Friday, November 1, 2024

長期金利の上昇による株価の不安定化


 







1.10月の株式市場

10月の株式市場は中旬まで米金利の低下と米景気悪化への警戒感が薄れ、株式市場の上昇傾向が続きました。しかし、後半になると、好調な米景気に対する長期金利の上昇から、株式市場も売りが優勢となりました。主要な動きは以下の通りでした。

101日:イスラエルとイランを巡る中東情勢の緊張による高まりで、投資家がリスク回避の姿勢を強め、ハイテク株や景気敏感株を中心に売りが優勢となり、173ドル安(1.40%減少)。

102日:朝発表の9月のADP全米雇用レポートで非農業部門の雇用者数の増加幅は前月比143千人で市場予想を上回り相場を支えて、40ドル高(0.09%増加)。

103日:中東情勢が一段と悪化するとの警戒感と4日の9月の雇用統計の発表を控えていることから、持ち高調整の売りが出やすく、185ドル安(0.43%減少)。

104日:日発表の9月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比254,000人増で、市場予想の150,000人を大きく上回り、米経済の軟着陸期待から投資家の株買いが進み、341ドル高(0.81%増加)。

107日:米長期金利が2カ月ぶりに4%台に上昇したことや中東情勢の緊迫による原油価格の一段高などで、投資家の株売りが進み、399ドル安(0.90%減少)。

108日:前日まで株売り要因として意識された原油高が一服し、米経済の軟着陸期待からテック株を中心に買いが広がり、126ドル高(0.3%増加)。

109日:米景気の先行きに対する警戒感が薄れていること、及び原油先物相場の上昇一服も追い風になり、432ドル高(1.02%増加)。

1010日:同日発表の9月の米消費者物価指数はエネルギーと食品を除くと前月比0.3%上昇と市場予想の超える伸びとなり、週間米新規失業保険申請件数も258,000件で市場予想以上となったことから、物価指数などがFRBの利下げを後押しするものでなかったとの見方となり、景気敏感株などの一角に持ち高調整の売りが出て、58ドル安(0.13%減少)。

1011日:主力企業の決算発表が始まり、市場予想を上回る内容だった金融株を中心に買いが入り、米経済への楽観姿勢も相場の支えとなって、410ドル高(0.96%増加)。

1014日:米景気悪化への懸念が薄れていることや主要企業の業績改善への期待からハイテク株やディフェンシブ株などを中心に買いが優勢で、201ドル高(0.46%増加)。

1015日:半導体関連株の下げが重荷となり、四半期決算を発表した銘柄でユナイテッドヘルスが大幅安となり、325ドル安(0.75%減少)。

1016日:前日に下げが目立った半導体株の一角が買い直されたことや市場予想を上回る決算を発表したモルガンスタンレー株などに買いが広がり、337ドル高(0.78%増加)。

1017日:9月の米小売売上高は前月比0.4%増と、市場予想の0.3%増を上回り、景気への楽観的な見方が広がり、161ドル高(0.37%増加)。

1018日:ネットフレックスの好決算を背景にハイテク株が買われ、相場を下支えし、37ドル高(0.08%増加)。

1021日:連日で最高値を更新した後で、アメリカンエクスプレスなど主力株の一角に利益確定の売りが出て、344ドル安(0.79%減少)。

1022日:米長期金利の高止まりが株式相場の重荷となり、7ドル安(0.01%減少)。

1023日:底堅い米景気を背景に長期金利が3カ月ぶりの高水準に上昇、相対的な割高感が意識され、アップルやインテルなどの大型テック株を中心に売りが広がり、410ドル安(1.0%減少)。

1024日:24日までに4半期決算を発表したIBMとハネウエル・インターナショナルが大幅安となり、141ドル安(0.33%減少)。

1025日:25日の米債券市場で長期金利が4.2%台に上昇、金利の上昇による株式の相対的な割高感から、売りが優勢で、260ドル安(0.61%減少)

1028日:前週末までの5営業日で1161ドル下げた反動で、ハイテク株や金融株を中心に自立反発狙いの買いが入り、273ドル高(0.64%増加)。

1029日:住宅関連の銘柄の下げが目立ち、米労働市場が減速しているとの懸念もあり、155ドル安(0.36%減少)。

1030日:前日に最高値を付けていたハイテク株を中心に高金利の長期化を背景に割高感が強まり、92ドル安(0.22%減少)。

1031日:前日に四半期決算を発表したマイクロソフトが’大幅に下落し、ハイテク株全般に売りが広がり、378ドル安(0.89%減少)。


2.米国の雇用状況

米労働省が104日に発表した9 月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比254,000人の増加で、市場予想の150,000人を上回りました。7月の雇用者数の確定値は144,000人で55,000人の増加、8月の改定値は159,000人で、17,000人の増加でした。9月の失業率は4.1%で、前月より0.1%低下しました。労働参加率は62.7%で、前月と同水準でした。9月の時間当たり賃金上昇率は前月比で13セント増加しました。部門別では飲食業部門が69,000人の増加、ヘルスケア門が45,000人の増加、政府部門が31,000人の増加、ソーシアルアシスタンス業が27,000人の増加、建設業部門が25,000人の増加となりました。


3.米消費者物価指数は前月から鈍化も予想を上回る

米労働省が10日公表した9月の米消費者物価指数は前年同月比で2.4%の上昇となったが、市場予想の23%を上回りました。エネルギーと食品を除くコア指数は前年同月比で3.3%の上昇で、市場予想の3.2%を上回りました。FRBは雇用情勢の悪化を回避するために、9月から利下げを開始して政策金利を緩和する方向に見直しをしています。但し、FRBが重視する米個人消費資質物価指数が安定的に目標の2%で推移するまでにはなお時間がかかるとみられており、FRBはは雇用と物価の指標をにらみつつ、追加利下げを会合ごとに判断すると見られています。

       (2024111日: 村方 清)

 

Tuesday, October 1, 2024

FRBによる金利大幅低下で続伸傾向の市場

 








1.9月の株式市場

9月の株式市場は、前半は経済指標の悪化から景気減速の警戒感も起きましたが、FRB1718日のFOMC会合で0.5$の大幅利下げを決定したことで、続伸傾向となりました。主要な動きは以下の通りでした。

93日:ISM製造業景況感指数が47.2となり、市場予想の47.5を下回り、好不況の節目となる505カ月連続で下回り、景気減速への警戒感から626ドル安(1.51%減少)。

94日:朝方発表の雇用動態調査で、非農業部門の求人件数が7673000件と市場予想を下回り、景気への警戒感がくすぶり、38ドル高(0.09%増加)。

95日:同日発表の8月のADP雇用レポートによると、非農業部門の雇用者数は前月比99千人増で、市場予想の14万人増を下回り、6日発表予定の雇用統計への警戒感から、219ドル安(0.53%減少)。

96日:日発表87月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比142,000人増で、市場予想の160,000人を下回り、労働市場の軟化を示したことで、米景気減速の懸念から株売りが優勢となり、410ドル安(1.01%減少)。

99日:前週に1,271ドル下落した後で、主力株を中心に見直し買いが入り、484ドル高(1.20%増加)。

910日:11日に消費者物価指数の発表を前に持ち高調整の売りが優勢で、金融株の下げも目立ち、93ドル安(0.22%減少)。

911日:8月の米CPIは前月比で0.2%上昇、市場予想に一致したが、コア指数は同0.3%上昇と市場予想を上回り、FRBによる大幅利下げ観測が後退し、125ドル高(0.31%増加)。

912日:前日に続き、売りが目立っていたハイテク銘柄を中心に買いが優勢で、235ドル高(0.57%増加)。

913日:FRBが来週のFOMCで大幅利下げに動くとの期待が再燃し、景気敏感株を中心ン買いが優勢で、297ドル高(0.72%増加)。

916日:FRBの大幅利下げが米景気を支えるとの見方から、主力株の一角に買いが入り、228ドル高(0.55%増加)。

917日:前日までの4営業日で880ドル余上昇し、高値警戒感から主力株に売りが出て、16ドル安(0.03%減少)。

918日:FRB18日まで開いたFOMC会合で0.5%の大幅利下げを決めたが、織り込み済みであった投資家も多く、主力株に利益確定の売りが出やすく、103ドル安(0.25%減少)。

919日:FRによる大幅利下げが米景気を支えるとの見方が強まり、主力株を中心に買いが広がり、522ドル高(1.25%増加)。

920日:FRBの利下げを受け、米経済がソフトランディングできるとの見方が引き続き相場の支えとなり、38ドル高(1.09%増加)。

923日:FRBの利下げによって米経済が軟着陸に向かうとの観測が引き続き株式市場を支えて、61ドル高(0.14%増加)。

924日:同日発表の米消費者信頼感指数が98.78月の105.6から低下し、市場予想の104.0も下回り。消費減速への懸念が出たが、FRBが利下げを続け、米経済がソフトランディングできるとの見方から、84ドル高(0.19%増加)。

925日:前日まで4営業日連続で最高値を更新した後で、主力株の一部に利益確定目的の売りが出て、293ドル安(0.69%減少)。

926日:26日発表の週間の失業保険申請件数は218000件と市場予想の223000件を下回ったことで、米経済が大幅な悪化を避けられるとの見方が広がり、景気敏感株への買いが増して、260ドル高(0.62%増加)。

927日:27日発表の8月の米個人消費消費支出物価指数の上昇率は前月比0.1%と7月の0.2%から低下し、食品とエネルギーを除くコア指数も前月比0.1%上昇で、市場予想を下回り、インフレが落ち通く流れから、消費関連や景気敏感株を中心に買いが優勢で、138ドル高(0.32%増加)。

930日:同日にパウエル連銀議長が講演会で追加の大幅利下げには慎重であったものの、経済を支える姿勢は明確にしており、投資家の安心感から、17ドル高(0.04%増加)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が96 日に発表した8 月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比142,000人の増加で、市場予想の160,000人を下回りました。6月の雇用者数の確定値は118,000人で61,000人の減少、7月の改定値は89,000人で、25,000人の減少でした。6月の失業率は4.2%で、前月より0.1%低下しました。労働参加率は62.7%で、前月と同水準でした。8月の時間当たり賃金上昇率は前月比で14セント増加しました。部門別では建設業部門が34,000人の増加、ヘルスケア門が31,000人の増加、ソーシアルアシスタンス業が13,000人の増加となりました。一方、製造業部門は24,000人の減少となりました。

 

3.伸びが鈍化した米消費者物価指数

米労働省が11日に発表した8月の消費者物価指数は前年同月比で2.5%の上昇で、市場予想を下回り、7月の2.9%から鈍化しました。一方、エネルギーと食品を除くコア指数はゼ年同月比で3.2%上昇し、市場予想を上回りました。このため、金融市場では大幅利下げ観測の後退で、2年債利回りが上昇しました。

FRB91718日に開くFOMCで利下げを始める方向と見られますが、金融引き締めを緩めてもすぐにインフレの高止まりにつながる懸念は薄いと見られています。

 

3FOMC会合

FOMC会合が917-18日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大し続けていることを示唆している。雇用の増加レベルは鈍化し、失業率は上昇したものの低水準を維持している。インフレ率は2%の目標に向けてさらに進展したが、依然として高止まりしている。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。FOMCはインフレ率が2%に向けて持続可能な形で推移しているとの確信を深めており、雇用とインフレの目標達成に対するリスクは、おおぬね均衡していると判断している。経済の見通しは不透明であり、FOMC2つの責務の双方に対するリスクに細心の注意を払っている。

インフレの進展とリスクのバランスを考慮し、FOMCはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.5%引き下げ、4.755.0%とすることを決めた。FF金利の目標レンジの調整を検討する際、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびリスクのバランスを注意深く評価する。

FOMCは、国債、住宅ローン担保証券の保有額を引き続き削減する。FOMCは雇用の最大化を支援し、、インフレを2%目標に戻すことに強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む11人のメンバーの賛成による。ホーマン理事は今回の会合でFF金利の目標レンジを0.25%引き下げることを希望し、反対票を投じた。

今回のFOMCによる0.5%の大幅引き下げは、織り込み済みとの面もあり、主力株は利益確定売りが出やすく、ダウ平均は103ドル安(0.25%減少)となりました。

        (2024101日: 村方 清)

 

Sunday, September 1, 2024

インフレの鎮静化と経済の底堅さから回復が進む株式市場









1.8月の株式市場

8月の株式市場は、前半には7月の雇用統計が市場予想を下回る内容であったことから、米景気の先行きへの懸念が生じました。しかしながら、その後はインフレの沈静化や米経済の底堅さを示す指標が相次いだほか、FRB議長も9月の利下げ開始を示唆したことで、株価は急ピッチで回復しました。主要な動きは以下の通りでした。

81日:ISM製造業景況感指数が46.86月の48.5から低下し、朝方発表の週間の米新規失業保険申請件数は249,000件と市場予想の235,000件を上回り、米景気の懸念が高まり、495ドル安(1.21%減少)。

82日:2日発表の7月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比114,000人増で、市場予想の170,000人を大きく下回り、米経済が想定以上に減速するとの懸念がが高まり、611ドル安(1.51%減少)。

85日:米景気の先行き不安を背景に投資家がリスク資産を圧縮する動きを強め、ハイテク株を中心に売られ、ダウ平均の構成株は全面安で、1034ドル安(2.60%減少)。

86日:前日まで大きく下落していた反動で、自律反発を狙った買いが優勢となり、294ドル高(0.76%増加)。

87日:午前中は短期的な戻りを見込んだ買いが先行したが、午後に米長期金利が上昇すると気が続かず、ダウ平均など主要株価指数は下げに転じて、234ドル安(0.60%減少)。

88日:米労働省が発表した米新規失業申請件数は83日までの1週間で233,000件となり、市場予想の240,000件を下回り、米労働市場の底堅さを示し、押し目買いが入り、683ドル高(1.80%増加)。

89日:週初までの株式相場の大幅な調整を受けて、大型ハイテク株などに買い直しの動きが続いて、51ドル高(0.12%増加)。

812日:週内に重要な経済指標の発表があり買いを控える雰囲気が強く一方、中東の地政学リスクも意識され、主力株の一部に売りが出され、141ドル安(0.35%減少)。

813日:朝方発表の7月の米卸売物価指数は前月比0.1%上昇と市場予想の0.2%を下回り、FRBが利下げを始めやすくなるとの見方が一段と強まり、409ドル高(1.03%増加)。

814日:同日発表の7月の米消費者物価指数は前年同月比で2.9%上昇、市場予想の3.0%を下回り、FRBが利下げに動き安くなるとの期待から、243ドル高(0.61%増加)。

815日:同日発表の米小売売上高が前月比1.0%増と市場予想の0.3%増を上回り、米経済の大半を占める個人消費が減速するとの懸念が後退し、景気循環株を中心に気が入り、555ドル高(1.38%増加)。

816日:8月の消費者態度指数が67.8と市場予想の66.6を上回り、景気悪化への過度な懸念が後退し、97ドル高(0.23%増加)。

819日:米経済が大幅に悪化するとの懸念が後退しており、マクドナルドなどの主力株に買いが入り、237ドル高(0.58%増加)。

820日:前日にかけて上げが続いた後で、主力銘柄の一部に持ち高調整や利益確定の売りが出て、62ドル安(0.15%減少)。

821日:米雇用統計の年次改訂やFOMCの議事要旨の公表を受け、FRBによる9月の利下げ観測が相場を支えて、56ドル高(0.13%増加)。

822日:23日のパウエル連銀議長のジャクソンホール講演を前に持ち高調整の売りが優勢で、178ドル安(0.43%減少)。

823日:同日のパウエル連銀議長の発言を受け、FRBの利下げ観測が一段と強まり、米経済がソフトランディングに向かうとの見方で、幅広い銘柄に買いが広がり、462ドル高(1.13%増加)。

826日:FRBによる9月の利下げ観測が引き続き指数を支え、65ドル高(0.15%増加)。

827FRBによる利下げ観測が引き続き投資家心理を支えて、10ドル高(0.02%増加)。

828日:取引終了後のエヌビディアの決算報告の発表前に、内容を見極めようとするハイテク株を中心に持ち高調整の売りが出て、159ドル安(0.38%減少)。

829日:朝方発表の2446月までのGDPの改定値が年率3%増と速報値より上方修正され、週間の米失業保険申請件数も前週から小幅に減り、米経済がソフトランディングできるとの期待から、幅広い銘柄が買われて、244ドル高(0.59%増加)。

830日:朝方発表の7月の米個人消費支出物価指数が前月比で0.2%上昇、市場予想に一致したことで、FRB9月に利下げを始めるとの見方が引き続き投資家心理の支えとなり、228ドル高(0.55%増加)。ダウ平均は月間で720ドル上昇し、4か月連続となりました。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が82 日に発表した7 月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比114,000人の増加で、市場予想の170,000人を大きく下回りました。5月の雇用者数の確定値は218,000人で2,000人の増加、6月の改定値は206,000人で、27,000人の減少でした。6月の失業率は4.3%で、前月より0.2%上昇しました。労働参加率は62.7%で、前月から0.1%下回りました。7月の時間当たり賃金上昇率は前月比で8セント増加しました。部門別ではヘルスケア門が55,000人の増加、建設業部門が25,000人の増加、運輸・倉庫業が14,000人の増加、ソーシアルアシスタンス業が9,000人の増加となりました。

 

3.米消費者物価は前年比で3.0%上昇

米労働省が814日に発表した7月の消費者物価指数は、前年同月比で2.9 %上昇と、前月の3.0%から低下し、20213月以来初めての3%を下回りました。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比3.2%上昇で、前月の3.3%から縮小しました。項目別では、中古車、新車、航空運賃などの価格下落が目立っています。

FRB9月に利下げを実施するとの観測に変わりはないものの、インフレ率はFRBが目標とする2%をなお上回っているため、労働市場の悪化がない限り、0.5%の大幅利下げの可能性は少ないもの見られています。

            202491日: 村方 清)


Thursday, August 1, 2024

インフレ鎮静化による利下げ期待と株式市場の改善








1.7月の株式市場

7月の株式市場は中旬になって、インフレ鈍化の経済指標が相次い出てきたことにより、次回9月のFOMCFRB会合での利下げ観測の期待が高まり、改善傾向を示しました。主要な動きは以下の通りでした。

 71日:フランス政治に対する過度な警戒が和らぎ、同国の株式市場が上昇し、米国にも買いが入り、51ドル高(0.12%増加)。

72日:四半期の販売台数を発表したテスラが大幅高となり、他のハイテク株にも買いが波及し。株式相場を押し上げ、162ドル高(0.41%増加)。

73日:4日の独理知記念日を前に主力株の一部に利益確定ア持ち高調整の売りが出て、24ドル安(0.06%減少)。

75日:7日発表の5月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比206,000人増で、市場予想の少し上回り、FRBによる利下げ観測が高まり、68ドル安(0.17%増加)。

78日:週内にFRB議長の上下両院での議会証言や米物価指数の発表があり、持ち高調整の売りがあり、31ドル安(0.07%減少)。

79日:FRB議長の上院銀行委員会での議会証言を受けて、米利下げ観測で買いが優勢になる一方、米景気減速への警戒感から景気敏感株などに売りが出て、53ドル安(0.13%減少)。

710日:FRB議長が米下院での議会証言で労働市場の軟化が見られると発言したことで、FRBによる利下げが近づいているとの安心感を与え、429ドル高(1.09%増加)。

711日:6月のCPIは前月比0.1%低下し、市場予想の0.1%上昇を下回る20205月以来のマイナスとなり、FRBによる9月の利下げ観測が高まり、32ドル高(0.08%増加)。

712日:同日発表の米経済指標が米国のインフレの落ち着きを示す内容となったことで、FRB9月に利下げに動くとの観測が引き続き相場を支え、247ドル高(0.62%増加)。

715日:15日発表のNY連銀の製造業景況感指数はマイナス6.6と市場予想のマイナス6.0を下回り、インフレ圧力が緩和、FRBが利下げに動き安くなるとの見方で、211ドル高(0.52%増加)。

716日:同日発表の6月の小売売上高が前月府横ばいと市場予想(の0.4%減を上回り、、FRB9月に利下げを開始するとの見方も加わり、743ドル高(1.85%増加)。

717日:米国の利下げ観測を背景に出遅れ感のあった銘柄に資金シフトが続き、244ドル高(0.61%増加)。

718日:前日までに連日に最高値を更新していたため、主要ハイテク株に一部やや上げが目立っていた金融株など幅広い銘柄に利益確定売りが出て、533ドル安(1.29%減少)。

719:世界的な規模で発生したシステム障害のを受けて、一部のハイテク株が大幅に下落し、投資家心理が冷え込み、377ドル安(0.92%減少)。

722日:前週後半に大きく下げた後で、半導体株などハイテク株に自律反発の買いが入り、128ドル高(0.31%増加)。

723日:アルファベットなど取引終了後のハイテク企業の決算発表を前に様子見の姿勢が広がり、持ち高調整の売りが優勢で57ドル安(0.14%減少)。

724日:アルファベットなど前日に決算を発表した大型ハイテク株が急落、売りは他のハイテク株にも広がり、504ドル安(1.24%減少)。

725日:同日発表の202446月の米GDPの速報値が2.8%増と市場予想の2.1%を上回り、米景気減速への過度な懸念が後退し、81ドル高(0.20%増加)。

726日:朝方発表の6月の米個人消費物価指数が前月比2.6%増と市場予想と同じで、鈍化傾向が顕著となり、FRBの9月利下げ開始シナリオの確率が強まり、654ドル高(1.6%増加)。

729日:大型ハイテク株の決算発表やFOMCの会合な度を前に様子見ムードが広がり、前週末に大幅高となった後で、主力株の一部に持ち高調整の売りが出て、49ドル安(0.12%減少)。

730日:午前発表の米消費者信頼感指数が100.36月改定値の97.8から改善、米景気が底堅さを保っているとの見方から相対的に出遅れ感があった景気循環株の一部に買いが入り、203ドル高(0.50%増加)。

731日:FRBのパウエル議長は31日まで開いたFOMC後の記者会見で、利下げに転じる時期が近づいているとの見方を示し、主力株を中心に買いが入り、99ドル高(0.24%増加)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が75 日に発表した6 月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比206,000人の増加で、市場予想の200,000人を少し上回りました。4月の雇用者数の確定値は108,000人で5,700人の減少、5月の改定値は218,000人で、5.400人の減少でした。6月の失業率は4.1%で、前月より0.1%上昇しました。労働参加率は62.8%で、前月から0.3%上回りました。6月の時間当たり賃金上昇率は前月比で10セント増加しました。部門別では政府部門が70,000人の増加、ヘルスケア部門が49,000人の増加、ソーシアル・アシスタント業が34,000人の増加、建設業が27,000人の増加となりました。

 

3.米消費者物価は前年比で3.0%上昇

米労働省が711日に発表した6月の消費者物価指数は、前年同月比で3.0%上昇しました。伸び率は3カ月連続で縮小し、市場予想も下回りました。CPIは前月比では0.1%ていかし、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比3.3%上昇で、伸び率は前月から小幅縮小しました。

項目別ではコロナ化禍背景とした供給不足により値上がりしていた中古車・トラックが前年同月比で前年同月比で10.1%の大幅低下、一方、サービス価格は5.1%上昇と引く続き高い伸び率を示しました。

インフレ圧力が鈍化胃腸が確認されたことで、市場では、FRB9月の会合で利下げを決めるとの観測が強まるものとの観測がが出てきています。


4.FOMC会合

FOMC会合が730-31日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大し続けていることを示唆している。雇用の増加は緩やかになり、失業率は上昇したものの低水準を維持している。インフレ率はこの1年で緩和したが、依然として高止まりしている。この数カ月間は2%の物価目標に向けて幾つかの更なる進展があった。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。雇用とインフレの目標達成に対するリスクは、より良いバランスに移行していると判断している。経済の見通しは不透明であり、FOMC2つの責務の双方に対するリスクに細心の注意を払っている。

この目標を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.255.5%に据え置くことを決めた。FF金利の目標レンジの調整を検討する際、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびリスクのバランスを注意深く評価する。

FOMCは、インフレが持続的に2%に向かっているとの確信が深まるまで、目標レンジを引き下げることは適切ではないと考えている。さらに、国債、機関債、住宅ローン担保証券の保有額を引き続き削減する。FOMCはインフレを2%目標に戻すことに強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む12人のメンバーの賛成による。

今回のFOMC会合は利下げ開始を慎重に判断するとの見方が多かったあめ、ダウ平均は35ドル安(0.09%減少)となりました。

       (202481日:村方 清)