Saturday, March 1, 2025

トランプ政権の関税政策とインフレ懸念の増加








1.2月の株式市場

2の株式市場はトランプ政権による相次ぐ関税措置の発表が米国のインフレ懸念を引き起こし、不安定な展開となりました。主要な動きは以下の通りでした。

23日:トランプ政権が週末にカナダやメキシコ、中国に対し関税を引き上げる方針を発表し、米経済や企業収益へのく影響が懸念され、その後メキシコとの間で関税発動の延期で合意されたものお、123ドル安(0.27%減少)。

24日:市場予想を上回る決算発表のハイテク株の一部が買われ、134ドル高(0.30%増加)。

25日:ISM1月の非製造業景況感指数が52.8と市場予想の54.3より悪化し、米景気の減速を示すと受け止められ、米長期金利がいt団と低下、317ドル高(0.71%増加)。

26日:7日に1月の米雇用統計が発表されるのを控え、主力株に利益確定売りが出て、126ドル安(0.28%減少)。

27日:トランプ政権の関税政策の影響で米消費者のインフレ予想が急上昇し、FRBの利下げが’一段と遠のくとの見方から、売りが優勢で、444ドル安(1%減少)。

210日:決算を発表したマクドナルドなどが5%近く上昇、エヌビディアなどにも買いが集まり、167ドル高(0.37%増加)。

211日:CPIの発表を前に様子見姿勢が強く、コカ・コーラなどの主力株が市場予想を上回る決算内容を発表したことで、123ドル高(0.28%増加)。

212日:朝発表の1月の米消費者物価指数(CPI)の伸びが3.0%と市場予想を上回ったことを受けて、物価高止まりの警戒感が強まり、225ドル安(0.5%減用)。

213:トランプ大統領が13日に、貿易相手国に同水準の関税を課す相互関税の導入を指示する覚書に署名したが、直ちに関税を課すものではないことから、過度な懸念が薄れて、343ドル高(0.77%増加)。

214日:14日発表の1月の小売売上高は前月比0.9%減となり、経済活動の弱さを示すものと受け止められ、高止まりする金利の影響への警戒感も加わり、165ドル安(0.37%減少)。

218日:朝発表の製造業調査で米景気の底堅さが隠された一方、インフレ再燃に対する警戒感から買いを控える動きも見られて、10ドル高(0.02%増加)。

219日:ディフェンス株の一角に買いが入ったものの、トランプ米政権の関税政策への警戒感が相場の重荷となり、71ドル高(0.20%増加)。

220日:追加関税が米消費者に負担となる見方に加えて、ウォルマートが慎重な収益見通しを発表して投資家心理を冷やしたことで、451ドル安(1.01%減少)。

221日:同日発表の2月の米購買担当者景気指数が総合で50.41月の52.7から低下し、239月以来の低水準tなり、1月の米中古住宅販売件数も前月比で4.9%減で、市場予想の2.6%減を下回るなど景気減速の懸念に加え、ユナイテッドヘルスのメディケアプランの請求を巡り米司法省の調査に乗りだすなどの動きもあり、749ドル安(1.69%減少)。

224日:前週後半の2営業日で1200ドル程下げた後で、自律反発を見込んだ買いが主力株に入ったが、半面、悪材料の一部の大型ハイテク株に売りが出て、33ドル高(0.07%増加)。

225日:四半期決算を発表したホーム・デポに買いが入り、ディフェンス株にも買いが優勢で、160ドル高(0.36%増加)。

226日:トランプ大統領がEUに対して関税を課す考えを示したことで、貿易戦争や世界経済への悪影響を警戒した売りが出て、188ドル安(0.43%減少)。

227日:トランプ大統領が27日にカナダとメキシコからの輸入品に予定通り関税を課す考えを示し、中国にも追加関税を課す方針で、先行き不透明感が広がり、194ドル安(0.44%減少)。

228日:米長期金利が低下し、株式の相対的な割高感が薄れたことで、主力株に買いが入り、601ドル高(1.39%増加)。ダウ平均は月間で703ドルの下落>

 

2.米国の雇用状況

米労働省が27日に発表した1月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比143,000人の増加で、市場予想の170,000人を下回りました。11月の雇用者数の確定値は261,000人で49,000人の増加、12月の改定値は307,000人で、51,000人の増加でした。12月の失業率は4.0%で、前月より0.1%低下しました。労働参加率は62.6%で、前月より0.1%上昇しました。1月の時間当たり賃金上昇率は前月比で17セント増加しました。部門別ではヘルスケア門が44,000人の増加、小売り業部門が34,000人の増加、政府部門が32,000人の増加、ソーシャル・アシスタンスタス部門が22,000人の増加となりまsた。

 

3.米消費者物価指数は1月3.0%上昇、4カ月連続で加速

米労働省が12日公表した1月の米消費者物価指数は前年同月比で3.0%の上昇で、市場予想の2.9%を少し上回りました。エネルギーと食品を除くコア指数も前年同月比で3.3%の上昇で、これも市場予想をやや上‘回りました。

直後の金融市場はFRBの利下げが難しくなるとの見方から、長期金利の指標となる米10年物国債利回りは上昇し、一時4.6%代半ばと3週間ぶりの高水準を付けました。

米政権は24日から中国製品への関税を10%引き下げました。カナダやメキシコからの輸入品にかける25%の関税は34日から、鉄鋼・アルミ製品への’25%関税は312日から’発動する予定です。輸入品への関税は米国内に転嫁される公算が大きいと見られています。米ミシガン大学の消費者調査で短期的な物価見通しを示す1年先の予想インフレ率が12か月で計1.5%上昇するなどのすでに影響が出ています。

FRBのパウエル議長は211日に米連邦議会上院の議会証言で、インフレ率は鈍化傾向にあるものの依然としてやや高止まりしているとして警戒感を示しました。FRB249月から12月まで計1%の利下げを実施しましたが、今後の金融引き締めをさらに緩めるかどうかの判断には十分時間をかける考えと見られます。

        (202531日:  村方 清)

 

  

Saturday, February 1, 2025

トランプ第2政権の新たな政策への期待と懸念









1.1月の株式市場

1月の株式市場は120日に就任したトランプ第2政権の新たな政策への期待と懸念が混在、不安定な動きとなりました。主要な動きは以下の通りでした。

12日:中国市場で新型スマートフォンを値下げすると発表したアップルが2.6%下落するなど、ハイテク株銘柄の売りが優勢で、152ドル安(0.35%減少)。

13日:前日までの4営業日で930ドル余り減少した後で、アメリカンエクスプレスなど主力株の一部に自律反発を期待した買いが広がり、340ドル高(0.80%増加)。

16日:120日に就任するトランプ氏の貿易政策を巡り、輸入品に対する一率の関税引き上げを限定するとの案を検討しているとの見方をトランプ氏が否定したことで、政策の不確実性が意識されたことや米長期金利が高止まりしたことで、株売りが進み、26ドル安(0.05%減少)。

17日:7日発表の2411月の雇用動態調査で、非農業部門の求人件数は810万人で、前月から259千人増え、市場予想の770万人を上回り、2412月の非製造業景況感指数も54.1と前月から2.0ポイント上回ったことで、米長期金利が上昇し、ハイテク株を中心に売りが広がり、178ドル安(0.4%減少)。

18日:米長期金利が一時8カ月ぶりの水準に上昇したが、金利水準の低下に伴い、相場が持ち直し、107ドル高(0.25%増加)。

110日:日発表の12月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比256,000人増で、市場予想の155,000人を大きく上回り、FRBが利下げペースを鈍化するとの見方が強まり697ドル安(1.63%減少)。

113日:10日の株価急落を受けて自立反発狙いの買いが入り、相場を支えたほか、米銀決算を前に好決算を期待した買いが進んで、359ドル高(0.86%増加)。

114日:米労働省が発表した12月の米卸売物価指数は全月比0.2%上昇で、市場予測の0.4%を下回り、FRB利下げペースが鈍化するとの過度な警戒感が後退し、221ドル高(0.5%増加)。

115日:同日朝発表の2412月の米消費者物価指数でエネルギーと食品を除くコア指数の上昇率が前月比で0.2%と2411月から減速し、市場予想の0.3%を下回ったことで、FRBの追加利下げが遅れるとの過度な懸念が後退し、四半期決算を発表した大手金融株も上昇して、703ドル高(1.65%増加)。

116日:前日までの3営業日で1200ドル余り上げた後で、短期的な過熱感が意識され、アップルなど主力株にも売りが出て、68ドル安(0.15%減少)。

117日:17日発表の2412且の米住宅着工件数が前月比で15.8%増と市場予想の3.2%を上回ったことや12がつの米鉱工業生産も前月比で0.9%増と市場予想の0.2%増を上回り、米経済が底堅さを保っているとの見方から、335ドル高(0.77%増加)。

121日:トランプ大統領の就任当日の大統領令に関税の強化が含まれず自動車株が上昇した半面、エネルギー生産の拡大で需給が緩むとの思惑から石油株が下がるなど、明暗が分かれて、537ドル高(1.2%増加)。

122日:トランプ大統領が人口知能(AI)開発に向けて巨額の投資計画を発表したのを受け、成長期待から関連銘柄に買いが出て、131ドル高(0.29%増加)。

123日:前日に下げていた景気敏感株やディフェンシブ株の一角に買いが入り、指数を押し上げ、408ドル高(0.92%増加)。

124日:前日までの4営業日で1400ドル余り上昇していたことで、週末を控えて主力株の一角に利益確定や持ち高調整の売りが出て、141ドル安(0.31%減少)。

127日:中国企業が開発したAIの台頭で米国のAI産業が脅威になるとの懸念から半導体関連やAI関連株が大きく売られた反面、ディフェンシブ株を中心に買いが入り、指数を押し上げて、289ドル高(0.65%増加)。

128日:米国のAIへの不透明感から前日に急落したエヌビディアが反発した他、ハイテク株が幅広く物色され、137ドル高(0.30%増加)。

129日:FRB29日まで開いたFOMC会合で、政策金利を据え置いたことで、利下げに慎重との見方から、株売りが優勢で、137ドル安(0.30%減少)。

130日:IBMなど一部の主力株の決算を好感した買いが集まり、指数を押し上げ、169ドル高(0.37%増加)。

1月31日:米政権が2月からカナダやメキシコなどに対して新たな関税を課すと改めて伝わり、米経済やインフレへの影響を懸念した売りが優勢で、337ドル安(0.75%減少)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が110日に発表した12 月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比256,000人の増加で、市場予想の155,000人を大きく上回りました。10月の雇用者数の確定値は43,000人で7,000人の増加、11月の改定値は212,000人で、50,000人の減少でした。12月の失業率は4.1%で、前月より0.1%低下しました。労働参加率は62.5%で、前月と同じ水準でした。11月の時間当たり賃金上昇率は前月比で10セント増加しました。部門別ではヘルスケア門が46,000人の増加、小売り業部門が43,000人の増加、政府部門が33,000人の増加、ソーシャル・アシスタンスタス部門が23,000人の増加となりまsた。

 

3.米消費者物価指数は122.9%上昇、3カ月連続で加速

米労働省が15日公表した12月の米消費者物価指数は前年同月比で2.9%の上昇で、市場予想の2.8%を少し上回りました。エネルギーと食品を除くコア指数も前年同月比で3.2%の上昇で、これは市場予想をやや下回りました。14日発表の2412月の米卸売物価指数も市場予想を下回っており、FRBが追加利下げが遅れるとの過度な懸念が後退し、ダウ平均は703ドルの上昇となりました。

物価の軟化基調は見られるものの、次期のトランプは関税の引き上げを公約にしており、輸入物価のを通じた高インフレの再燃につながる可能性があります。

 

4.1月のFOMC会合

FOMC会合が128-29日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大し続けていることを示唆している。失業率はここ数カ月、低水準で安定しており、労働市場の状況は堅調なままである。インフレ率はいくぶん高止まりしている。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。FOMCは雇用とインフレの目標達成に対するリスクは、おおぬね均衡していると判断している。経済の見通しは不透明であり、FOMC2つの責務の双方に対するリスクに細心の注意を払っている。

この目標を支えるために、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを4.254.5%に据え置くことを決めた。FF金利の目標レンジの調整を検討する際、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびリスクのバランスを慎重に評価する。

FOMCは、国債、住宅ローン担保証券の保有額を引き続き削減する。FOMCは雇用の最大化を支援し、、インフレを2%目標に戻すことに強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む12人のメンバーの賛成による。

今回のFOMCによる金利据え置きは、織り込み済みであったものの、今後の利下げに慎重な姿勢を示したとの受け止め方から、株売りが優勢で、137ドル安(0.30%減少)となりました。

     (202521日: 村方 清)

Wednesday, January 1, 2025

長期金利の上昇で不安定性が高まる株式市場







1.12月の株式市場

12月の株式市場はFRB1218に利下げを決定したものの、トランプ次期政権の経済運営によるインフレ懸念から長期金利が上昇、株式市場の不安定性が高まりました。主要な動きは以下の通りでした。

122日:前週末にダウ平均が最高値を更新した後で、短期的な過熱感や高値警戒感が意識されたものの、129ドル高(0.28%増加)。

123日:短期的な相場の過熱感や高値警戒感が、重荷となり買い手控えk76ドル安(0.17%減少)。

124日:米サプライマネジメント協会が4日に発表した11月の非米製造業の景況感指数は52.1と前月から3.9ポイント低下、3カ月ぶりの低水準となり、FRB12月のFOMCで利下げを実施する観測が高またことで、309ドル高(0.69%増加)。

125日:6日に米雇用統計の発表を控えて様子見ムードが強かったが、前日に最高値を更新したことで、利益確定売りも出て、248ドル安(0.6%減少)。

126日:日発表の11月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比227,000人増で、市場予想の214,000人を上回ったが、12月の利下げを見送るほどではないと受け止められたものの、過去最高値を更新した後で景気敏感株やディフェンシブ株に売りが出て、123ドル安(0.27%減少)。

129日:主要株価指数の最高値更新が続いて相場の過熱感が強まる中、ハイテク株の一角に利益確定の売りが出て、241ドル安(0.53%減少)。

1210日:米債券市場で長期金利が4.2%台前半と前日より水準を切り上げたために、株式の素体的な割高感が意識されて、154ドル安(0.34%減少)。

1211日:朝方発表の11月の米消費者物価指数は前月比で0.3%、前年同月比で2.7%の上昇となり、市場予想に一致したが、ディフェンシブ株は売られ、99ドル安(0.22%減少)。

1212日:このところ上昇が目立っていたハイテク株の一角に利益確定の売りが出て、234ドル安(0.53%減少)。

1213日:米債券市場で長期金利が上昇し、一時前日比0.07%高い4.40%を付けたことから、ハイテク株の一角を中心に売りが出て、86ドル安(0.19%減)。

1216日:ディフェンス株の一角に売りが出て、102ドル安(0.25%減少)。

1217日:米長期金利の高止まりが株の割高感を高めて、ハイテク株を中心に売りが進んで、268ドル安(0.6%減少)。9日連続の下落は19782月以降、4610カ月ぶりとなる。

1218日:FRB18日まで開いたFOMC会合で、0.25%の利下げを決めたが、2025年は利下げペースが鈍化することを示したため、金利高止まりへの警戒感から売りが広がり、1123ドル安(2.58%減少)。

1219日:FRBが追加利下げに慎重になるとの見方の広がりと米政府機関の一部閉鎖のリスクが意識され、15ドル高(0.03%増加)。

1220日:20日発表の11月の米個人消費支出物価指数は前年同月比で2.4%上昇し、市場予想の2.5%を下回ったことで、FRBの利下げペースが鈍化するとの過度な懸念が後退し、主力株に買いが集まり、498ドル高(1.17%増加)。

1223日:12且の米消費者信頼感指数は前月に比べて8.1ポイント低い104.7で、市場予想を下回り、ダウの下落幅は一時300ドルを超えたが、その後、半導体などハイテク株オ一角に買いが入り、67ドル高(0.15%増加)。

1224日:前週までの3週間で2000ドル余り下落していたことから、主力株の一部に買いが入り、391ドル高(0.91%増加)。

1226日:米長期金利の上昇が一服し、米株式相場の下値を支えて、29ドル高(0.07%増加)。

1227日:米長期金利が上昇、株式の相対的な割高感が強まり、ハイテク関連を中心に利益確定や持ち高調整の売りが広がり、334ドル安(0.76%減少)。

1230日:年末を控えて主力株に利益確定の売りが出たものの、米経済の減速を示す内容の経済指標から来年からFRBの追加利下げへ動きやすくなるとの見方も出て、株式相場を下支えして、418ドル安(0.97%減少)。

1231日:米債券市場で長期金利が前日比0.04%高い4.57%で終えて、株式の相対的な割高感が意識され。FRBも来年の利下げペースを緩やかにする見通しで、相場の重荷となり、30ドル安(0.06%減少)。ダウは昨年末比で約13%上昇。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が121日に発表した11 月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比227,000人の増加で、市場予想の214,000人を上回りました。9月の雇用者数の確定値は255,000人で32,000人の増加、10月の改定値は36,000人で、24,000人の増加でした。11月の失業率は4.2%で、前月より0.1%上昇しました。労働参加率は62.5%で、前月より0.1%低下しました。11月の時間当たり賃金上昇率は前月比で13セント増加しました。部門別ではヘルスケア門が52,000人の増加、レジャー・観光業部門が53,000人の増加、政府部門が33,000人の増加、運輸業部門が32,000人の増加となりました。

 

3.米消費者物価指数は112.7%上昇、前月から加速

米労働省が11日公表した11月の米消費者物価指数は前年同月比で2.7%の上昇で、市場予想通りでした。エネルギーと食品を除くコア指数も前年同月比で3.3%の上昇で、これも市場予想通りでした。常勝率が市場予想通りであったことから、12月の利下げを見込む市場関係者の安心感が広がりました。

物価の軟化基調に自信を示すFRB高官も、多くが25年には利下げペースの減速を見込んでいます。雇用や個人消費の勢いが堅調を保っているうえに、トランプ次期政権の高関税などの政策が物価を押し上げる懸念を持っています。

 

4.12月のFOMC会合

FOMC会合が1217-18日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大し続けていることを示唆している。雇用状況はおおむね緩和してきており、失業率は上昇したものの低水準を維持している。インフレ率は2%の目標に向けてさらに進展したが、依然として高止まりしている。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。FOMCは雇用とインフレの目標達成に対するリスクは、おおぬね均衡していると判断している。経済の見通しは不透明であり、FOMC2つの責務の双方に対するリスクに細心の注意を払っている。

目標を達成するため、FOMCはフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.5%引き下げ、4.755.0%とすることを決めた。FF金利の目標レンジの調整を検討する際、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびリスクのバランスを注意深く評価する。

FOMCは、国債、住宅ローン担保証券の保有額を引き続き削減する。FOMCは雇用の最大化を支援し、、インフレを2%目標に戻すことに強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む11人のメンバーの賛成による。クリーブランド連銀のハマック総裁はFF金利の目標レンジを据え置くことを希望し、反対票を投じた。

今回のFOMCによる0.5%の大幅引き下げは、織り込み済みであったものの、FRB2025年の利上げペースが鈍化する見通しであることが伝えられ、金利高止まりへの警戒感から、売りが広がり、1123ドル安(2.56%減少)となりました。

           (202511日: 村方 清)