Sunday, March 1, 2026

トランプ関税への最高裁の違憲判決やイラン情勢緊迫化で揺れる市場








2月の株式市場

2月の株式市場は220日に米連邦最高裁判所が昨年42日にトランプ大統領が実施した相互関税について下級裁判所と同様に違憲判決を出したことや月末にトランプ大統領がイスラエルと共にイランへの攻撃を始めたことで、株式市場の不安定度が高まりました。主要な動きは以下の通りでした。

22日:2日発表のISM製造業景況化指数が52.6と市場予想の48.4を上回ったことで、景気の底堅さを新下との受け止めから、515ドル高(1.05%増加)。                                 

23日:AIの代替懸念でハイテク株に売りが広がり、167ドル安(0.33%減少)。       

24日:消費関連や医薬品などディフェンシブ銘柄に買いが入り、260ドル高(0.52%増加)。 

25日:ハイテク株が下げ止まらず、投資家がリスク回避姿勢に傾いたことで、593ドル安(1.19%減少)。                                     

26日:今週下げが目立っていたソフトウエア株の売りが一服したことで、投資家心理が改善、半導体などを中心に買いが広がり、1207ドル高(2.46%増加)。               

29日:半導体やソフトウエア株に買いが入り、20ドル高(0.04%増加)。          

210日:一部の景気敏感株などに買いが入り、指数を支えて、52ドル高(0.10%増加)。   

211日:11日発表の1月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比13万人増と市場予想を55,000人を上回り、失業率も昨年12月の4.4%か4.3%へ低下して、利下げ観測が低下したことで、67ドル安(0.13%減少)。                              

212日:AIが既存企業の業務を代替するとの懸念が引き続き意識され、669ドル安(1.33%減少)。                                          

213日:1月のCPIは前年同月日2.4%上昇と市場予想の2.5%を下回り、FRBが追加利下げに動きやすくなるとの観測から、49ドル高(0.09%増加)。                   

217日:米国とイランの核問題に関する協議が進展しているとの期待が投資家心理を支えて、32ドル高(0.06%増加)。                                  

218日:エヌビディアやアマゾンなどの巨大ハイテク株が買われ、129ドル高(0.26%増加)。 

219日:核協議を巡って米国とイランの関係が緊迫しており、中東の地政学リスクへの警戒が重荷となり、268ドル安(0.53%減少)。                           

220日:米連邦最高裁がトランプ政権の課した相互関税などに違憲判決を下し、相場の支えとなって、231ドル高(0.46%増加)。                                 

223日:米連邦最高裁が220日に相互関税やファンタニル関税を違憲と判断したことを受けて、トランプ大統領は新たな関税の税率を15%に上げると表明したが、関税をめぐる不透明感が増したことやAIが既存企業の事業モデルを揺るがすとの懸念が売りが膨らんで、822ドル安(1.65%減少)。                                         

224日:AIが既存事業のビジネスもドルを揺るがすとのAI脅威論を背景に前日に相場が大きく下げた後で、一部の主力株に買いが入り、370ドル高(0.75%増加)。             

225日:ソフトウェア関連株やエヌビディアを買い直す動きが続いて、308ドル高(0.62%増加)。                                          

226日:四半期決算を発表したセールスフォースやIBMなどが買われて、17ドル高(0.03増加)。                                          

227日:トランプ大統領が画策するイラン情勢の緊迫でリスク回避の動きが鮮明で、521ドル安(1.1%減少)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が11日に発表した1月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比130,000人         で、市場予想の55,000人を上回りました。11月の雇用者数の確定値は41,000人で、15,000人の減少、12月の改定値は48,000人で、2,000人の減少でした。1テ氏関税の領が月の失業率は4.3%で、前月より0.1%低下しました。労働参加率は62.5%で、前月より0.1%増加しました。12月の時間当たりの賃金上昇率は前月比で15セント増加しました。部門別ではヘルスケア部門が82,000人の増加、ソーシャル・アシスタンス部門が42,000人の増加であったものの、建設業部門は33,000人の減少となりました。

 

3.米連邦最高裁によるトランプ大統領の相互関税への違憲判決

米連邦最高裁判所は220日に、トランプ政権が下級審の判決を不服として、控訴していた昨年42日に国際緊急経済権限法(IEEPA)による相互関税について、528日の国際貿易裁判所と829日の連邦控訴裁判所でと同様に、IEEPAによる関税権限は連邦議会に与えられているもので、大統領には権限がないとする判決を下しました。今回の最高裁判所による判決は最初から専門家の間では予想されていたことですが、トランプ大統領は法律の一方的な解釈で強引に実施してきました。そして、トランプ政権が相互関税によって徴収した金額は昨年1214日時点で1200億ドルとされており、今後はどのようにして徴収した関税額を返還するかが大きな課題になります。なお、トランプ大統領は、最高裁による違憲判決に対して1974年通商法122条による新たな10%の関税を222日から150日発動すると発表しましたが、それについても従来大統領権限で実施された例はなく、新たな混乱を市場に与えています。

            202631日:村方 清)

                     

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