を中心に買いが入り、99ドル高(0.24%増加)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が75 日に発表した6 月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比206,000人の増加で、市場予想の200,000人を少し上回りました。4月の雇用者数の確定値は108,000人で5,700人の減少、5月の改定値は218,000人で、5.400人の減少でした。6月の失業率は4.1%で、前月より0.1%上昇しました。労働参加率は62.8%で、前月から0.3%上回りました。6月の時間当たり賃金上昇率は前月比で10セント増加しました。部門別では政府部門が70,000人の増加、ヘルスケア部門が49,000人の増加、ソーシアル・アシスタント業が34,000人の増加、建設業が27,000人の増加となりました。

 

3.米消費者物価は前年比で3.0%上昇

米労働省が711日に発表した6月の消費者物価指数は、前年同月比で3.0%上昇しました。伸び率は3カ月連続で縮小し、市場予想も下回りました。CPIは前月比では0.1%ていかし、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比3.3%上昇で、伸び率は前月から小幅縮小しました。

項目別ではコロナ化禍背景とした供給不足により値上がりしていた中古車・トラックが前年同月比で前年同月比で10.1%の大幅低下、一方、サービス価格は5.1%上昇と引く続き高い伸び率を示しました。

インフレ圧力が鈍化胃腸が確認されたことで、市場では、FRB9月の会合で利下げを決めるとの観測が強まるものとの観測がが出てきています。


4.FOMC会合

FOMC会合が730-31日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大し続けていることを示唆している。雇用の増加は緩やかになり、失業率は上昇したものの低水準を維持している。インフレ率はこの1年で緩和したが、依然として高止まりしている。この数カ月間は2%の物価目標に向けて幾つかの更なる進展があった。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。雇用とインフレの目標達成に対するリスクは、より良いバランスに移行していると判断している。経済の見通しは不透明であり、FOMC2つの責務の双方に対するリスクに細心の注意を払っている。

この目標を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.255.5%に据え置くことを決めた。FF金利の目標レンジの調整を検討する際、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびリスクのバランスを注意深く評価する。

FOMCは、インフレが持続的に2%に向かっているとの確信が深まるまで、目標レンジを引き下げることは適切ではないと考えている。さらに、国債、機関債、住宅ローン担保証券の保有額を引き続き削減する。FOMCはインフレを2%目標に戻すことに強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む12人のメンバーの賛成による。

今回のFOMC会合は利下げ開始を慎重に判断するとの見方が多かったあめ、ダウ平均は35ドル安(0.09%減少)となりました。

       (202481日:村方 清) 

Monday, July 1, 2024

過度なインフレ懸念の後退による株式市場の改善


1.
6月の株式市場

6月の株式市場は後半に従来見られた過度なインフレ懸念が後退、景気敏感株やディフェンシブ株などの銘柄に買いが戻る動きが見られました。主要な動きは以下の通りでした。

63日:午前発表の米サプライマネジメント協会の製造業景況感指数が48.7と前月から0.5ポイント悪化、市場予想の49.6も下回ったことで、景気敏感株や消費財関連株に売りが出て、115ドル安(0.29%減少)。

64日:4月発表の4月の米雇用動向調査で非農業部門の求人件数が8059000件と前の月から減少し、20212月以来の低水準となり、労働市場の過熱感が薄れ、FRBが利下げをしやすくなるとの観測から、140ドル高(0.36%増加)。

65日:5月発表のADP全米雇用レポーとで非農業部門の雇用者数が前月比152千人増加で、前月比の185千人から縮小、市場予想の175千人も下回ったことで、FRBの利下げ時期が遅れることへの懸念が後退し、96ドル安(0.24%減少)。

66日:FRBの利下げ観測が根強く、投資家心理の支えとなり、79ドル高(0.20%増加)。

67日:7日発表の5月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比272,000人増で、市場予想の190,000人を大きく上回り、FRBによる利下げ時期が遅れるとの観測が重荷となり、87ドル安(1.22%減少)。

610日:週内にFRBCPIの発表を控え、様子見の投資家が強かった半面、ウォールマートやハネウェルなどの銘柄にに買いが入り、69ドル高(0.17%増加)。

611日:12日のCPIの発表とFOMCの結果公表を控え、持ちげんしぃyy高調整の売りが優勢で、121ドル安(0.31%減少)。

612日:朝発表の5月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を下回り、買いが先行した。午後には、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受けて米連邦準備理事会(FRB)が利下げ開始を慎重に判断するとの見方が広がり、ダウ平均は35ドル安(0.09%減少)。

613日:米連邦準備理事会(FRB)が早期に利下げに転じるとの期待が高まった半面、米経済の減速も意識され、景気敏感株などに売りが出て、65ドル安(0.16% 減少)

614日:同日発表の指標が米消費の減速を示す内容となり、経済の軟化が意識されて58ドル安(0.14%減少)。

617日:アマゾンやマイクロソフトなどのハイテク株や消費財関連株に買いが入り、189ドル高(0.49%増加)。

618日:18日発表の5月の米小売売上高は前月比で0.1%増と、ダウ・ジョーンズ通信が集計した市場予想(0.2%増)を下回り、FRBが利下げに転じやすくなるという見方が広がり、57ドル高(0.14%増加)。

620日:相場上昇に出遅れ感のあったセールフォースやシェブロンなどの銘柄を中心に買いが入り、ダウ平均を押し上げ、300ドル高(0.77%増加)。

621日:出遅れ感のあったマクドナルドやナイキなどの銘柄に買いが入り、16ドル高(0.03%増加)。

624日:相対的に出遅れ感があった景気敏感株やディフェンシブ株の銘柄などに買いが入り、261ドル高(0.66%増加)。

625日:25日発表の米消費者信頼間指数が100.4と前月の101.3から低下、ウォルマートなど主力株の一部に持ち高調整の売りが出て、299ドル安(0.75%減少)。

626日:米長期金利の上昇が株価の重荷となったが、アマゾンやアップルなどのハイテク株が上昇し、16ドル高(0.03%増加)。

627日:米長期金利が低下し、ハイテク株の一部に買いが入り、36ドル高(0.09%増加)。

628日:前日夕に決算を発表したナイキが急落し、月末と四半期末の持ち高調整の売りもあり、45ドル安(0.11%減少)。ダウ平均は月間で432ドル上げ、2か月連続で上昇

 

2.米国の雇用状況

米労働省が6 7 日に発表した5 月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比272,000人の増加で、市場予想の190,000人を大きく上回りました。3月の雇用者数の確定値は310,000人で5,000人の減少、4月の改定値は165,000人で、10,000人の減少でした。5月の失業率は4.0%で、前月より0.1%上昇しました。労働参加率は62.5で、前月から0.2%下回りました。5月の時間当たり賃金上昇率は前月比で4セント増加しました。部門別ではヘルスケア業が68,000人の増加、政府部門が43,000人の増加、レジャー・観光業が42,000人の増加、専門・科学・技術サービスが32,000人の増加、ソーシアル・アシスタンス業が15,000人の増加となりました。


3.FOMC会合

FOMC会合が611-12日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大し続けていることを示唆している。雇用の増加は力強く、失業率は低水準にとどまっている。インフレ率はこの1年で緩和したが、依然として高止まりしている。この数カ月間は2%の物価目標に向けて緩やかに進展している。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。雇用とインフレの目標達成に対するリスクは、この1年でより良いバランスに移行してきたと判断している。経済の見通しは不透明であり、FOMCは引き続きインフレリスクに細心の注意を払っている。

この目標を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.255.5%に据え置くことを決めた。FF金利の目標レンジの調整を検討する際、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびリスクのバランスを注意深く評価する。

FOMCは、インフレが持続的に2%に向かっているとの確信が深まるまで、目標レンジを引き下げることは適切ではないと考えている。さらに、国債、機関債、住宅ローン担保証券の保有額を引き続き削減する。FOMCはインフレを2%目標に戻すことに強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む12人のメンバーの賛成による。

今回のFOMC会合は利下げ開始を慎重に判断するとの見方が多かったあめ、ダウ平均は35ドル安(0.09%減少)となりました。

        (202471日:村方 清)

 

  

Sunday, June 2, 2024

インフレ懸念再燃から不安定化を強めた株式市場








1.5月の株式市場

5月の株式市場は前半がインフレ懸念の後退から、株式市場の改善が進んだが、後半になり再び、インフレ懸念が高まり、株価の下落が続くなど不安定化を増しました。主要な動きは、以下の通りでした。

51日:前日に今年最大の下げ幅を記録した後で、主力株の一部に自律反発を見込んだ買いが入り、87ドル高(0.23%増加)。

52日:FRBのパウエル議長が前日に再利上げについて否定的な見方を示したのが引き続き買い材料に視されて、322ドル高(0.85%増加)。

53日:3日発表の4月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比175,000人増で、市場予想の240,000人を大きく下回り、FRBによる利下げ開始が先送りになる見方が後退、450ドル高(1.17%増加)。

56日:FRBが利下げを始めるとの観測から主力株の一角に買いが入り、177ドル高(0.45%増加)。

57日:労働市場の過熱感が薄れつつあるとの見方から、FRBが年後半にも利下げに転じるとの観測が改めて広がり、32ドル高(0.06%増加)。

58日:FRBの利下げ時期お巡る不透明感が後退しており、投資家の心理を支えて、172ドル高(0.44%増加)。

59日:9日発表の週間の米国失業保険申請件数は231,000件で市場予想の214,000件を上回り、労働市場の過熱感が薄れ、FRBが利下げに動きやすくなるとの観測で、331ドル高(0.84%増加)。

510日:FRBが年後半に利下げに転換するとの期待が根強く、主力株に買いが入り、125ドル高(0.31%増加)。

513日:前週末までの6営業日で1700ドル近く上昇した反動で、主力株の一部に持ち高調整の売りが出て、81ドル安(0.20%減少)。

514日:朝発表の4月の米卸売物価指数は前月比0.5%上昇と市場予想の0.3%を上回ったものの、3月分も0.2%上昇から0.1%へ下落修正され、物価上振れの過度な警戒が薄れて、買いが広がり、127ドル高(0.32%増加)。

515日:15日発表の4月の米国消費者物価指数は前月比の上昇率が0.3%と市場予想の0.4%を下回り、FRBの利下げ先送りするとの懸念が後退し、350ドル高(0.88%上昇)。

516日:取引時間中に初の4万ドル台に乗せたものの、短期的な相場の過熱感が意識され、主力銘柄の一部に持ち高調整の売りが出て、39ドル安(0.09%減少)。

517日:米経済に対する楽観的な見方から景気敏感株や消費関連株に買いが入り安く、134ドル高(0.33%増加)。

520日:前週末に初めて4万ドル台で取引を終えた後で、主力株の一部に持ち高調整や利益確定の売りが出て、197ドル安(0.49%減少)。

521日:FRBが年後半に利下げし、米景気がソフトランディングするとの期待が株式相場を支えて、66ドル高(0.16%増加)。

522日:FRBが公開した430‐51日に開催のFOMCの議事要旨で参加者が強いインフレ警戒の姿勢を示していたことが明らかになり、202ドル安(0.50%減少

523日:インフレ圧力の根強さから、FRBが利下げ転換に慎重になっているとの見方から、幅広い銘柄に売りが出て、606ドル安(1.52%減少)。

524日:米国のインフレ圧力の根強さが後退したとの見方が支えとなったものの、2連休を前に持ち高調整の売りが出やすくなり、小幅な上昇に留まり、4ドル上昇(0.01$増加)。

528日:FRBによる金利引き下げ開始時期が後にずれるとの見方がいt部の主力株への売りを誘い、217ドル安(0.55%減少)。

529日:FRBの利下げ時期が後にずれるとの見方が強く、米長期金利も上昇し、株式の相対的な割高感が意識され、411ドル安(1.05%減少)。

530日:前日夕に四半期決算や見通しを発表したセールスフォースが急落し、指数を押し下げ、330ドル安(0.85%減少)。

531日:朝方発表の4月の米個人消費物価指数が前月比0.3%と市場予想に一致したことで、高インフレが続くとの懸念が和らぎ、米長期金利の低下を受け、主力株への買いが膨らみ、575ドル高(1.50%増加)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が58日に発表した4月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比175,000人の増加で、市場予想の240,000人を大きく下回りました。2月の雇用者数の確定値は236,000人で34,000人の減少、3月の改定値は303,000人で、12,000人の減少でした。4月の失業率は3.9%で、前月より0.1%上昇しました。労働参加率は62.7%で、前月と同じ水準でした。2月の時間当たり賃金上昇率は前月比で7セント増加しました。部門別ではヘルスケア業が56,000人の増加、ソーシアル・アシスタンス業が31,000人の増加、運輸・倉庫業が22,000人の増加、小売り業が20,000人の増加、建設業が9,000人の増加となりました。

 

3.金利据え置きを決めたFOMC会合

FOMC会合が430日‐51日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました。最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大していることを示している。雇用の増加は力強く、失業率は低水準に留まている。インフレ率はこの1年で緩和したが、依然として高止まりしている。

この数か月間は2%の物価目標に向けた進展が見られなかった。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。雇用とインフレの目標達成に対するリスクは、この1年でより良いバランスに移行してきたと判断している。経済の見通しは不透明であり、FOMCは引き続きインフレリスクに細心の注意を払っている。

この目標を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.255.5%で据え置くことを決めた。EF金利の目標レンジの調整を検討する際に、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびインフレリスクを注意深く評価する。

FOMCは、インフレが持続的に2%に向かっているとの確信が深まるまで、目標レンジを引き下げることは適切ではないと考えている。さらに、国債、機関債、住宅ローン担保証券の保有量の削減を継続する。

FOMC6月から、国債の月間償還上限額を600憶ドルから250億ドルに引き下げることで保有証券の減少ペースを緩める。機関債及び住宅ローン担保証券の月間償還上限額を350億ドルに維持し、この上限を超える分は国債に再投資する。FOMCはインフレを2%目標に戻すことを強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が景気見通しについて与える影響を注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力やインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

今回の決定はパウエル議長やウイリアムズ副議長を含む12人のメンバーの賛成による。

FRBは政策金利を5.255.50%に据え置きました。同時に、パウエル連銀議長はFOMC後の記者会見で、インフレが持続的に2%に向かうと確信を強めるまでに想定よりも時間がかかりそうだとの見方を示した一方、次の政策金利の変更が利上げになる可能性は低いとの認識を示しました。これにより、市場では安ど感が広がり、ダウ平均は87ドル高(0.23%増加)で終えました。 

 

4.4月の米消費者物価指数は上昇率が鈍化、

米労働省が515日に発表した4月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.4%の上昇、変動要因の大ききいエネルギーと食料品を除いたコア指数は3.6%の上昇と、いずれも上昇率はわずかに鈍化しました。前月比でみても、CPI0.3%上昇、コア指数も0.3%上昇となりました。CPIの鈍化は前年同月比でみた場合は4カ月ぶり、前月比でみた場合は6カ月ぶりとなりました。

 今回の発表で、年初来のインフレ率の上昇傾向が一段落したことは、FRBにも一定の安心感を与える可能性があります。しかし、FRBが利下げに動くには、インフレ率が低下していることを示す結果があと数回必要との見方も強く、今回の結果だけでFRBのスタンスの変更には至らない可能性が高いとみられます。

          (202461日:村方 清)