Friday, May 1, 2026

実体経済と乖離するトランプ政権下での株式相場のバブル化









1.4月の株式相場

4月の株式市場は228日の米国とイスラエルによるイラン攻撃の影響で原油や石油関連製品の価格が高騰、実体経済はインフレ圧力に見舞われています。その一方、

株式市場はトランプ大統領の投機的な発言で上昇傾向が続くなど、バブル化を強めています。主要な動きは以下の通りでした。

41日:米国とイランの軍事衝突が終結に向かうとの観測や堅調な米経済指標から、株式には引き続き買いが広がり、224ドル高(0.5%増加)。                      

42日:中東での軍事衝突を懸念した売りが優勢で、61ドル安(0.13%減少)。               

46日:米国とイランの停戦に向けた協議が進むとの見方から、買いが優勢で、165ドル高(0.36%増加)。                                     

47日:米国とイランとの停戦交渉を巡る不透明感が根強く、持ち高調整の売りが出て、85ドル安(0.18%減少)。                                    

48日:米国とイランが2週間の停戦に合意し、幅広い銘柄に買いが入り、1325ドル高(2.84%増加)。                                         

49日:停戦合意後にレバノンへの攻撃を続けたイスラエルがレバノンが和平協議を始めるとの報道を受けて、276ドル高(0.57%増加)。                          

410日:イラン攻撃の不確実性が高い情勢が続いており、主力銘柄に売りが出やすい状況から、269ドル安(0.56%減少)。                                

413日:米国とイランの交渉が水面下で続いているとの期待から、302ドル高(0.62%増加)。 

414日:米国とイランが戦闘終結に向けた協議を継続するとの観測が投資家心理を支えて、318ドル高(0.65%増加)。                                  

415日:前日に3月上旬以来の高値を付け、主力株に持ち高調整の売りが優勢で、72ドル安(0.14%減少)。                                     

416日:イスラエルとレバノンの10日間の停戦が合意したことで、米国とイランとの戦闘終結に向けた交渉が進むとの観測が相場を支えて、115ドル高(0.23%増加)。           

417日:イランが停戦期間中はホルムズ海峡を開放すると表明したことを受けて、原油先物価格が急落して、投資家のリスク選好姿勢が強まり、869ドル高(1.78%増加)。          

420日:米国とイランの停戦協議を巡って再び不透明感が強まり、慎重な取引が目立ち、5ドル安(0.1%減少)。                                    

421日:米国とイランの停戦期限が迫る中、協議が難航していることを嫌気した売りが出て、293ドル安(0.59%減少)。                                

422日:米国とイランが停戦を延長し、戦闘終結に向けた協議が進むとの見方から、ハイテク株などに買いが入り、341ドル高(0.69%増加)。                       

423日:米国とイランの戦闘終結に向けた交渉が難航する可能性が意識され、加えて原油高も投資家心理の重荷となり、180ドル安(0.36%減少)。                     

424日:米国とイランとの戦闘終結に向けた交渉を見極めようとする警戒感が広がり、週末を前に主力株に売りが出て、80ドル安(0.16%減少)。                     

427日:米国とイランとの戦闘終結に向けた交渉が停滞しているとの観測が株式相場の重荷となり、63ドル安(0.12%減少)。                              

428日:半導体関連株が全般的に売られて、相場の重荷となり、26ドル安(0.05%減少)。  

429日:FRB29日のFOMCで市場予想通りに政策金利を3.503.75%で据え置くことを決定、金融政策の不透明感が意識されたことや原油価格の上昇も受け、280ドル安(0.57%減少)。   



430日:好調な四半期決算を発表したキャタピラーなどが大幅に上昇し、相場全体を押し上げて790ドル高(1.61%増加)。ダウ平均は月間で3310ドル上昇、202210月以来の規模となった。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が43日に発表した3月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比178,000人の増加で、市場予想の60,000人の増加を大きく上回りました。1月の雇用者数の確定値は160,000人で、34,000人の増加、2月の改定値はマイナス133,000人で、41,000人の減少でした。3テ氏関税の領が月の失業率は4.3%で、前月より0.1%減少しました。労働参加率は61.9%で、前月より0.1%減少しました。3月の時間当たりの賃金上昇率は前月比で9セント増加しました。部門別ではヘルスケア部門が76,000人の増加、建設業部門が26,000人の増加、輸送・倉庫業部門が21,000人の増加、ソーシャル・アシスタンス部門が14,000人の増加でした。その一方、連邦政府部門は18,000人の減少となりました。

 

3.イラン攻撃で急上昇した3月の消費者物価指数

米労働省410日に発表した3月の消費者物価指数はガソリン価格の高騰を受けて、前年同月比3.3%上昇し、約2年振りの伸びとなりました。主因は米国がイスラエルと共同で始めたイラン攻撃©で、ガソリン価格は2月と比べて21.2%跳ね上がりました。これは、全体の上昇率(0.9%)の4分の3近くを占めています。

ガソリン価格の急騰は車社会における米国民の家計のマインドを急激に悪化させています。米ミシガン大が同日に発表した4月の消費者態度指数は47.6となり、前月から5.7ポイント悪化し、統計が始まった1952年以降の最低を記録しました。先行き不安に伴う節約志向が強まれば、これまで堅調に推移してきた個人消費が変調をきたす恐れもあります。

FRBはインフレと低成長が併存する事態を警戒しており、シカゴ連銀のグールスビー総裁は7日の講演で、物価の高騰と高失業率が同時に起こるスタグフレーションへの対応が現時点で最大の懸念材料としています。

 

4.4月のFOMC会合

FOMC会合は42829日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました。最近の指標は経済活動が着実なペースで拡大しているいることを示している。雇用の伸びは平均的に鈍いままで、失業率はここ数か月ほとんど変化していない。インフレ率は高止まりしているが、これは世界的なエネルギー価格の最近の上昇を部分的に反映したものである。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。経済見通しに関する不確実性は依然として高い水準にある。中東情勢の展開は、経済見通しに対する高い不確実性の一因となっている。FOMC2つの責務の双方に対するリスクに細心の注意を払っている。

目標達成を支えるために、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを3.53.75%で維持することを決めた。FF金利の目標レンジのさらなる調整の程度と時期を検討する際、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびリスクのバランスを慎重に評価する。雇用の最大化とインフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む8人のメンバーの賛成による。今回の決定にミラン理事が0.25%の利下げを求めて反対した。クリーブランド連銀のハマック総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、ダラス連銀のローガン総裁が金利の目標レンジ維持を支持したが、現時点では声明に緩和バイアスを含めることに反対した。

今回のFOMCの決定は中東情勢で経済見通しに対する不確実性が高く、原油価格の先高観が根強く、インフレ懸念を意識したことから、政策金利の据え置きとなりました。株式市場は売りが優勢で、ダウは280ドル安(0.573%減少)となりました。なお、パウエル議長は任期が515日に終了後も、当面の間は理事として残る予定であることも伝えました。

                 (202651日:村方 清)

 

  

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