Thursday, May 1, 2025

トランプ関税が招く景気減速への懸念と株式相場の不安定性








1.4月の株式市場

4月の株式市場はトランプ大統領が42日に相互関税を発表して以来、インフレと景気減速の懸念から、株式市場の不安定化が増しました。主要な動きは以下の通りでした。

41日:1日発表の3月の米サプライマネジメント協会の製造業景況感指数が49.03カ月振りに50を割り込んだことで、関税政策の不透明感を背景に投資家心理が悪化しているとの見方から、12ドル安(0.02%減少)。

42日:米政府効率化省に関するk度な警戒院が後退、米政権の「相互関税」の詳細を前に、様子見の投資家も多く、株買いを促し、235ドル高(0.56%増加)。

43日:トランプ大統領が2日夕に発表した「相互関税」が市場の想定よりも厳しい内容となり、世界経済の悪化や貿易戦争への警戒が強まり、関税引き上げが収益の逆風¥になる銘柄を中心に売りが広がり、1679ドル安(3.97%減少。

44日:同日朝発表の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数が前月比228千人増加し、市場予想の140千人増を上回ったものの、失業率は4.2%と前月の4.1%増から上昇し、強弱入り交じる内容であったが、トランプ大統領が2日夕に発表した「相互関税」対して、中国が米国への報復措置として34%の追加関税をかけると発表し、関税の応酬による景気や企業収益の悪化を懸念した売りが膨らみ、2231ドル安(5.50%減少)。ダウは週間で3269ドル下げ、週間の下げとして、新型コロナ禍の20203月以来の大きさとなった。

47日:米政権による関税政策が世界経済の落ち込みや貿易戦争の激化につながるとの見方から、主力株に売りが続き、349ドル安(0.91%減少)。

48日:主力株に自律反発を期待した買いが先行したが、勢いは続かず、米国による相互関税が予定通りに9日に発動されるのを踏まえ、貿易摩擦の悪化や経済の先行き不透明感が根強く、次第い売りに転じて、320ドル安(0.84%減少)。

4月9日:トランプ大統領が9日午後に、同日に発動した相互関税を一部の国・地域で90日間停止すると表明したことで、世界景気の悪化に対する警戒が後退し、2963ドル高(7.87%増加)。

410日:トランプ政権の対中関税が累計で145%となることがわかり、米中貿易摩擦の激化が懸念され、1015ドル安(2.49%減少)。

411日:ボストン連銀の総裁が金融市場が混乱した場合、FRBが対応する手段があると発言したことで、市場支援の期待感から、619ドル高(1.56%増加)。

414日:トランプ政権が11日、相互関税の対象から電子関連商品を除外たことで、関税引き引き上げを巡る過度な警戒が後退し、312ドル高(0.77%増加)。                

415日:前日までの2営業日で900ドル余り上昇した後で、持ち高調整の売りが出やすく、156ドル安(0.38%減少)。                                  

416日:パウエル連銀議長が16日の講演で、金利引き下げに慎重な見方を示したことで、株江売りの勢いが強まり、700ドル安(1.73%安)。                       

417日:17日朝発表の四半期決算が市場予想を下回ったユナイテッドヘルスグループが急落し、527ドル安(1.32%減少)。                                

421日:トランプ大統領がFRBに対して、再び政策金利の引き下げを求めたことで、FRBの独立性が損なわれ、米国の信認が揺らぐとの警戒感が広がり、972ドル安(2.48%減少)。      

422日:ベッセント財務長官が同日、中国との貿易摩擦が緩和に向かうとの認識を示したことで、前日に大きく下げた後で、主力株に見直し買いが入り、1017ドル高(2.66%増加)。    

423日:トランプ大統領がFRBのパウエル議長の解任を否定したことを受けて、主力株に買いが広がり、420ドル高(1.07%増加)。                            

424日:トランプ政権が貿易政策で、対中姿勢を緩和したとの観測が投資家心理を改善し、ハイテク株の一部が買われ、487ドル高(1.22%増加)。

425日:米政権による関税政策を巡り、貿易相手国との鉱床が進んでいるとの期待から、相場を支えて、20ドル高(0.05%上昇)。                            

428日:トランプ政権と貿易相手国の関税交渉が進展するとの期待が相場を押し上げ、114ドル高(0.28%増加)。                                    

429日:米国と貿易相手国との関税交渉の進展期待が引き続き相場を支えて、300ドル高(0.74%増加)。                                     

430日:同日発表の202513月期の米国GDPが前期比年率で0.3%減と3年ぶりにマイナス成長となったことや4月の全米雇用レポートで非農業部門の雇用者数が前月比62,00人と市場予想を大きく下回ったことで、トランプ政権による急激な関税措置の悪影響と見られたが、同時に、3月の米個人消費支出物価指数も前月比で横ばいで、FRBの5月会合で利下げもありうるとの見方も出て、相場を支えて142ドル高(0.34%増加)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が4日に発表した3月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比228,000人で、市場予想の140,000人を上回りました。1月の雇用者数の確定値は111,000人で14,000人の減少、2月の改定値は117,000人で、34,000人の減少でした。テ氏関税の領が3月の失業率は4.2%で、前月より0.1%上昇しました。労働参加率は62.5%で、前月より0.1%増加しました。3月の時間当たり賃金上昇率は前月比で9セント増加しました。部門別ではヘルスケア門が54,000人の増加、ソーシャル・アシスタンス部門が24,000人の増加、小売部門が24,000人の増加、運輸・倉庫業部門が23,000人の増加、政府部門が4,000人の減少となりました。


3.米国の米消費者物価指数は3月が2.4%上昇、鈍化傾向

米労働省が10日に発表した3月の消費者物価指数は前年同月比の上昇率が2.4%で、市場予想の2.5%を下回りました。勢いは2カ月連続で鈍りました。エネルギーと食品を除くコア指数の前年同月比の上昇率は2.8%で、市場予想の3.020下回りました。

トランプ政権の高関税政策によって景況感は急速に悪化しています。政権が関税の引き上げを本格化したのは4月以降で、自動車関税が3日に発動した他、全世界からの輸入品に一律10%が上乗せされる関税が5日から導入されました。相互関税のうち9日に発動したのは一部で90日間の一時停止を発表しましたが、5日の導入分だけでも平均関税率は大きく上昇する見込みです。

FRBは時間をかけて続く物価の上昇感想が人々の長期的な物価感を変えてしまう事態を警戒しており、利下げには慎重な姿勢を示しています。

                   (202551日: 村方 清)

 

 

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