Sunday, June 2, 2024

インフレ懸念再燃から不安定化を強めた株式市場








1.5月の株式市場

5月の株式市場は前半がインフレ懸念の後退から、株式市場の改善が進んだが、後半になり再び、インフレ懸念が高まり、株価の下落が続くなど不安定化を増しました。主要な動きは、以下の通りでした。

5月1日:前日に今年最大の下げ幅を記録した後で、主力株の一部に自律反発を見込んだ買いが入り、87ドル高(0.23%増加)。

5月2日:FRBのパウエル議長が前日に再利上げについて否定的な見方を示したのが引き続き買い材料に視されて、322ドル高(0.85%増加)。

5月3日:3日発表の4月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比175,000人増で、市場予想の240,000人を大きく下回り、FRBによる利下げ開始が先送りになる見方が後退、450ドル高(1.17%増加)。

5月6日:FRBが利下げを始めるとの観測から主力株の一角に買いが入り、177ドル高(0.45%増加)。

5月7日:労働市場の過熱感が薄れつつあるとの見方から、FRBが年後半にも利下げに転じるとの観測が改めて広がり、32ドル高(0.06%増加)。

5月8日:FRBの利下げ時期お巡る不透明感が後退しており、投資家の心理を支えて、172ドル高(0.44%増加)。

5月9日:9日発表の週間の米国失業保険申請件数は231,000件で市場予想の214,000件を上回り、労働市場の過熱感が薄れ、FRBが利下げに動きやすくなるとの観測で、331ドル高(0.84%増加)。

5月10日:FRBが年後半に利下げに転換するとの期待が根強く、主力株に買いが入り、125ドル高(0.31%増加)。

5月13日:前週末までの6営業日で1700ドル近く上昇した反動で、主力株の一部に持ち高調整の売りが出て、81ドル安(0.20%減少)。

5月14日:朝発表の4月の米卸売物価指数は前月比0.5%上昇と市場予想の0.3%を上回ったものの、3月分も0.2%上昇から0.1%へ下落修正され、物価上振れの過度な警戒が薄れて、買いが広がり、127ドル高(0.32%増加)。

5月15日:15日発表の4月の米国消費者物価指数は前月比の上昇率が0.3%と市場予想の0.4%を下回り、FRBの利下げ先送りするとの懸念が後退し、350ドル高(0.88%上昇)。

5月16日:取引時間中に初の4万ドル台に乗せたものの、短期的な相場の過熱感が意識され、主力銘柄の一部に持ち高調整の売りが出て、39ドル安(0.09%減少)。

5月17日:米経済に対する楽観的な見方から景気敏感株や消費関連株に買いが入り安く、134ドル高(0.33%増加)。

5月20日:前週末に初めて4万ドル台で取引を終えた後で、主力株の一部に持ち高調整や利益確定の売りが出て、197ドル安(0.49%減少)。

5月21日:FRBが年後半に利下げし、米景気がソフトランディングするとの期待が株式相場を支えて、66ドル高(0.16%増加)。

5月22日:FRBが公開した4月30日‐5月1日に開催のFOMCの議事要旨で参加者が強いインフレ警戒の姿勢を示していたことが明らかになり、202ドル安(0.50%減少

5月23日:インフレ圧力の根強さから、FRBが利下げ転換に慎重になっているとの見方から、幅広い銘柄に売りが出て、606ドル安(1.52%減少)。

5月24日:米国のインフレ圧力の根強さが後退したとの見方が支えとなったものの、2連休を前に持ち高調整の売りが出やすくなり、小幅な上昇に留まり、4ドル上昇(0.01$増加)。

5月28日:FRBによる金利引き下げ開始時期が後にずれるとの見方がいt部の主力株への売りを誘い、217ドル安(0.55%減少)。

5月29日:FRBの利下げ時期が後にずれるとの見方が強く、米長期金利も上昇し、株式の相対的な割高感が意識され、411ドル安(1.05%減少)。

5月30日:前日夕に四半期決算や見通しを発表したセールスフォースが急落し、指数を押し下げ、330ドル安(0.85%減少)。

5且31日:朝方発表の4月の米個人消費物価指数が前月比0.3%と市場予想に一致したことで、高インフレが続くとの懸念が和らぎ、米長期金利の低下を受け、主力株への買いが膨らみ、575ドル高(1.50%増加)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が5月8日に発表した4月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比175,000人の増加で、市場予想の240,000人を大きく下回りました。2月の雇用者数の確定値は236,000人で34,000人の減少、3月の改定値は303,000人で、12,000人の減少でした。4月の失業率は3.9%で、前月より0.1%上昇しました。労働参加率は62.7%で、前月と同じ水準でした。2月の時間当たり賃金上昇率は前月比で7セント増加しました。部門別ではヘルスケア業が56,000人の増加、ソーシアル・アシスタンス業が31,000人の増加、運輸・倉庫業が22,000人の増加、小売り業が20,000人の増加、建設業が9,000人の増加となりました。

 

3.金利据え置きを決めたFOMC会合

FOMC会合が4月30日‐5月1日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました。最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大していることを示している。雇用の増加は力強く、失業率は低水準に留まている。インフレ率はこの1年で緩和したが、依然として高止まりしている。

この数か月間は2%の物価目標に向けた進展が見られなかった。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。雇用とインフレの目標達成に対するリスクは、この1年でより良いバランスに移行してきたと判断している。経済の見通しは不透明であり、FOMCは引き続きインフレリスクに細心の注意を払っている。

この目標を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%で据え置くことを決めた。EF金利の目標レンジの調整を検討する際に、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびインフレリスクを注意深く評価する。

FOMCは、インフレが持続的に2%に向かっているとの確信が深まるまで、目標レンジを引き下げることは適切ではないと考えている。さらに、国債、機関債、住宅ローン担保証券の保有量の削減を継続する。

FOMCは6月から、国債の月間償還上限額を600憶ドルから250億ドルに引き下げることで保有証券の減少ペースを緩める。機関債及び住宅ローン担保証券の月間償還上限額を350億ドルに維持し、この上限を超える分は国債に再投資する。FOMCはインフレを2%目標に戻すことを強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が景気見通しについて与える影響を注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力やインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

今回の決定はパウエル議長やウイリアムズ副議長を含む12人のメンバーの賛成による。

FRBは政策金利を5.25-5.50%に据え置きました。同時に、パウエル連銀議長はFOMC後の記者会見で、インフレが持続的に2%に向かうと確信を強めるまでに想定よりも時間がかかりそうだとの見方を示した一方、次の政策金利の変更が利上げになる可能性は低いとの認識を示しました。これにより、市場では安ど感が広がり、ダウ平均は87ドル高(0.23%増加)で終えました。 

 

4.4月の米消費者物価指数は上昇率が鈍化、

米労働省が5月15日に発表した4月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.4%の上昇、変動要因の大ききいエネルギーと食料品を除いた’コア指数は3.6%の上昇と、いずれも上昇率はわずかに鈍化しました。前月比でみても、CPIは0.3%上昇、コア指数も0.3%上昇となりました。CPIの鈍化は前年同月比でみた場合は4カ月ぶり、前月比でみた場合は6カ月ぶりとなりました。

 今回の発表で、年初来のインフレ率の上昇傾向が一段落したことは、FRBにも一定の安心感を与える可能性があります。しかし、FRBが利下げに動くには、インフレ率が低下していることを示す結果があと数回必要との見方も強く、今回の結果だけでFRBのスタンスの変更には至らない可能性が高いとみられます。

          (2024年6月1日:村方 清)

 

 

 

Wednesday, May 1, 2024

インフレ懸念の再燃と市場の不安定化








1. 4月の株式市場

4月の株式市場はインフレ懸念の再燃を示す経済データが多く出され、市場の不安定化が再び増す音になりました。主要な動きは、以下の通りでした。

4月1日:1日発表の3月の米サプライマネジメント協会の製造業景況感指数が50.3と市場予想の48.1を上回ったことで、インフレの沈静化が遅れ、FRBの利下げが遠のくとの見方から、売りが優勢で、241ドル安(0.60%減少)。

4月2日:米景気の底堅さやインフレの高止まりでFRBの利下げが先送りになる可能性が意識され、米長期金利も一時的に4カ月ぶりの水準に上昇し、397ドル安(1.00%減少)。

4月3日:3日朝発表のADP全米雇用レポートでは、非農業部門の雇用者数が前月比184,000人増で、市場予想の155,000人を上回り、賃金インフレが物価を押し上げるとの見方が意識され、43ドル安(0.1%減少)。

4月4日:年内の利下げに慎重な姿勢を示すFRB高官の発言に加え、原油高によるインフレの懸念が意識され、530ドル安(1.35%減少)。

4月5日:5日発表の2月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比303,000人増で、市場予想の200,000人を大きく上回ったものの、賃金インフレの加速は示さなかったことで、ハイテク株を中心に幅広い銘柄に見直し買いが入り、307ドル高(0.79%増加)。

4月8日:FRBの利下げが先送りされるとの観測が優勢となり、11ドル安(0.02%減少)。

4月9日:米国の物価指標がインフレ圧力を示し、FRBの利下げまで時間がかかることへの警戒から、9ドル安(0.02%減少)。

4月10日:朝方発表の3月の米消費者物価指数が3.5%と市場予想の3.4%を上回り、FRBの利下げ開始が遅れるとの見方が一段と広まり、422ドル安(1.08%減少)。

4月11日:朝方発表の3月の卸売物価指数は前月比で0.2%と市場予想の0.3%を下回り、トラベラーズなどのディフェンシブ株の下げが目立ち、2ドル安(0.01%減少)。

4月12日:インフレの沈静化には時間がかかり、FRBによる利下げが市場予想より遅れるとの懸念とイスラエルに対するイランの報復が迫っているとの見方から、投資家心理の悪化につながり、476ドル安(1.23%減少)。

4月15日:15日朝発表の3月の米小売売上高は前月比0.7%増と市場予想の0.3%増を上回り、米長期金利が上昇、株式の相対的な割高感から、ハイテク株を中心に売りが優勢で、248ドル安(0.65%減少)。

4月16日:前日まで下げが続いた後で、ユナイテッドヘルスグループなど主力株の一部に押し目買いが入り、64ドル高(0.16%増加)。

4月17日:トラベラーズなど市場予想を下回る決算を発表🅂た銘柄に売りが出て、46ドル安(0.12%減少)。

4月18日:ユナイテッドヘルスなどディフェンシブ株の一角が買われ、22ドル高(0.05%増加)。

4月19日:アメリカンエキスプレスなど決算の内容が評価された銘柄やディフェンシブ株の一角に買いが入り、211ドル高(0.56%増加)。

4月22日:中東情勢悪化への懸念が和らぎ、投資家心理を上向きにさせ、254ドル高(0.66%増加)。

4月23日:中東の地政学リスクへの過度な警戒が和らぎ、幅広い銘柄に押し目買いが入り、264ドル高(0.68%増加)。

4月24日:米長期金利が上昇し、株式の相対的な割高感が意識され、43ドル安(0.11%減少)。

4月25日:同日発表の2024年第1四半期のGDPが前年同期比年率で1.6%増と市場予想の2.4%増を下回り。同時に発表した1-3月期の米個人消費支出は3.7%増と市場予想の前期の2.0%を上回ったことで、、投資家のインフレ懸念が強まり、375ドル安(0.97%減少)。

4月26日:四半期決算を市場予想を上回ったマイクロソフトやアルファベットに買いが入り、投資家心理を支え、154ドル高(0.40%増加)。

4月29日:アップルとテスラが上昇し、長期金利も一服したことで、146ドル高(0.38%増加)。

4月30日:同日発表の1-3月期の米雇用コスト指数が前期比1.2%上昇と賃金インフレの高まりを示し、FRBの利下げ開始時期への不透明感が強まり、570ドル安(1.40%減少)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が4月5日に発表した3月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比303,000人の増加で、市場予想の200,000人を大きく上回りました。1月の雇用者数の確定値は256,000人で27,000人の増加、2月の改定値は270,000人で、5,000人の減少でした。1月の失業率は3.8%で、前月より0.1%低下しました。労働参加率は62.7%で、前月より0.2%上昇しました。2月の時間当たり賃金上昇率は前月比で12セント増加しました。部門別ではヘルスケア業が72,000人の増加、政府部門が71,000人の増加、建設業が39,000人の増加、レジャー・観光業が49,000人の増加、ソーシアル・アシスタンス業が14,000人の増加となりました。

 

3.岸田首相が米議会で演説

岸田首相は4月11日に米議会の上下両院合同会議で日本の首相による5人目の演説を行った。首相は英語で演説し、米国が難世代にもわたり築いてきた国際秩序は今、新たな挑戦に直面していると指摘し、中国やロシアによる覇権主義を念頭に自由と民主主義は世界中で脅威にさらされているお訴えました。米国が国際秩序を維持するコストを負担し続けることに、米国側が疑念を抱いているとの印象を明かし、一人双肩に背負うことがいかなる重荷であるかを理解していると話しました。その上で、日本は共に大きな責任を担っていると言明し、米国と共にあると寄り添いました。

加えて、日本が世界最大の対米直接投資国であり、日本企業は8000億ドルを投資し、米国内で100万人の雇用を創出していると説明しました。同時に、賃上げや株価などが高い水準にあるとして、日本経済の復調も訴えました。最後に、日米両国で人口知能、量子、バイオ、原子力といった次世代技術の開発にも言及しました。

 

4.米物価、2.7%上昇

米商務省が26日に発表した3月の米個人消費支出物価指数は前年同月比2.7%上昇しました。伸び率は’前月の2,5%から拡大し、市場予想の2.0%を上回り、インフレ鈍化の足踏み傾向が鮮明となりました。価格変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数は2.8%上昇で、伸びは先月から変わらず、いずれもFRBが物価安定目標に据える2%を上回りました。項目別では、耐久財などモノのの価格が0.1%の上昇に留まった一方、サービス価格は4.0%上昇となりました。堅調な雇用受精を背景とした賃金の伸びがサービス価格を押し下げており、インフレ鎮静化を妨げる要因になっています。

FRBは4月30日と5月1日にFOMC’会合を開きますが、インフレ率が2%へ低下するという一段の確信を得るまで、金利を据え置き方針と見られます。

                             (2024年5月1日:村方 清)

Monday, April 1, 2024

インフレ懸念の低下と利下げ期待による米国市場の改善








1.3月の株式市場

3月の株式市場は、後半になってインフレ懸念が低下する経済指標が続いたことで、FRBによる利下げのの期待から、改善傾向が続きました。主要な動きは、以下の通りでした。

3月1日:米長期金利の低下を追い風にインテルなどの大型ハイテク株に買いが入り、91ドル高(0.23%増加)。

3月4日:前週末に主要な株高指数が最高値を付けた後で、主力株を中心に利益確定売りが出て、98ドル安(0.24%減少)。

3月5日:中国でのスマートフォンの販売減少が伝わったアップルが大幅に下落、ハイテク株を中心に売りが優勢で、405ドル安(1.03%減少)。

3月6日:前日まで2日間で500ドル以上あまり下げた後で、値ごろ感からのき戻しがあり、76ドル高(0.19%増加)。

3月7日:米経済がソフトランディングできるとの期待が相場の支えとなり、130ドル高(0.33%増加)。

3月8日:8日発表の2月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比275,000人増で、市場予想の200,000人を上回り、取引終了にかけて売りが優勢となり、69ドル安(0.17%減少)。

3月11日:相場上昇に遅れていたディフェンシブ株や一部の消費銘柄株が買われて、47ドル高(0.12%増加)。

3月12日:このところ下げの目だっていた半導体株が上昇し、投資家心理が改善し、236ドル高(0.60%増加)。

3月13日:米経済がソフトランディングに向かうとの見方が大きくなり、相対的に出遅れていた景気敏感株の一角に買いが入り、38ドル高(0.09%増加)。

3月14日:朝方発表の米卸売物価指数が0.6%と市場予想の0.3%を上回り、米長期金利が上昇し、幅広い銘柄に売りが優勢で、138ドル安(0.35%減少)。

3月15日:今週発表された米物価指標が相次いで市場予想を上回る伸びとなり、インフレの鎮静化に時間がかかるとの見方が強まり、191ドル安(0.40%減少)。

3月18日:AI関連の需要拡大が業績を押し上げるとの見方からハイテク株を中心に買いが広がり、76ドル高(0.19%増加)。

3月19日:朝方発表の2月の米国の住宅着工件数が市場予想を大幅に上回る伸びとなり、消費関連株を中心に買いが入り、320ドル高(0.82%増加)。

3月20日:FRBは20日まで開いたFOMCで政策金利を据え置いたものの、年末に向けた利下げ姿勢に変わりなく、景気敏感株を中心に買いが広がり、401ドル高(1.02%増加)。

3月21日:AI開発需要が半導体などの業績をけん引するとの期待が買いにつながり、269ドル高(0.68%増加)。

3月22日:米主要株価指数が最高値を記録した後で、景気敏感株や消費関連株を中心に持ち高調整の売りが優勢となり、306ドル安((0.77%減少)。

3月25日:前週に主要株価指数の最高値更新が続き、高値警戒感から主力株に売りが出て、162ドル安(0.41%減少)。

3月26日:四半期末を控えた持ち高調整の売りに押されて、31ドル安(0.07%減少)。

3月27日:米景気の先行きに対する楽観的な見方が投資家心理を支え、出遅れていたディフェンシブ株や景気循環株に買いが入り、478ドル高(1.21%増加)。

3月28日:米経済への楽観や利下げ観測が相場を支えて、47ドル高(0.11%増加)。


2.米国の雇用状況

米労働省が3月8日に発表した2月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比275,000人の増加で、市場予想の200,000人を上回りました。12月の雇用者数の確定値は290,000人で43,000人の減少、1月の改定値は229,000人で、124,000人の減少でした。1月の失業率は3.9%で、前月より0.2%上昇しました。労働参加率は62.5%で、前月と同じ水準でした。2月の時間当たり賃金上昇率は前月比で5セント増加しました。部門別ではヘルスケア業が67,000人の増加、政府部門が52,000人の増加、飲食業が42,000人の増加、ソーシアル・アシスタンス業が24,000人の増加、運輸・倉庫業が20,000人の増加となりました。

 

3.バイデン大統領の一般教書演説

バイデン大統領は3月7日に連邦議会の上下両院合同会議で内政、外交方針を示すいppん教書演説に臨みました。11月の大統領選挙で対決が確実な共和党のトランプ前大統領を危険であり、受け入れられないとして、強く批判しました。経済政策では、大企業や富裕層への課税強化を訴えました。現在、富裕層の多くは様々な優遇措置により、全所得にたいする平均所得税率は8%に留まっています。また、トランプ前大統領が減税したために15%に留まっており、バイデン大統領はこれを21%に引き上げるとしました。バイデン大統領はトランプ前大統領と異なり、中低所得層や中小企業を重視する姿勢を打ち出しているのが、大きな特徴となっています。

 

4.金利据え置きを決めたFOMC会合

FOMC会合が3月19-20日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました。最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大していることを示している。雇用の増加は力強く、失業率は低水準に留まている。2023年の年初から緩やかになっているが、依然として力強い状態だ。失業率は低水準にとどまっている。インフレ率はこの1年で緩和したが、依然として高止まりしている、

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。雇用とインフレの目標達成に対するリスクは、より良いバランスに移行しつつあると判断している。経済の見通しは不透明であり、FOMCは引き続きインフレリスクに細心の注意を払っている。

これらの目標を支えるため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを5.25-5.5%で据え置くことを決めた。EF金利の目標レンジの調整を検討する際に、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびインフレリスクを注意深く評価する。

FOMCは、インフレが持続的に2%に向かっているとの確信が深まるまで、目標レンジを引き下げることは適切ではないと考えている。さらに、以前発表した計画に示されているように、国債、機関債、住宅ローン担保証券の保有量の削減を継続する。FOMCはインフレを2%目標に戻すことを強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が景気見通しについて与える影響を注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力やインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

今回の決定はパウエル議長やウイリアムズ副議長を含む12人のメンバーの賛成による。

FRBは政策金利を5.25-5.50%に据え置きました。同時に、パウエル連銀議長はFOMC後の記者会見で、雇用が強いこと事態は利下げを遅らせる理由にはならないだろうとして、景気に配慮する姿勢を考えをにじませました。これにより、投資家は年末に向けてFRBの利下げ姿勢が変わらないと判断した投資家の買いが一段と優勢になり、ダウ平均は401ドル高(1.02%増加)で終えました。 

                (2024年4月1日:村方 清)

  

Friday, March 1, 2024

インフレ懸念が和らぎ、最高値を更新する米株式市場








1.2月の株式市場

2月の株式市場は全体としてインフレ懸念が和らぐ経済指標が多かったことで、市場最高値を更新しました。主要な動きは、以下の通りでした。

2月1日:1日発表の米新規失業保険申請件数は224,000件で、市場予想の214,000件を上回り、労働需給の緩和を示したことで、物価上昇がいt団と鎮静化するとの期待から、米長期金利が低下、株買いが広がり、370ドル高(0.96%増加)。

2月2日:2日発表の1月の雇用統計で非農業部門の雇用者数は前月比353,000人増で、市場予想の185,000人を大きく上回り、FRBの早期利下げ観測が後退したものの、米経済の底堅さを示したものとの見方も出て、135ドル高(0.34%増加)。

2月5日:5日発表の1月の米サプライマネジメント協会の非製造業景況感指数は53.4と市場予想の52.0を大きく上回り、早期の利下げ観測が後退し、274ドル安(0.70%減少)。

2月6日:米経済の底堅さを示す経済指標を背景にした長期金利の上昇が一服し、株式の相対的な割高感が薄れて買いが入り、141ドル高(0.35%増加)。

2月7日:米経済のソフトランディング期待や米企業の業績改善の好感した買いが入り、156ドル高(0.40%増加)。

2月8日:前日に四半期決算を発表したウォルトディズニーが11%と急騰、ダウ平均を支えて、48ドル高(0.12%増加)。

2月9日:前日にかけて連日で過去最高値を更新しており、主力株の一角に利益確定の売りが出て55ドル安(0.14%減少)。

2月12日:米経済がソフトランディングに向かうとの期待から相場を押し上げ、126ドル高(0.32%増加)。

2月13日:朝方発表の1月の米消費者物価指数の上昇率が3.1%と市場予想の2.9%を上回り、FRBによる早期利下げ観測が一段と後退し、幅広い銘柄に売りが出て、523ドル安(1.35%減少)。

2月14日:前日に大きく下げた反動で、ハイテク株や景気敏感株の一角に押し目買いが入り、152ドル高(0.39%増加)。

2月15日:前日に続き、景気敏感株や消費関連株を中心に押し目買いが続き、米長期金利も低下し、349ドル高(0.90%増加)。

2月16日:前日発表の1月の米卸売物価指数が前月比0.3%と市場予想の0.1%上昇を上回り、FRBの早期利下げ観測が後退、米長期金利も上昇し、株式の相対的な割高感が意識され、145ドル安(0.37%減少)。

2月20日:主要株価が高値圏にある中、主力株に売りが出て、64ドル安(0.16%減少)。

2月21日:主力株を中心に売りが出て安く推移する時間がかかったが、取引終了にかけて上昇に転じて、48ドル高(0.12%増加)。

2月22日:市場予想を上回る四半期決算を発表した画像処理半導体のエヌビディアが急伸し、ハイテク株や半導体株を中心に買いが広がり、457ドル高(1.18%増加)。

2月23日:出遅れ感があった景気敏感株やディフェンシブ株が買われてダウ平均を支え、62ドル高(0.15%増加)。

2月26日:前週末に最高値を更新した後で、主力株を中心とした利益確定売りが出て、62ドル安(0.15%減少)。

2月27日:昨日に続いて、前週末に最高値を更新した高値警戒感から、利益確定の売りが出て、97ドル安(0.24%減少)。

2月28日:29日に発表される1月の米個人消費支出物価指数がインフレ圧力の強まりを示すことへの警戒感から、買いを控える参加者が多く、23ドル安(0.06%減少)。

2月29日:29日発表の1月の米個人用日支出物価指数はの伸び率は2.8%と市場予想を下回り、インフレに対する過度な警戒が和らぎ、47ドル高(0.12%増加)。ダウ平均では2か月間で846ドル上昇(2.21%増加)、4カ月間連続で上昇。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が2月2日に発表した1月の雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は前月比353,000人の増加で、市場予想の180,000人を大きく上回りました。11月の雇用者数の確定値は182,000人で9,000人の増加、12月の改定値は333,000人で、117,000人の増加でした。1月の失業率は3.7%で、前月と同水準でした。労働参加率は62.5%で、前月と同じ水準でした。9月の時間当たり賃金上昇率は前月比で19セント増加しました。部門別では専門・ビジネスサービス業が74,000人の増加、ヘルスケア業が70,000人の増加、小売業が45,000人の増加、ソーシャル・アシスタンス業が30,000人の増加、製造業が23,000人の増加、建設業が17,000人の増加となりました。

 

3.米消費者物価指数は1月に3.1%上昇

米商務省が1月13日に発表した1月の米個人消費支出物価指数は前年同月比で3.1%上昇し,市場予想の2.9 %を上回りました。一方、エネルギーと食品を除くコア指数は3.9%で、前月比と同じでしたが、市場予想の3.7%を上回りました。

これに対し、個人消費支出(PCE)物価指数はコア指数の上昇率が23年12月時点で2.9%まで退化しました。FRBが重視するのはPCEで、PCEで見た伸び率はこの半年間のペースが年率で物価目標の2%を割り込んでいる。FRBのパウエル議長はこの傾向を評価しつつ、この傾向が続くかどうかをさらにデータを蓄積したとしています。

         (2024年3月1日: 村方 清)