Friday, August 1, 2025

貿易赤字縮小ではなく、投資拡大にシフトしたトランプ政権の関税政策









1. 7月の株式市場

7月の株式市場はトランプ政権による81日からの相互関税の新税率発動の前に、822日に日本と27日にEUとの合意に達しました。いずれも、関税率を15%に引き下げる代わりに、各国から米国への巨額投資を実施する内容となっています。主要な動きは以下の通りでした。

71日:製薬や保険などこのところ株価の動きがさえなかった銘柄に買いが入り、400ドル高(0.90%増加)。                                           7月2日:朝発表の雇用関連指標が米労働市場の悪化傾向を示し、米経済の先行き不透明感が重荷となり、11ドル安(0.02%減少)。                                     73日:朝方発表の6月の雇用統計で、非農業部門の雇用者数は前月比147,000人の増加で、市場予想の110,000人を上回り、失業率も4.1%と前月の4.2%を下回り、主力株を中心に買いが入り、344ドル高(0.77%増加)。                                        77日:トランプ米大統領が7日、日本と韓国に25%の関税を課すと表明した。米政権の貿易政策が世界景気の冷え込みにつながるとの懸念から主力株に売りが出て、422ドル安(0.94%減少)。        78日:トランプ政権の貿易政策を巡る不透明感が引き続き相場の重荷となり、166ドル安(0.37%減少)。                                              79日:米政権による貿易政策の不透明感が根強い中、米長期金利が低下したことやエヌビディアなどハイテク株に買いが入り、218ドル高(0.49%増加)。                        710日:朝方発表の週間の米新規失業保険申請件数が227, 000件となり前週から減少したことや、出遅れていた消費関連株や景気敏感株などが物色され、192ドル高(0.42%増加)。             711日:トランプ政権がカナダに対して81日から35%の関税を課すと表明したことで、米国の関税政策が世界景気を押し下げるとの懸念が広がり、主力株を中心に利益確定の売りが優勢で、279ドル安(0.62%減少)。                                                                           714日:トランプ大統領がEUとメキシコへ#0%のちゅい関税を課すことを明らかにしたことで売りが先行したが、交渉次第で税率が下がるとの楽観的な見方が強く、88ドル高(0.19%増加)。        715日:朝方発表の6月の米消費者物価指数が前月比0.3%増加で、市場予想とは一致したものの、前月比からは加速し、米長期金利も上昇したことで、主力株の利益確定売りが強く、437ドル安(0.93%減少)。                                    716日:朝方発表の週間の米新規失業保険件数が227,000件と前週から減少、市場予想も下回り、ハイテク株に出遅れていた消費関連株や景気敏感株が物色され、231ドル高(0.53%増加)。         717日:同日発表の6月の米小売売上高は前月比0.6%増と5月の0.9%減kら持ち直し、米景気の底堅さを示し、半導体などハイテク株の一部に買いが広がり、230ドル高(0.51%増加)。            718日:主力株が高値圏にあり、持ち高調整や利益確定のリが出やすかったことに加え、米大統領がEUとの関税交渉において強気姿勢を示していることで、142ドル安(0.31%減少)。            721日:米政権とEUとの貿易交渉を巡る不透明感が重荷となり、19ドル安(0.04%減少)。  722日:トランプ政権が81日に定める貿易交渉の期限が迫る中、協議進展への期待から株を買う動きが優勢で、179ドル高(0.4%増加)。                                  723日:22日の日米関税交渉の妥結で他国との交渉進展が期待され、507ドル高(1.1%高)。     724日:決算発表をしたIBMやハネウエル等が不振で大幅安となり、316ドル安(0.70%減少)。     725日:米国と主要貿易相手国との関税交渉が前進するとの見方から、買いが優勢で208ドル高(0.46%増加)。                                            728日:米国と欧州が727日に関税交渉で合意に達したものの、主要株価指数が高値圏にあるため、主力株の一部に利益確定の売りがが出て、64ドル安(0.14%減少)。                  729日:四半期決算を発表したユナイテッドヘルス・グループやメルクが下落し、持ち高調整の売りが優勢で、205ドル安(0.45%減少)。                                730日:FRBのパウエル議長がFOMC後の記者会見で、早期の利下げに慎重な姿勢を示したため、金融緩和が米経済を支えるとの見方が後退し、主力株が売られて、172ドル安(0.38%減少)。         731日:朝方発表の6月の米個人消費支出物価指数が前年同月比の上昇率は2.6%と市場予想を上回り、週間の米新規失業保険申請件数は218千件と紫綬予想を下回るなど、米経済の底堅さを示したことで、市場の利下げ観測を後退させたため、株売りが盛んで、330ドル安(0.74%減少)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が3日に発表した6月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比147,000人で、市場予想の110,000人を上回りました。4月の雇用者数の確定値は158,000人で11,000人の増加、5月の改定値は144,000人で、5,000人の増加でした。テ氏関税の領が6月の失業率は4.1%で、前月より0.1%改善しました。労働参加率は62.3%で、前月より0.1%減少しました。3月の時間当たり賃金上昇率は前月比で8セント増加しました。部門別では政府部門が73,000人の増加、ヘルスケア部門が39,000人、ソーシャル・アシスタンス部門が19,000人の増加となりました。

 

3.  米消費者物価指数は前月比’0.3%上昇

朝方発表の6月の米消費者物価指数は前月比0.3%上昇、市場予想とはいちいしたものの5月の0.1%から加速しました。食品とエネルギーを除くコア指数の上昇率は前年同月比2.9%上昇と5月の2.8%から拡大しました。

エコノミストの間では、インフレ率は今後数カ月で加速するとの見方が主流で、FRBの高官も、関税率の更なる引き上げを警戒心を緩めていません。

 

4.日米関税の合意内容                              

今回の合意により、81日から日本に対して25%を課すとしていた「相互関税」は15%に引き下げられることになりました。とくにネックだった発動済みの自動車への追加関税は25%から12.5%と半分に引き下げられ、従来の2.5%と合わせて15%が新たな税率となりました。

「我が国の基幹産業である自動車および自動車部品について、本年4月以降に課された25%の追加関税率を半減し、既存の税率を含め15%とすることで合意した。世界に先駆け、数量制限のない自動車・自動車部品関税の引き下げを実現することができた」                   

なお、自動車、トラック、コメなどの農産品について日本が「貿易を開放する」とも記された。石破首相は農産品について、日本への輸入関税をかけない「ミニマム・アクセス米」の総量は変えず、その枠の中でアメリカからの調達割合を増やすことで合意したと説明。「(日本の)農業を犠牲にするようなことは一切含まれていない」と強調した。                        

そしてトランプ大統領が、(日本が)アメリカに5500億ドル(約80兆円)を投資する」と投稿した内容について石破首相は、「日本企業が関与する医薬品、半導体などの重要分野での対米投資促進のため、政府系金融機関が最大5500億ドル規模の出資、融資と融資保証を提供可能にするということで合意した」と説明しました。これは、2月の日米首脳会談で石破首相がトランプ大統領側に示した、「関税より投資」の働きかけを続けた成果とも言えます。

 

57月のFOMC会合

FOMC会合729-30日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました。純輸出の振れがデータに影響を及ぼしたものの、最近の指標は、経済活動の伸びが緩やかになっていることを示唆している。失業率はここ数か月、低水準で安定しており、労働市場の状況は堅調なままである。インフレ率はいくぶん高止まりしている。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。経済見通しに関する府果実性は依然として高い水準にある。FOMC2つの責務の双方に対するリスクに細心の注意を払っている。

この目標を支えるために、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを4.254.5%に据え置くことを決めた。FF金利の目標レンジの調整を検討する際、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびリスクのバランスを慎重に評価する。

FOMCは、国債、住宅ローン担保証券の保有額を引き続き削減する。。FOMCは雇用の最大化を支援し、インフレを2%目標に戻すことに強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む9人のメンバーの賛成による。ボウマン金融担当副議長とウォラー理事は今回の会合でFF金利の目標‘レンジを0.25%引き下げることを希望し、反対票を投じた。クグラー理事は欠席した。

今回のFOMCでは、政策金利の据え置きを決定しましたが、副議長ら2人が利下げを求めて反対票を投じました。声明文では、景気について「堅調」との文言を削り、経済活動が「緩やかに」なっていると修正しました。パウエル議長ら多くの高官は関税による物価高を懸念しています。パウエル議長は関税による物価の押仕上げが一時的にとどまることをとても合理的な基本ケースとしつつ、長期化するリスクもあると強調しました。雇用情勢についても、パウエル議長は16月期の実質経済成長率が1.2%と24年の2.5%から減速したとしつつ、労働市場についてはまだかなり堅調としてきしました。

トランプ大統領は即時の利下げを求めています。パウエル議長は記者会見で、先進国は金融政策の決定を政治の支配から遠ざけていると強調しました。「それがなければ、例えば選挙に影響を与えるために金利を利用したいとする大きな誘惑になるだろう。それは私たちがやりたくないことだ」と述べて、中央銀行の独立性を重視すべきだと訴えました。

          (202581日: 村方 清)

 


Thursday, July 3, 2025

中東情勢の一時的な緊迫化を回避し、回復軌道に乗せた株式市場


 




1.6月の株式市場

 6月の株式市場は中旬にイスラエルトとイランの軍事衝突を巡り、一時的に緊迫度が増しましたが、停戦合意を受けて、再び回復軌道となりました。主要な動きは以下の通りでした。

62日:ハイテク株の一部に買いが入った他、貿易交渉の進展期待が投資家の支えとなり、35ドル高(0.08%増加)。

63日:米企業による人口知能開発の加速が意識されて、半導体を中心に買いが入り、214ドル高(0.50%増加)。

64日:トランプ政権の高い関税が米景気に悪影響を及ぼすとの懸念を強める経済指標の発表を受け、92ドル安(0.21%減少)。

65日:トランプ大統領とテスラのCEOのマスク氏の関係悪化が表面化したことで、テスラ株が急落し、投資家心理が悪化、108ドル安(0.25%減少)。

66日:朝方発表の5月の雇用統計で、非農業部門の雇用者数は前月比139,000人の増加で、市場予想の125,000人を上回り、平均時給も前月比0.4%上昇で市場予想の0.3%を上回り、主力株を中心に買いが入り、443ドル高(1.04%増加)。

69日:このところの株高で高値警戒感が意識され、取引終盤に小幅な下落に転じて1ドル安。

610日:半導体やハイテク株の一部が買われて投資家心理を支え、105ドル高(0.25%増加)。

611日:このところ上昇していたハイテク株の一角に利益確定売りが出て、1ドル安。

612日:11日夕にオラクルが発表した決算や見通しがAI需要の強さを示し、ハイテク株や半導体株の一角に買いが入り、102ドル高(0.23%増加)。

613日:イスラエルとイランを巡る中東情勢の緊迫化を受けて、リスク回避の株売りが優勢で、770ドル安(1.79%減少)。

616日:イスラエルとの軍事衝突を巡り、イランが事態の沈静化に動き始めたとの報道から、原油先物相場が下落し、投資家心理が改善して、317ドル高(0.75%増加)。

617日:核開発問題を巡るイスラエルとイランの軍事衝突や米政府の関与を巡って緊張が高まり、投資家のリスク回避姿勢が強まり、299ドル安(0.70%減少)。

618日:FRB18日まで開いたFOMC会合で政策金利を据え置き、パウエル議長も利下げを急がない姿勢を改めて示し、主力株の一角に売りが優勢となって、44ドル安(0.10%減少)。

620日:イスラエルとイランの軍事衝突を巡り、外交努力による仲介が進んでいることが支えとなり、35ドル高(0.08%増加)。

623日:米国による核施設への攻撃を受けたいrンの報復が限定的なものに留まっているところから、米げにゅ先物相場が急落し、投資家心理を支えて、375ドル高(0.88%増加)。

624日:イスラエルとイランの停戦合意を受けて投資家心理が大幅に改善したため、585ドル高(1.37%増加)。

625日:前日に主要株価指数がそろって大幅高となった後で、短期的な持ち高調整の売りが優勢となり、107ドル安(0.24%安)。

626日:中東情勢を巡る懸念が後退したことで投資家心理が改善し、主力株への買いを支えた。人工知能(AI)関連の銘柄の上昇が続いたことで、404ドル高(0.94%増加)。

627日:政府が通商交渉の合意に向けた進展に楽観的見解を示したことで、株式市場は続伸し、432ドル高(1.02%増加)。

630日:米国とカナダの貿易交渉が進展するとの期待から、投資家心理が改善。景気敏感など出遅れ感のあった銘柄にも買いが広がり、相場上昇を支え、276ドル高(0.62%増加)。月額で1824ドル高で、2カ月連続。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が6日に発表した5月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比139,000人で、市場予想の125,000人を上回りました。3月の雇用者数の確定値は120,000人で65,000人の減少、4月の改定値は147,000人で、30,000人の減少でした。5月の失業率は4.2%で、前月と同じでた。労働参加率は62.4%で、前月より0.2%減少しました。3月の時間当たり賃金上昇率は前月比で15セント増加しました。部門別ではヘルスケア門が62,000人の増加、レジャー・ホテル部門が48,000人、ソーシャル・アシスタンス部門が16,000人の増加、政府部門が22,000人の減少となりました。


3. 米消費者物価指数は52.4%上昇

米労働省が11日に公表した5月の消費者物価指数は前月同月比の上昇率が2.4%となり、市場予想を下回って鈍化しました。エネルギーと食品を除くコア指数では2.8%上昇しました。伸びは4月と同じで、市場予想の2.9%を下回りました。

トランプ政権は2月から中国製品への関税を順次引き上げました。4月には大規模な相互関税を公表し、10%の基本税率を5日から適用しました。同月3日には25%の自動車関税も発動しました。

FRBは相次ぐトランプ政権の関税政策と物価への影響を見極めるために、当面は利下げを見送る方針で、1718日に開くFOMCでも政策金利の据え置きが確実視されています。

 

46月のFOMC会合

FOMC会合617-18日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました。純輸出の振れがデータに影響を及ぼしたものの、最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大し続けていることを示唆している。失業率は低水準に留まり、労働市場の状況は堅調なままである。インフレ率はいくぶん高止まりしている。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。経済見通しに関する府果実性はお一時より減少したものの、依然として高い水準にある。FOMC2つの責務の双方に対するリスクに細心の注意を払っている。

この目標を支えるために、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを4.254.5%に据え置くことを決めた。FF金利の目標レンジの調整を検討する際、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびリスクのバランスを慎重に評価する。

FOMCは、国債、住宅ローン担保証券の保有額を引き続き削減する。。FOMCは雇用の最大化を支援し、インフレを2%目標に戻すことに強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む12人のメンバーの賛成による。

トランプ政権の関税政策はなお流動的で、FRBは依然として様子見の姿勢を崩していません。同時に公表した経済も通しでは、年内の利下げ予想を前回3月時点と同じ2回にしました。FRBが利下げを急がない姿勢を姿勢を改めて示したことで、主力株の一部に売りが優勢で、44ドル安(0.10%減少)となりました。

       (202573日:村方 清)

Sunday, June 1, 2025

トランプ政権の関税政策の進展による株式市場の回復


 







1.5月の株式市場

 5月の株式市場は512日に米国と中国が相互に課した相互関税を115%引き下げることで合意したこともあり、回復基調となりました。主要な動きは以下の通りでした。

51日:マイクロソフトなど主力ハイテク株の一角が決算発表をきっかけに大幅高となり、相場を支え、84ドル高(0.20%増加)。

52日:同日朝発表の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数が前月比177千人増加し、市場予想の130千人増を上回ったものの、失業率は4.2%と前月の同水準で、労働市場の底堅さを示した他、米中貿易摩擦が緩和に向かうとの期待から投資家心理を支えて、564ドル高(1.38%増加)。

55日:米政権の関税政策への警戒心が根強く、相場の重荷となり、99ドル安(0.23%減少)。

56日:FOMCの結果公表を7日に控え、主力株に持ち高調整や利益確定目的の売りが出て、390ドル安(0.95%減少)。

57日:FRB7日まで開いたFOMCで米政権による関税政策を念頭に経済の見通しを巡る不確実性がさらに高まっているとの懸念から3回連続で利下げを見送ったにもかかわらず、米国と中国との貿易問題を巡る閣僚級の協議に入る決定したことへの期待で、284ドル高(0.69%増加)。

58日:米英の関税交渉が成立したのに加え、米中貿易摩擦が緩和に向かうとの期待が投資家心理を支えて、254ドル高(0.61%増加)                           

59日:主力株の一部に利益確定や持ち高調整の売りが出て、119ドル安(0.28%減少)。   

512日:米国と中国が互いに課したした追加関税を115%引き下げることで合意し、両国間の貿易戦争の激化に対する懸念が和らぎ、1161ドル高(2.81%増加)。                

513日:同日朝に発表の4月の米消費者物価指数は前年同月比2.3%と市場予想を下回ったものの、CEOの交代と収益見通しの撤回を発表したユナイテッドヘルス・グループが大幅安となり、指数を押し下げ、270ドル安(0.64%減少)。                         

514日:米中貿易摩擦の緩和を期待した買いが続いた後で、持ち高調整の売りが優勢で、89ドル安(0.21%減少)。                                    

515日:米長期金利の低下で株式の相対的な割高感が後退し、投資家の買いが優勢で、272ドル高(0.64%増加)。                                    

516L前日まで8日像楽していたユナイテッドヘルス・グループに買いが入り、ダウ平均を押し上げ、332ドル高(0.78%増加)。                            

519日:米長期金利の上昇が一服したことで、投資家が株式の押し目買いに動いて、137ドル高(0.32%増加)。                                     

520日:前日に3月上旬以来の高値を付けた後で、主力株に持ち高調整や利益確定の売りが広がり、115ドル安(0.26%減少)。                              

521日:財政悪化を巡る懸念から米長期金利が一段と上昇、金利上昇が株式の相対的な割高感を高めるとの見方から、株売りが膨らみ、817ドル安(1.91%減少)。              

522日:米連邦議会が22日朝に、トランプ減税の恒久化を含む減税法案を可決したことで、財政赤字の拡大が意識され、1ドル安(0%)。                        

523日:トランプ大統領が23日に欧州連合に対して50%の関税をかけると表明したことで、関税を巡る不透明感が意識され、主力株を中心に売りが出て、256ドル安(0.61%増加)。     

527日:トランプ大統領が欧州連合に対する追加関税の発動時期の延期を表明し、貿易摩擦への懸念が幾分後退して、741ドル高(1.78%増加)。                      

528日:エヌビディアの四半期決算を控えて持ち高調整の売りが主力株にでたことに加えて。FRBが公表した67日に終了したFOMCの議事要旨で利下げに慎重な姿勢が改めて示されて、245ドル安(0.57%減少)。                                  

529日:米裁判所が28日にトランプ政権が導入した関税の一部差し止めを命じ、関税引き上げへの毛買いが後退との見方とエヌビディアが四半期決算で上昇し、117ドル高(0.28%増加)。  530日:30日発表の米個人消費支出物価指数は前月比で2.1%上昇と市場予想を下回り、インフレへの懸念が後退、主力株に買いが入り、54ドル高(0.12%増加)。ダウは月間で1600ドル高。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が2日に発表した3月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比177,000人で、市場予想の130,000人を上回りました。2月の雇用者数の確定値は102,000人で15,000人の減少、3月の改定値は185,000人で、43,000人の減少でした。3月の失業率は4.2%で、前月と同じでした。労働参加率は62.6%で、前月より0.1%増加しました。3月の時間当たり賃金上昇率は前月比で6セント増加しました。部門別ではヘルスケア門が51,000人の増加、運輸・倉庫業部門が29,000人の増加、金融部門が14,000人の増加、ソーシャル・アシスタンス部門が8,000人の増加、政府部門が9,000人の減少となりました。

 

3.5月のFOMC会合

FOMC会合が56-17日に開催され、会合後の声明要旨で以下のことが伝えられました。純輸出の振れがデータに影響を及ぼしたものの、最近の指標は、経済活動が堅調なペースで拡大し続けていることを示唆している。失業率はここ数カ月、低水準で安定しており、労働市場の状況は堅調なままである。インフレ率はいくぶん高止まりしている。

FOMCは最大雇用とインフレ率2%を長期的に達成することを目指している。経済見通しを巡る不確実性は高まっている。FOMC2つの責務の双方に対するリスクに細心の注意を払っている。失業率の上昇と物価上昇率のリスクが高まったと判断している。

この目標を支えるために、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを4.254.5%に据え置くことを決めた。FF金利の目標レンジの調整を検討する際、FOMCは入ってくるデータ、進展する見通しおよびリスクのバランスを慎重に評価する。

FOMCは、国債、住宅ローン担保証券の保有額を引き続き削減する。。FOMCは雇用の最大化を支援し、インフレを2%目標に戻すことに強く注力している。

金融政策の適切なスタンスを評価する上で、経済指標が見通しに与える影響を引き続き注視する。目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、金融政策のスタンスを適宜調整する用意がある。労働市場の状況やインフレ圧力とインフレ期待、金融および国際情勢に関する広範な情報を考慮に入れる。

決定はパウエル議長、ウィリアムズ副議長を含む12人のメンバーの賛成による。

トランプ政権の高関税政策が景気と物価に与える影響を見極めるために、3会合連続で利下げを見送ったことになります。

 

4.米消費者物価42.3%上昇、市場予想を下回るも先高観は強い見通し

米労働省が13日発表した4月の米消費者物価指数はゼ年同月比の上昇率が2.3%となり、市場予想の2.4%を下回りました。エネルギーと食品を除くコア指数は2.8%上昇で、伸びは予想通りで、3月と同水準でした。

今後上昇が見込まれるのは、関税の影響を受けやすいモノの価格で、4月には0.1%上昇しました。トランプ政権は42日に大規模な相互関税を打ち出し、米中関係はその後、報復関税の応酬に発展したものの、512日に互いに課していた追加関税を一時的に115%下げることに合意しました。供給網の混乱懸念は和らいだと歓迎する声が上がる一方で、インフレ見通しに殆ど影響を与えないとの 見方もあります。特に、中国からの輸入品にかかる追加関税は依然30%が続くことになります。

                                    (202561日:村方 清)

Thursday, May 1, 2025

トランプ関税が招く景気減速への懸念と株式相場の不安定性








1.4月の株式市場

4月の株式市場はトランプ大統領が42日に相互関税を発表して以来、インフレと景気減速の懸念から、株式市場の不安定化が増しました。主要な動きは以下の通りでした。

41日:1日発表の3月の米サプライマネジメント協会の製造業景況感指数が49.03カ月振りに50を割り込んだことで、関税政策の不透明感を背景に投資家心理が悪化しているとの見方から、12ドル安(0.02%減少)。

42日:米政府効率化省に関するk度な警戒院が後退、米政権の「相互関税」の詳細を前に、様子見の投資家も多く、株買いを促し、235ドル高(0.56%増加)。

43日:トランプ大統領が2日夕に発表した「相互関税」が市場の想定よりも厳しい内容となり、世界経済の悪化や貿易戦争への警戒が強まり、関税引き上げが収益の逆風¥になる銘柄を中心に売りが広がり、1679ドル安(3.97%減少。

44日:同日朝発表の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数が前月比228千人増加し、市場予想の140千人増を上回ったものの、失業率は4.2%と前月の4.1%増から上昇し、強弱入り交じる内容であったが、トランプ大統領が2日夕に発表した「相互関税」対して、中国が米国への報復措置として34%の追加関税をかけると発表し、関税の応酬による景気や企業収益の悪化を懸念した売りが膨らみ、2231ドル安(5.50%減少)。ダウは週間で3269ドル下げ、週間の下げとして、新型コロナ禍の20203月以来の大きさとなった。

47日:米政権による関税政策が世界経済の落ち込みや貿易戦争の激化につながるとの見方から、主力株に売りが続き、349ドル安(0.91%減少)。

48日:主力株に自律反発を期待した買いが先行したが、勢いは続かず、米国による相互関税が予定通りに9日に発動されるのを踏まえ、貿易摩擦の悪化や経済の先行き不透明感が根強く、次第い売りに転じて、320ドル安(0.84%減少)。

4月9日:トランプ大統領が9日午後に、同日に発動した相互関税を一部の国・地域で90日間停止すると表明したことで、世界景気の悪化に対する警戒が後退し、2963ドル高(7.87%増加)。

410日:トランプ政権の対中関税が累計で145%となることがわかり、米中貿易摩擦の激化が懸念され、1015ドル安(2.49%減少)。

411日:ボストン連銀の総裁が金融市場が混乱した場合、FRBが対応する手段があると発言したことで、市場支援の期待感から、619ドル高(1.56%増加)。

414日:トランプ政権が11日、相互関税の対象から電子関連商品を除外たことで、関税引き引き上げを巡る過度な警戒が後退し、312ドル高(0.77%増加)。                

415日:前日までの2営業日で900ドル余り上昇した後で、持ち高調整の売りが出やすく、156ドル安(0.38%減少)。                                  

416日:パウエル連銀議長が16日の講演で、金利引き下げに慎重な見方を示したことで、株江売りの勢いが強まり、700ドル安(1.73%安)。                       

417日:17日朝発表の四半期決算が市場予想を下回ったユナイテッドヘルスグループが急落し、527ドル安(1.32%減少)。                                

421日:トランプ大統領がFRBに対して、再び政策金利の引き下げを求めたことで、FRBの独立性が損なわれ、米国の信認が揺らぐとの警戒感が広がり、972ドル安(2.48%減少)。      

422日:ベッセント財務長官が同日、中国との貿易摩擦が緩和に向かうとの認識を示したことで、前日に大きく下げた後で、主力株に見直し買いが入り、1017ドル高(2.66%増加)。    

423日:トランプ大統領がFRBのパウエル議長の解任を否定したことを受けて、主力株に買いが広がり、420ドル高(1.07%増加)。                            

424日:トランプ政権が貿易政策で、対中姿勢を緩和したとの観測が投資家心理を改善し、ハイテク株の一部が買われ、487ドル高(1.22%増加)。

425日:米政権による関税政策を巡り、貿易相手国との鉱床が進んでいるとの期待から、相場を支えて、20ドル高(0.05%上昇)。                            

428日:トランプ政権と貿易相手国の関税交渉が進展するとの期待が相場を押し上げ、114ドル高(0.28%増加)。                                    

429日:米国と貿易相手国との関税交渉の進展期待が引き続き相場を支えて、300ドル高(0.74%増加)。                                     

430日:同日発表の202513月期の米国GDPが前期比年率で0.3%減と3年ぶりにマイナス成長となったことや4月の全米雇用レポートで非農業部門の雇用者数が前月比62,00人と市場予想を大きく下回ったことで、トランプ政権による急激な関税措置の悪影響と見られたが、同時に、3月の米個人消費支出物価指数も前月比で横ばいで、FRBの5月会合で利下げもありうるとの見方も出て、相場を支えて142ドル高(0.34%増加)。

 

2.米国の雇用状況

米労働省が4日に発表した3月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月比228,000人で、市場予想の140,000人を上回りました。1月の雇用者数の確定値は111,000人で14,000人の減少、2月の改定値は117,000人で、34,000人の減少でした。テ氏関税の領が3月の失業率は4.2%で、前月より0.1%上昇しました。労働参加率は62.5%で、前月より0.1%増加しました。3月の時間当たり賃金上昇率は前月比で9セント増加しました。部門別ではヘルスケア門が54,000人の増加、ソーシャル・アシスタンス部門が24,000人の増加、小売部門が24,000人の増加、運輸・倉庫業部門が23,000人の増加、政府部門が4,000人の減少となりました。


3.米国の米消費者物価指数は3月が2.4%上昇、鈍化傾向

米労働省が10日に発表した3月の消費者物価指数は前年同月比の上昇率が2.4%で、市場予想の2.5%を下回りました。勢いは2カ月連続で鈍りました。エネルギーと食品を除くコア指数の前年同月比の上昇率は2.8%で、市場予想の3.020下回りました。

トランプ政権の高関税政策によって景況感は急速に悪化しています。政権が関税の引き上げを本格化したのは4月以降で、自動車関税が3日に発動した他、全世界からの輸入品に一律10%が上乗せされる関税が5日から導入されました。相互関税のうち9日に発動したのは一部で90日間の一時停止を発表しましたが、5日の導入分だけでも平均関税率は大きく上昇する見込みです。

FRBは時間をかけて続く物価の上昇感想が人々の長期的な物価感を変えてしまう事態を警戒しており、利下げには慎重な姿勢を示しています。

                   (202551日: 村方 清)